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習慣化とは、なによりも「考えずにやれる」ようになること



佐々木正悟 一言でいうと、この本は、「料理が習慣になっていない人が、料理を習慣にするための本」です。

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「昭和のお父さん」などと、ときどき揶揄されてきたことの1つに「まったく料理をする気がない人」がありました。冷蔵庫にあるものをただ「レンジでチンする」ことすらせず、奥さんの帰りを待つ、といった辺りが「ワースト」でしょうか。

「そういう発想すらない」とか「やる気がそもそもない」などと色々言われるわけですが、なんにせよそうした「習慣がない」のです。そして習慣のないこととなると、人は驚くほど無気力になります(料理の「攻守交代バージョン」として、車の運転はするのに、給油は夫に丸投げする、というのがありますが、これも同じで「給油する習慣がない」のです)。

「習慣」を作りだす強力なツールとしてのチェックリスト

「習慣化」の方法論はたくさんありますが、中でも強力なものが「チェックリストを使うこと」です。

料理なら「レシピ」に相当しますが、といっても「料理をしない昭和のお父さん」としては、レシピブックをわたされても、当惑したことでしょう。世代・性別にかかわらず、料理を「する」人ならレシピがあってもなくても、自分のぶんの料理くらいは、作れるものです。

繰り返しになりますが『理系の料理』は「理系の人のための料理本」ではなく、「習慣がない人が、料理を習慣化するための本」です。

というといったい、どんな本なのでしょうか?

料理の習慣がまったくない人であっても、「レシピブック」から簡単そうな料理を一品くらい、時間をうんとかけ、キッチンを汚しまくれば、できるものです。

しかしそれは100日に1日だけ料理をするというだけの話で、料理を習慣化するというのとは違います。世の料理本は大半が、「料理の習慣のある人のための本」でした。

『理系の料理』は料理の習慣がない人のための本だから、「「小さじ」の曖昧さが耐えられない」といったことが問題視され、フローチャートがついていたり、「料理の失敗例」が載っていたりしていたわけです。

一連の行動を無意識に行える慣例に変える脳のこのプロセスは、チャンキング(いくつかのものを一つのものとして記憶する)として知られている。これこそが習慣形成の基本なのだ。

私たちは毎日、何十、何百という行動のチャンクに頼って生活している。その中には、歯ブラシに練り歯磨きを載せて口に入れるといった、ごく単純なものもある。

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習慣化というのは、一連の複雑な行動を実行するための記憶セットを用意することです。そういうセットがないと、脳は行動するたびに急増する無用な選択肢についていちいち検討しなければならないため、あっという間に消耗してしまうのです。

「塩小さじ1杯」は好例で、それは何グラムを意味するのか、1杯ちょうどでないと塩辛くなるのか、などといったことを「まったく検討しない」ということが「できない」ようでは、料理全体のプロセスに耐えられないのです。

冷蔵庫をあけたとたん、使わない食材には目もくれないどころか見えもしないくらいでなければ、時間ばかり無駄になります。

引き続き『習慣の力』より。

習慣になってしまうのが驚異的に感じるほど複雑な行動もある。たとえば運転の初心者にとって、車をスタートさせてドライブウェーから外に出るときは、大きな集中力が必要だ。

まずガレージを開けて車のロックを解き、シートを調整してキーを差し込み、それを時計回りに回し、バックミラーとサイドミラーを動かし、障害物がないかどうか確認し、ブレーキに足を載せギアをリバースに入れたらブレーキから足を離し、頭の中でガレージから道路までの距離を予測し、そのあいだにもタイヤをまっすぐに保ちながら、道路を行き交う車に目を配り、ミラーに映る像からバンパー、ごみ箱、生け垣の距離を計算し、しかもこれらすべてをアクセルやブレーキを軽く踏みながら行い、そしてたいていの場合、同乗者にラジオをいじるのはやめろと頼まなくてはならないのだ。  

しかし少し慣れれば、ほとんど何も考えず、これらすべてを行って道路へ出られるようになる。習慣化することで機械的にこなせるようになるのだ。

習慣化というのは、必要なこと「だけ」はすべて行うが、不要なことは何一つ行わないということが、判断なしでできるようになることです。

それはチェックリストとよく似ています。持ち物リストというのは、持っていくべきものは全てのっていて、持っていかなくていいものはリストにない、そういうリストだからです。

参考文献:

» チューブ生姜適量ではなくて1cmがいい人の 理系の料理[Kindle版]


» 習慣の力 The Power of Habit[Kindle版]