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「味付け」に凝りすぎると飽きられやすい、という話



大橋悦夫最近観た「パトリオット・デイ(2017)」という映画について、いくつか記事を書いたのですが、特に前回書き忘れた点について補足です。

↓「パトリオット・デイ」について書いた記事

» プロの伝え方に触れて、改めて伝える力のすごさを実感した話
» おなじみの役者が出ている映画は観に行くハードルが下がるのはなぜか?

ひと言でいうと、「味付け」に凝りすぎると飽きられやすい、という話です。

ほどよい「味付け」が素材本来の「味」を引き出す

「味付け」に凝りすぎると飽きられやすい、と感じたのは今回の「パトリオット・デイ」を観たのがきっかけでした。

「パトリオット・デイ」を観に行こうと即決した理由は、以下の記事にも書いたとおり、おなじみの役者が勢揃いしていたからです。

» おなじみの役者が出ている映画は観に行くハードルが下がるのはなぜか?

たまたまラジオCMを耳にしてこの映画のことを知り、ネットで調べてみたところ「あぁ、これは観よう」と即決。

その理由は、主要キャストがいずれも自分にとっておなじみの役者ばかりだったからです(もちろん、僕が一方的に「おなじみ」と思っているだけですが…)。

飲み会に誘われて参加メンバーを尋ねたら、いずれも旧知の顔なじみばかりだったときの心境に近いです。

これに加えて、もう1つ決め手がありました。実際には観終えてから気づいたことなのですが、それは特殊な視覚効果があまり使われていなかったこと

特殊メイクやCGなどによる「味付け」がほとんどなかった(感じられなかった)のです。もちろん、爆発シーンや出血シーンなどでは特殊メイクやCGが駆使されていたとは思いますが、あくまでもリアリティ追求のためのものでしょう。

「あぁ、これは現実に起こったことなんだ」と感じさせるための演出です。

そうなると、目がいくのは当然キャストたちの迫真の演技ということになります。おのずと演技にフォーカスしやすくなるわけです。

映画を観る醍醐味は、特殊な映像効果を楽しむということもあるかもしれませんが、それ以上に役者の演技に魅せられるところにあると僕は考えています。

似て非なる「味付け」と「味」

これとよく似た構造が最近読んだ『サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ 』の中にありました。

サイゼリヤは毎日でも食べられる日常食を提供する店だから、素材本来の味を生かすことが重要で余計な味付けは不要だ。そうすることで、毎日のように食べてもおいしいと感じられる。

一方、半年に1度、1年に1度くらいの頻度でハレの日に利用されるレストランの場合、料理人が食材に手を加えることで複雑な味になった料理が、お客様に提供される。こうした店では、1年に1度とかたまに食べてもらうのを前提にした味付けをしているので、味付けが濃くなっている。日常で使われる店より価格も高いが、お客様もそのおいしさに納得している。

つまり、毎日飽きずに繰り返し食べられるのはシンプルな味付けの、素材本来の味を生かせている料理である、というわけです。

いろいろ味付けが凝ってるコッテリした料理も、たまにならいいのですが、毎日では少々キツい…。

映画においても同じことが言えると思うのです。

特殊な視覚効果を盛り込みまくった映画も、たまになら楽しめるのですが、繰り返し観るのは少々キビしい、と(好みの問題もあると思いますが)。

その意味で「パトリオット・デイ」という作品は「味付け」はほどほどに抑え、代わりに役者たちの「味」のある演技を存分に引き出しているように感じられました。

» パトリオット・デイ(字幕版)


リピートしたくなる商品・サービスの共通点

世の中で長く売れている、すなわちリピートされている商品・サービスの共通点の1つにはこの素材本来の「味」を引き出す、ほどよい「味付け」があるのではないかと考えています。

裏を返せば、一過性のブームに終わる商品・サービスは「味付け」が濃すぎて、一度で「おなかいっぱい」になってしまうということがあるのではないか、と。

「味付け」とは「テクニック」と言い換えることもできます。
すると「味」は人それぞれが持つ「持ち味」。

↓「持ち味」と言えば、以前こんな記事を書いていました。

» 持ち味を生かして自分らしく働き続けるための5つのポイント

例えば、

  • コーヒー愛好家の間で「聖地」と噂されるコーヒー豆卸業を営む会社
  • 鉄道模型好きたちに支持されている温泉旅館
  • 女性建築家だけが在籍する建築・リフォーム会社
  • 九州の企業だけを応援するプロモーション映像制作会社
  • 「拡大」よりも「しあわせ」を志向する生ハム製造会社
  • 全国にファンを持つ大人気のパンケーキ専門店、

などなど。

それぞれ独自の持ち味で勝負しているのですが、共通するのは「自分らしさ」を明確に打ち出している点。

このスタンスは、会社だけでなく個人にとっても、楽しく仕事をする上で役に立つはずです。

「テクニック」よりも「持ち味」で勝負していきたいですね。

» サイゼリヤ おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ (日経ビジネス人文庫)


↓上記の記事でとりあげているのは以下の本です。

» だれかに話したくなる小さな会社[Kindle版]