拙著のご紹介です。セルフパブリッシングによる電子書籍の新刊。
今回は、Kindleストアだけでなく、KoboやBook☆Walkerでも販売しております。各ストアへのリンクは以下のサイトからどうぞ。
内容は、「知的生産およびその技術を紹介する本」を紹介する本です。本の中身を詳しく解説するのではなく、できるだけシンプルに、雰囲気をさらっと伝えることに主眼を置きました。
1万字ほどのライトな本で、分量だけでなく文章もライトです。本文から少し引用してみましょう。『知的生産の技術』の章の冒頭です。
「まずは、この本からね」
「なんかストレートなタイトルですね。ありきたりというか」
「そりゃそうよ。だって、この本がその≪ありきたり≫を生み出したんだから」
「というと?」
「ようするに、この本の前には知的生産という言葉はなかったの。同じように知的生産の技術という言葉もなかった」
「じゃあ、この本がはしりということですね」
「そうなるわね。だから、この本が発売された当時は、すごく斬新な響きがしたんじゃないかしら。かなり売れたみたいだし」
「ほほぅ」
「影響も大きかったのよ。この本の発売が1969年で、70年以降つぎつぎと知的生産とその技術をテーマにした本が発売されるようになったの」
「パクリというか、二番煎じですね」
「そうとも言えるけど、そんなに単純なものじゃない」
「?」
「本の中で、梅棹さんはこんな風に書いているわ」
以上のように全編が会話文となっています。
また、各章にはそれぞれの本に登場するノウハウをメモした「◆Technique Memo」と、関連する本を簡単に並べた「◆関連書籍」のコーナーもあります。どれも非常に簡易なものですが、「検索ワード」を手に入れる役には立ってくれるでしょう。
知的生産の入り口は読書にあるわけですが、その読書を始めるための入り口のような本です。最初の一歩の、さらに前の一歩と言えるかもしれません。
なぜ古い本を?
本書で紹介している本は、1970年~1980年代に出版された本ばかりなので、内容自体にやはり古さは漂います。パソコンはほとんど登場せず、タイプライターやワードプロセッサで止まっています。
だったら、そんな古い本は読まないで、最新の本を読めばいいのではないかという気もしてきますが、むしろ話は逆で、きちんと古い本を押さえた方が話が早いことは多くあるのです。
実際、この本で紹介している本を一通り読み、その本質を捉まえることができれば、現代のツールでいくらでもアレンジができるでしょうし、そこから自分なりの「知的生産の技術」を組み立てていくこともできるでしょう。それだけの知見が、古典とも呼べる本には詰まっています。
もちろん1990年以降に発売された本にも有益な本はたくさんありますが、ひとまず手を付けるとすればやはりこの辺りの本から読み始めるのがよいでしょう。
さいごに
正直な話をすると、目次を眺めればそれがもうブックリストになっていますので、中身を読まなくても「知的生産の技術」にはアクセスできます。すでに読む意欲が満タンな方は、そういうルートもありでしょう。
ただ、最初の一歩を決めかねていたり、『知的生産の技術』は読んだけれども、次はどうしようかと迷っておられるなら、本書は何かのお役に立てるはずです。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。
» 知的生産とその技術 Classic10選[Kindle版]