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適正な仕事量を考える

何事もバランスが大切ですが、ではいったいどういう状態がバランスが取れている状態なのかを客観的かつ明確に表現できるほどバランスは甘くありません。バランスを崩したときに初めてバランスを取れていなかったことに気づくという、暗中模索なところがあります。

例えば、仕事の量。たくさんこなせばこなすほど自信もつくし、慣れによるスピードアップも期待できます。仕事そのものが仕事をするための原動力になるという自家発電式マシーンと化すことができれば、いっそう効率もアップするでしょう。

仕事の報酬は仕事そのものという考え方は、仕事そのものが仕事の好子になっているということ。

でも、言うまでもなくこの右肩上がりはいずれ踊り場を迎えます。踊り場ならまだいい方で、下降トレンドに入ることも少なくありません。

それは、突然やってくる無気力感や、刺激や楽しさを奪うロボットのしわざです。これらを追放する方法については、それぞれのリンク先でご紹介していますが、攻められてから追放するという事後(リアクティブ)ではなく、事前(プロアクティブ)にしかるべき準備をして、迎え撃つくらいの体制を築きたいものです。

そのヒントがメルマガ「えのさんのeの素」にありました。

在庫を極限まであげてみる

適正在庫にしろと言われるが、それってどこで調べれば解説してますか?と聞かれた。確かにはっきりと定義づけされていない。顧客からみれば、在庫は多いに越したことはない。資金や経費からみれば少ない方がいい。

友人のTシャツやさんは、徹底して在庫を持つことで、何万人規模の大きなイベントの受注ができるようになった。東急ハンズは、ゴミ箱を200種類置くことで成功した。100円ショップに扇子を12種類持っていった営業マンが60種類にできるなら仕入れるといわれた。

ロス防止の対策は必要だが、在庫を極限まであげてみる戦略は一考する価値がありそうだ。

適正在庫という言葉は、「バランスの取れた在庫を目指す」と言い換えることができます。適正な水準から外れた時に初めて自社のあるいは自分の行動が適正を欠いていたことに気づきます。

そうなってからでは遅いので、一般的には様々な先行指標やチェックポイントを設けるといった対策が打たれます。「ロス防止の対策」はその1つでしょう。もちろん、過剰在庫も防止する必要があります。

仕事におけるロスとは、仕事量が不足すること、アイドルタイムを発生させてしまうこと。仕事における過剰在庫とは、仕事量がオーバーフローすること、金の卵を産むはずの鶏をリスクにさらすことになります。

でも、適正を知るには、一度オーバーフローを経験しないことには「これ以上は危険だ」という臨界点がわかりません。何をすればどんなことが起こるのかを頭ではなく身体で知っておく必要があるのです。

このあたりは、「やめるコツ」で書いた「いろいろなことを始めまくる」にも通じるところがあります。本で読んだこと、人から聞いたこと、頭で考えたこと、だけでなく、始めてみて初めてわかることをも判断材料にしなければ、導き出せない答えを追求します。

教科書には書かれることのない「徹底して在庫を持つ」という行動を実践してみて初めてそこに思わぬ空白地帯を見出すのと同様に、仕事の量を増やしまくることによってしか見えてこない何かがきっとあると思うのです。

例えば、無理な納期を引き受けることによって初めて、今までのやり方ではダメだ、ということで必死に考え抜いて、工夫の余地をこじ開けて、新たな方法論を確立できたり、あるいは、複数の納期が同時にやってきた時でも、冷静になって優先順位をつけて1つ1つ片付けていくことによって初めてタスクの洗い出しの重要性に気づいたり、といった発見です。

とはいえ、これらを一般化して法則としてまとめればいいかというと、必ずしもそういうことにもならないのが難しいところであり仕事の面白いところでもあります。

プロアクティブは、リアクティブの残像に過ぎないからです。

(明日に続く)