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なぜ通勤ラッシュはなくならない?



佐々木正悟 真偽について若干確信が持てないのですが、日本には「押し屋」という言葉があるようです。

押し屋(おしや)とは、鉄道の朝夕のラッシュ時に、列車の扉に挟まりかかった乗客や荷物を車内に押し込む人、およびその職業のことである。

押し屋 – Wikipedia

驚くべきは、この職業が1955年に導入されたとなっているところ。戦後わずか10年ほどのことであり、その頃からすでにひどかった通勤ラッシュが、実にそのまま60年にわたり、さして改善された気配も見えずそのまま続いているのです。

これ、なんとかならないのでしょうか?

通勤地獄の解消は票にならない?

必ずしも最近のことではありませんが、「好きなことをして生きる」という言葉があります。「好き、を職業にする」というちょっと独特の言い回しもありますが、何がどれほど好きであろうと、実際にはあらゆる「好き」が職業になるわけがないでしょう。

たとえば私は何より寝ることが好きですが、なかなか、一日中寝っぱなしで、お金が入ってくるということにはなりそうもない。ほかに、ピザが好きですが、ピザの大食い選手権に出るのは避けたいし、私では賞金が取れないでしょう。

話が脱線しました。

私の解釈では、「好きなことをして生きる」とは「会社に勤めることなく、生きる」というくらいのことです。

私もたしかに、ずっとその意見にだいたい賛成でした。とにかく会社が苦手である。組織に勤めるのが無理である、と。何にせよそれは大変なことだし、会社に勤めないとしても好きなことをして生きていけるかどうかは疑問ですが、そこそこ「好きなように生きる」ことはできるかもしれないと思います。

でも、いま改めて思うのですが、よく考えると、私はそんなに会社や組織が苦手だった気がしないのです。いちおう、幼稚園、小学校、塾、中学、高校、大学、大学院、会社と、いろんな組織に訪れていたものの、「不登校」や「引きこもり」になることもなく通い続けられていました。

ま、「とはいえ、いやだったんじゃないのか?」といわれれば、好きではなかった気がします。でも、本当にいやだったのは、組織というよりは、通勤だったように思うのです。殺人ラッシュ並みの。

誰だって「通勤地獄」などと呼ばれるような電車に乗り込むのは、いやだと思うのです。それなのに、「国民の生活を第一に」一生懸命政策を考えてくれる政党を始め、いろんな社会運動がありながら、「通勤ラッシュゼロを目指します!」という政治家ひとり現れないのには、何か特別な理由でもあるのでしょうか?

私が知らないだけで、そういう運動を地道に続けているという政治家や運動家がいらっしゃったら、教えてください。

「ガソリン値下げ隊」に比べれば「通勤地獄なくし隊」のほうが共感を呼ぶと思うのですが。

人々が「通勤」で一仕事してしまう

私がやや疲れやすい体質なのかもしれませんが、一億総括役社会を実現するのに、一番インパクトがありそうなのが、平日の通勤時混雑を、土日並みにまで緩和することです。

私にいわせれば、朝夕のラッシュをくぐり抜けるというだけで、ほとんどの人は「ヒト活躍」終えてしまうにもかかわらず、ほぼすべての組織はその膨大な「組織員の頑張り」によって1円も得ることができないでしょうから、ものすごくもったいない話です。

ビジネス書や自己啓発書でも、会社と家の往復にかかる「2~3時間」は「ひどいムダ」だとよく指摘されており、その間、「語学学習」や「オーディオブックを聞くこと」に充てることをすすめられています。

でも「地獄」の中でそんなことをやっていられるヒトは、かなりユニークだと思います。それにやっぱり、勤め人が、ユダヤ人がお金持ちになったなんとかカントカを聞きまくっても、組織にとってはさほど得るところがないはずです。

それよりも、「地獄」が、「天国」とはいわないまでも地上なみになれば、ビジネスパーソンの消耗がずいぶんおさえられ、「事故」に遭う率もいまよりは下がるはずです。

できるところから

特に首都圏のラッシュがここまでひどくなっている理由は、よく言われるとおり明らかです。官公庁も企業も学校もやたらと東京都に集中している上に、それらが8時から9時のあいだに一斉にスタートするからです。

とりあえず、ずらせるところから、ずらしていってほしいものです。それもなるべく、午後からなど、大幅に。私は運悪くいまでもラッシュにぶつかることがありますがそのたびに「いったいITインフラとかノマドという言葉は何のためにあるんだ」と理不尽な気分に飲み込まれます。

台風が来ても大雪が降っても、朝の9時に一斉にこれだけの人間が、同じ場所に集まらなければならない。そのうち何割かの人たちが、お昼頃になって会社のそばのスタバでMacBookやレッツノートを開いてチャットする程度でいいなら、世の中がここまで進む必要はないでしょう。

» リモートワークで自分らしく。自宅で働く女性たちがイベントに登壇!

私が提案したいのは、上の記事で紹介されていることほどラディカルではないですし、目標はただ「通勤ラッシュの大幅な緩和」でしかありません。在宅ワークでも、リモートワークでも、子育てとの両立ともちがいます。

すでに首都圏に、線路は大量に敷き詰められていて、6~9時台の電車は正確に、頻繁に来て、その大半は、すし詰めになります。それでいて、お昼頃の電車はガラガラです。

解決しようと本気で願うなら、一斉に同じところに行って、一斉に帰ってきて、一斉に休みを取るというスタイルを変えるしかないはずで、技術的には難しいことではないと思うのです。