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どうすれば意志力を発揮させることができるのか?

By: Mark HillaryCC BY 2.0


佐々木正悟 私はあまりPDCAというものをオススメできません。
理由は、扱いが難しいと思うからです。

私のように、たすくまがあるおかげでかなり綿密な記録を残せているものですら、この記録を見れば自分をどのように改善すれば良いかがすぐわかる!などとはとても言えません。

まして「記録すること自体が面倒だ」と言っている人に向かってどうPDCAすれば良いかなどと、とても言えたものではありません。

そもそも私たちは「改善点」を簡単には見つけられません。仕事が進まないというありがちな事例1つとっても、割り込みが多すぎるのか、やる気が足りないのか、進んでいるけれどもそう感じられないのか、簡単にはわからないものです。

そこでどうしたら良いのか、とよく尋ねられるわけですが、改善する前にまず、改善点自体を知る必要があります

まずは「してみる」

よくある「プロジェクトの進捗がはかばかしくない」というときなどに、たとえば「今日の午後1時から1時間、絶対にプロジェクトの仕事だけに集中しよう!」としてみましょう。

「してみる」ことがとりあえず大事です。それがうまくいくかどうかはおいておき、まずは「してみる」ことによって、なにがどう動くか・動かないかを理解する鍵が得られます。

上のように1時から1時間しようとしてみて、まったくしなかったとします。ここからPDCAの第1歩が得られるはずです。

「自分は意志が弱い」

などというのは、これも非常によくあるのですが、好んで的外れな失敗を認めているようなものです。問題なのは改善することであり、それ以前にどうすれば改善できるかを知ることです。

「意志力が弱い」と思ってもそれで改善できるわけではないばかりか、そもそも「意志力が弱い」のが本当に改善すべきポイントなのかどうかすら、わかっていないわけです。

だから「しようとしてみたときに起こったことがなんなのか」を明確に書くことが必要だと思うのです。しようとしてみたときに起こったこと。それは今後、別のタイミングにしようとしてみても、また起こるかもしれませんし、別のことが起こるかもしれません。

それらを記録し、しかもそれを定期的に読み返すことで、プロジェクトを進めようとしてできなかったという「記憶」と、その時に起こった出来事の「記録」とが、リンクするでしょう。改善への意志は、そのリンクによって生じるものです。

このときになってようやく、PDCAというサイクルが動き始めるのです。改善への意志が発生しなければ、プランがあろうと分析があろうと、何にも動きはしません。起こったことの解釈が間違っていては何にもなりません。

「意志力が弱い」とは具体的には何をしようとしたときに、どうしてしまったことを指しているのか。

描写をもっと正確で細緻なものにする必要があるのです。

▼編集後記:
佐々木正悟



本書はとにかく即効性を心がけました。

気になる項目だけでも読んでいただければ、何かしら役立つことはあると思います。

また本書は、全部同じ形式にしました。冒頭に3択のクイズがあって、その節の最後まで読めば答えがわかる形式に統一してあります。

今思うと、答えを載せないほうが面白かったかもしれません。

答えに拘泥することはありません。要は考え方です。心理学的には、こういう考え方をする、くらいに思っていただければけっこうです。

読んでいくうちにいろいろなことが見えてくる、というのが、私としては理想だと思っています。

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