コンビニで見かけた、とあるポテトチップスのパッケージが気になり、その道のプロに「分析」を持ちかけてみたところ、「分析結果レポート」が上がってきました。その結果から、改めて「取りかかりのハードルを下げること」がすべてだ、と再認識させられました。
その道のプロとは、パーソナルトレーナーの安藤ひろゆきさんで、安藤さんによる「分析結果レポート」は以下の記事です。
» カロリーを気にせずに食べられるポテトチップスで罪悪感から解放される? | パーソナルトレーナー安藤ひろゆきのブログ
とにかく、取りかかりのハードルを下げる
「カロリーを気にせずに食べられるポテトチップス」というネーミングが極めて高い吸引力を生じさせているのですが、その吸引力の源は、「ポテトチップスといえば高カロリー」というイメージです。
このイメージを真っ向から否定してくるからこそ、「えっ! 気にしなくていいの? ホント?」という意外性とともに注意を引きつけるわけです。
メーカーとしては、ポテトチップスをどんどん食べて欲しい。
でも、「カロリーが高い」というハードルがあるために、なかなか手にとってもらえません。
そこで、このハードルを突き崩すべく「カロリーを気にせずに食べられる」というネーミングが考案されたのでしょう。
「美味しい」とか「ビールによく合う」といった、ポテトチップスのポジティブ的な側面(=顧客にとってのポテトチップスを買う理由)で攻める、押しの戦略ではなく、
「(ポテトチップスなのに)カロリーを気にせずに食べられる」という、ポテトチップスのネガティブな側面(=顧客にとってのポテトチップスを買わない理由)を取り除く、引きの戦略と言えます。
安藤さんの記事にも詳しく書かれていますが、うっかりネーミングに乗せられて手に取ると、逆にカロリーを取り過ぎてしまいかねないという罠がそこにはあります(メーカーとしてもそこに悪意はないでしょうが、まぁ、ビジネスなので…)。
仕事においても、取りかかりのハードルを下げる
同じことは仕事にも当てはまります。
なかなか取りかかれない仕事というのは、「時間かかりそうだし」とか「手間がかかりそうだし」といったイメージが強い仕事です。
「その仕事を終わらせれば、すごくラクになる」とか「自分にしかできない仕事なのだから」といったポジティブな側面で自分を奮い立たそうとしても、「いや、でも今は時間がないし」とか「疲れてるし、眠いし」といった言い訳を盾に先送りしたくなってしまいます。
そこで、「実はほんの5分だけでOK」とか「3ページ読んだら続きは明日でOK」という具合に、その手強い仕事のネガティブな側面(=自分にとっての、その仕事に取りかかれない理由)を取り除いてあげるようにします。
以下の記事でも書いている「じゅもん」を唱えればいいわけです。
» 取りかかりにくい仕事に効くじゅもん「終わらせなくてもOK」
まとめ
「取りかかりのハードルを下げること」とは、実は仕事そのものなのではないかと考えています。
「人が面倒に感じていることを代わりにやってあげる」というサービスを提供している会社にとっての仕事は、顧客に対して「自分でやらなくても、それを得意としている人に代わりにやってもらったらいいんですよ」というメッセージを送り続けることであって、「代わりにやってあげる」ことではない、と。
メッセージが正しく伝わりさえすれば、顧客は自らそのサービスを求めて行動を起こし、必要なサービスを手に入れるはずだからです。
このことをドラッカーは以下のひと言で言い表しています。
「マーケティングの目的は、セールスを不要にすることである」
顧客にとっての、「購入」という強い抵抗を感じる「取りかかりにくい仕事」のハードルを下げることに注力する、というわけです。