キッチンの流し台で食器やフライパンが現れずに放置されているのを見かけることがある。
「洗おうと思って一時的に放置している」ということなのだと思うが、食事を終えているならそのタイミング(=皿洗いが可能になったタイミング)で間髪入れずに皿洗いに移行するのが最も効率よく皿洗いを完遂するポイントであるはず。
適切な取りかかりポイントを見極める
このポイントを逃してしまうと「放置」が継続しやすくなる。
つまり、取りかかりのハードルが上がってしまう。
クレジットカードの返済に喩えるなら、食事を終えた直後に取り組むのは一回払い(一括返済)であり、手数料はかからない。
このタイミングを逃すと、汚れがこびりついて洗う手間が増えるうえに、気持ちが皿洗いから離れてしまうためにこれを引き戻すための気力も必要になる。
すなわち“手数料”が加算されることになる。
そうでなくても皿洗いは「やりたくないこと」あるいは「気の進まないこと」とみなされがちなところに“手数料”が上乗せされるのだから、よりいっそう取りかかるのが困難になる。
取りかかるのが困難であるがゆえに、
「放置」が継続され、
手数料は雪だるま式に増えていく。
同じことは、掃除や書類整理や帳簿入力にも当てはまる。
- 掃除:汚れたタイミングで拭き取る、ゴミが落ちた直後に拾う。
- 書類:発生した時点で、捨てる・保存する・保管する、のいずれかの振り分け先を決めておき、処理が終わり次第すみやかに振り分けを行う。
- 帳簿:入出金のたびに記帳する(現実的には一日の終わりにその日の入出金を記帳する)。
それぞれについて、適切な取りかかりポイントを見極めておけば、処理の負荷を最小化することができる。
確かに「まとめて処理したほうが効率がよい」場合もある。
が、どれだけの分量が溜まったら処理を行うのかの条件(=取りかかりポイント)を明確に決めておかないと、いつまでも処理を先延ばしにし続けることになる。
この条件が明確に決まっていないなら「まとめて処理したほうが効率がよい」は先延ばしのための便利な言い訳に過ぎないことになる。
取りかかりポイントを見極めるには?
取りかかりポイントを見極めようとするときに思い出すのが、以下の一言。
「プランを立てないことは、計画的に失敗することだ」(リタ・エメット)
「取りかかりポイントを見極める」とは、要するに“発動条件”を決めることであり、その条件が満たされたらすみやかに取りかかるためのレールを用意しておくこと。
レールとはプランのこと。
なぜプランがなかなか立てられないのか? それは立てたらやらないといけないから。
「何とかしたい」とは思いつつ、実は「今のままでいたい」という本音が見え隠れする。だから最初は簡単にできることからプランにする。確実に実行できるプラン。
確実に実行できないことをプランに組み込むと、確実に失敗する。
笑ってしまうほどシンプルなリストを作り、これをバカにせずに愚直に上から順に実行しながらチェックを入れていく。
全部チェックが入ったら、先ほどより少し長いリストを作り、また実行する。
これを繰り返していく。
全部チェックが入らなくなったら、リストを短くする。
これを続けることでプランを常に現状に対して最適化しておくことができる。
参考文献:
気合いを入れてノウハウを学びとる、というより気楽にパラパラ読み返すことで「そうそう、これくらいシンプルでいいんだった」と優しく背中を押してもらうための一冊。