目の前に種々雑多な「やるべきこと」が大量に押し寄せてきている時の人間の反応は、
1.とりあえず「うわー」と叫ぶ(声に出すのはオプション)
2.すばやく優先順位をつけて1つ1つ片付ける
3.現実逃避する
のいずれかでしょう(ほかにもあるかも知れませんが…)。どれが良いとか悪いとかではなく、自分がどういう反応を返してしまうのかを知っておくことが大事だと思っています。
ルールや原則を作っても、生身の人間としては、論理よりも感情が先立ってしまうため役に立たないことがあります。「ルールは破るためにある」「それは原則、これは例外」といった言い訳が成り立つのもこの理由によるものでしょう。
そこで、まず生身の部分、つまり反射的にそのように行動してしまう自分の傾向みたいなものを知り、それをあるべき形に変えていく、という二段階で考えてみます。
自分の行動を振り返ってみたところ、大量のタスクに直面したときの自分の行動パターンには以下のようなクセがあることがわかりました。
どれから手を付けるかを決める際の基準にしているのは、
1.締め切りが迫っているか?
2.想定時間よりも短い時間で終わらせられそうか?
3.終わらないまでも、とりあえず手を付けて少しでも前に進められそうなものか?
という3つの質問です。無意識にこの3つの自問を通して、やるかやらないかを決めているようです。
1.締め切りが迫っているか?
言うまでもなく、それを守らなければどうにもならないため、真っ先に確認して着手します。例えば、今が夕方で、その日が納期の仕事があれば、すぐに始める、終わりそうにないなら夜になる前に先方に連絡を取って相談します。選択肢が豊富なうちに手を打つのがポイント。
まぁ、ここは当たり前ですね。
2.想定時間よりも短い時間で終わらせられそうか?
もし複数のタスクが積み上がっていたとき、いずれも締め切りが今日でも明日でもないような場合は、どれをやるかの選択は自分の意思に委ねられます。その時に、どのタスクを選ぶかの基準はけっこう人によりけりなのではないでしょうか。
僕自身は、割り当てている時間よりも短い時間で終わらせられそうなタスクにまず目が行くようです。なぜなら、少しでも早く残りタスクの総時間を減らせるからです。
例えば、3つのタスクがあり、それぞれ、30分・45分・1時間という想定時間が割り当てられているとき、その時間の長さに関係なく、
「45分としているタスクはがんばれば30分で終わらせられるかも」
という自信が持てれば、まずそのタスクから着手します。
こうすることで、本当に30分で終わらせることができれば、その段階で当初は2時間15分だった総時間が、2時間に短縮されることになります。早い段階で総時間を切り崩し、消化量を積み上げていくことにより、達成感が得られ、それが推進力を生み出すからです。
もちろん、逆に45分以上かかれば意味がなくなるため、ある種のギャンブルになるのですが、ギャンブルになるくらい不透明であれば、その時の「早く終わらせられるかも」は希望的観測に過ぎない、ということになります。
一方、1時間と思っていたタスクがやってみたら2時間かかった、という場合はダメージが非常に大きくなります。その後の推進力に影響します。このようなタスクはやる前から「本当に1時間で終わるかどうかは怪しい」という見込みがあったはずで、それがわかっているなら、後回しにする方がいい、という考え方です。
とはいえ、それは先送りの温床になるため、どこかで食い止める手だては考えておく必要はあります。その対策が次のステップです。
3.終わらないまでも、とりあえず手を付けて少しでも前に進められそうなものか?
まるごと翌日に先送りしてしまうと、同じことの繰り返しになってしまうため、すべてを完了させることはできなくても、その一部だけでも進める、という姿勢です。
例えば、報告書であれば、
1.アウトラインだけ箇条書きでササっと書いてしまう
(翌日はそのアウトラインをもとに中身を書く作業から再開できる)
2.書き出し部分だけを勢いで書いておく
(無駄になるかも知れないが、何もやらないよりはまし)
3.報告書を提出するときのメール文だけ先に書いてしまう
(報告書を書き終えた時に、そのファイルを添付してすぐに提出することができる)
というような部分的な着手です。
以上は、あくまで僕自身のメタ認知をもとにした考え方であって、すべての人に当てはまらないかも知れないので、是非、メタ認知の段階から試してみられることをおすすめします。
<一度に大量のやるべきことに直面した時の対策>
自分のクセを知り、問題があれば対策を組み込んでおく