オフィスのそばにあるので、肉が食べたくなったときにときどき訪れている松屋。店内でふと「松券セレクト」なる新サービスが始まっていることを知ります。サービスの説明を読んですぐに「あぁ、これはいいかも」と感心しました。後日さっそくこのサービスを利用してみて便利さを実感しました。
「松券セレクト」とは何か?
一言でいうと、
- お店に行く前にメニューをじっくり選んだうえで、お店に着いたら選んだメニューをサッと注文できる
というサービスです。
…いや、そんなことはサービス以前に、実践している人はすでに実践していることでは?
と思われたかもしれません。でも、だからこそこのサービスが生まれたのだろうなと僕は考えました。
僕自身、お店に行く道すがらスマホで松屋の公式サイトに行き、メニューの紹介ページで何を注文するかを検討することが多々あります。
なぜか?
お店に着いてからでは、券売機の前であれこれ検討する余裕がほとんどないからです。無数にあるメニューの中から「孤独のグルメ」の井之頭五郎よろしく「迷うなぁ…でも焦っちゃ駄目だ。落ち着け。今の俺が入れるべき食い物は何なんだ?」という自問自答を重ねる余裕がないのです。
何を選ぶかに加えて、ごはん大盛、肉ダブル、サラダセット、などのオプションも無数にあります。
いつまでも券売機を独占するわけにもいかないので、後ろで待っている人の無言のプレッシャーを感じつつ、急かされるようにメニューを選び、食べ始めてから「あ~、やっぱりこれじゃなくてあれにすれば良かった…」などと、うらめしさを噛みしめることになるのです。
そんな不満を「松券セレクト」は解消してくれるのです。
「松券セレクト」を使ってみる
最初に店内の掲示(以下)を目にしたとき、てっきりこれはスマホのアプリだと思い込んでいたのですが、ウェブページでした(厳密にはショッピングサイト的なページ)。
↓PCからもスマホからもいけます。
» 松屋フーズの券売機用QRコード事前発行サービス【松券セレクト】
▼スマホで開いた場合、「現在地から探す」というボタンが使えます
▼いつも行っている「渋谷宮益坂上店」をチョイス
▼あとは店舗にある券売機とほとんど同じ構成です
▼最後に選んだ注文内容をもとにQRコードが発行されます(発行から24時間有効)
このままでもいいですが、念のためこの画面のスクリーンショットをとっておくと後から取り出しやすいでしょう。
▼お店に着いたら券売機の以下の部分にQRコードをかざします
「メニューを読み込んでいます」というアナウンスが聞こえるのでそのまま待っていると、自分が選んだメニューが画面に表示されます。
確認の上、お会計ボタンを押して支払いを済ませれば、いつものように食券が出てきます。
▼「松券セレクト」のページをホーム画面に追加しておくといいかもしれません
改めて実感する「諦めている不満」の重要性
使ってみた感想ですが、じっくりと食べたいものを選べるのはやはり良いですね。
券売機を前にすると、後ろに誰も並んでいなくても「早く決めなくっちゃ!」というプレッシャーを感じてしまうので、「結局またこれか…」という変わり映えしない(無難な)メニューしか選べないことが不満でした。
このサービスを使いながら感じていたことは「諦めている不満」の重要性です。
「諦めている不満」については以下の記事でも触れています。
» 売れる商品やサービスを生み出すための着眼点 | シゴタノ!
『30年売れて儲かるロングセラーを意図してつくる仕組み』によると、「諦めている不満」を見つけるにはあることに注目する必要がある、としています。
そのあることとは、人の行動。
そもそも売れる商品やサービスには「未充足の強い生活ニーズ」を満たすパワーがあります。この「未充足の強い生活ニーズ」とは「諦めている不満」の裏返しといえるでしょう。
今回、僕が「松券セレクト」を発見して即座に「使ってみよう」と思えたのはまさにこの「未充足の強い生活ニーズ」があったからでした。
上記の記事にもまったく同じことが書かれています(自分で書いたのですが…)。
先に「未充足の強い生活ニーズ」があり、そのニーズを満たす商品が目の前に現れれば「あ、これだ!」と即座に欲しくなるでしょう。そこに考える余地はなく、従って理由もないのです。「いや、だって、ほら、まさにこれじゃないですか」という意味不明な説明しかできないでしょう。
だからこそ、言葉になる前の段階の何か、すなわち行動に注目する必要がある、というわけです。
実に「いや、だって、ほら、まさにこれじゃないですか」なのです。
おそらく「松券セレクト」の開発チームは、券売機の前でプレッシャーを感じながら不本意なチョイスを余儀なくされている利用者の行動に注目していたのでしょう。
そういう意味では、やはり行動の記録というのは重要だと感じます。
自分で自分の行動の記録を残し、そして読み返す。
わざわざ記録に残すくらいですから、そこには「未充足の強い生活ニーズ」が埋もれていることが少なくないのです。
つまり、「自分はいったい何をしたら満足できるのか」のヒントがそこにある、ということです。
関連
↓文中で言及した「孤独のグルメ」はAmazonビデオで観られます(現時点でプライム対象なので、Amazonプライム会員であれば追加料金なしで観られます)。
↓引用した書籍は以下です。ちょっとお高いのですが、それだけに中身は詰まっています。
↓「不便利」といえばこの一冊。
» 起業・企画・営業・雑談のネタは日常の諦めている不便利から