さて、新年一発目のエントリーは以下の新刊に関連した記事を。
「今年は、セルフパブリッシングで出版したい!」と思っている人も、実際はいろいろな状況が考えられます。
執筆経験のあるライターさんが幅を広げるために行う場合もあれば、本などまったく書いたこと無いけどチャレンジしてみたいという場合もあるでしょう。
それぞれの場合によって、やるべきことは異なってきます。今回は、それについて考えてみましょう。
大まかに次の5つの状況に分類してみます。
- 何も書くネタがない
- ネタはあるけど企画はない
- 企画はあるけど原稿がない
- 原稿はあるけど推敲できていない
- もう完成稿がある
何も書くネタがない
ライターさんなら、「書くネタがない」という状況はまず存在しないと思います。
そもそも日常のネタ集めが仕事の一環です。書きたいけど書けないネタはたくさんあるでしょうが、ネタ帳が真っ白ということはないでしょう。
が、本を書いたことがない人は、そもそものネタ帳を持っていないことすら十分ありえます。
というわけで、何も書くネタがない人は、ネタ帳を持つことから始めてみましょう。もちろん、単に持つだけでは意味がありません。そこに思いついたこと、発見したこと、気になったこと、考えたことを書き込んでいくのです。
アナログでもデジタルでもどちらでも良いですが、普段持ち歩けるツールにしておきましょう。
ネタはあるけど企画はない
ある程度ネタのストックはあるけど、そこから本の企画をひねり出せない。そういう状況もあるでしょう。
ブロガーさんでも、一記事は書けるが、本の企画となると・・・と悩むことがあるかもしれません。規模が変われば、必要なアプローチも変わります。
一番手っ取り早いのは、「パクる」ことです。書店に赴いて人気の本を眺め、自分が得意な分野で似た本が書けないかを考えるのです。
企画を考えるというのは、発想です。そして、発想力は一種の実地的なトレーニングを重ねる以外に向上させることができません。芸術は模倣からスタートする、なんて言いますが、企画案も最初は「パクり」から始めてみると練習になるでしょう。
言うまでもありませんが、丸パクリはタブーです。
企画はあるけど原稿がない
あれやこれやとアイデアが膨らみ、書きたいことは山ほどあるけど、原稿はできていない。
こういう状況は、ただ書くしかありません。とりあえずどれか一つに絞り、毎日どこかに書く時間を設けましょう。
「あれやこれや」の状況では、なかなか着手する気持ちが湧いてきません。まずどれか一つだけに絞り込んで、執筆を進めていきましょう。
※慣れてきたら並行で進める手法もありです。
また、書こうとする気持ちだけで書き進められるものでもありません。実際に執筆する時間が必要です。ノートやらタブレットを持ち歩いて、「ちょっとした空き時間ができたら書く」と決めておくなり、朝の30分を執筆にあてるなり、いろいろな方法が考えられますが、決意だけでなく時間のやりくりも考えておきましょう。
もしかしたら、セルフパブリッシングでは、ここが一番難しいかもしれません。なにせ原稿を催促してくれる人がいません。セルフマネジメントがないと、完成はずっとずっと先になってしまうことでしょう。
原稿はあるけど推敲できていない
すでに原稿を書き上げたか、あるいは自分の過去記事のストックを使って本を作ろうと考えている。
それらをまとめて「きちんとした形」にできたら出版しようと考えている。でも、その次になかなか進めない。
そういう時は、一度「本」にしてみるとよいでしょう。ようはEPUBなりMOBIファイルを作成するのです。「EPUB3::かんたん電子書籍作成」か「でんでんコンバーター」を使えば、EPUBファイルは楽々作れます。
で、そのファイルを自分で一度読んでみるわけです。そうすれば、アラが目について手直ししたくなってきます。
「きちんとした形」にしようと思うと、なんだか面倒な作業に思えて敬遠しがちですが、読んでいてアラに直面したときに湧いてくる「手直ししたい」という気持ちは、実直的なモチベーションになります。
「きちんとした形」のトップダウンではなく、「手直ししたい」の気持ちをボトムアップで積み上げていくのがよいでしょう。
もう完成稿がある
こんな記事を読んでいる場合ではありません。
さっさと本を登録して、宣伝しまくりましょう。SNSやブログが活用できます。
そして、次の本の準備に取りかかりましょう。
さいごに
今回は、段階別に取りかかることをまとめてみました。
「本を書く」という道のりはなかなか長いものです。どれぐらい優れたハックがあっても、結局自分で手を動かして、地道に書いていくしかありません。
で、時間がかかるからこそ、やる気があるならば早めに取りかかるのがコツです。どういう段階にあっても、何ができることがあるでしょう。それを愚直に進めていくことです。「〜〜したいな」と思っているだけでは、何も進みませんので。
▼今週の一冊:
脳神経医が描く、人間のお話です。
脳や神経に関する病気がテーマなのですが、それらが持つ「異常性」がことさらに取り上げられているわけではありません。むしろ、著者の視点を通して見えてくるのは「人間とは何か?」「私たちにとって生きるとはどういう意味を持つのか?」という、日常性との関わりです。
私たちは日常的に「普通」に生きていますが、その「普通」の中にもいろいろなものが詰まっているのです。身近なものというのは、一度迂回してみないと、なかなか見えてこないのかもしれません。
Follow @rashita2
今年は、最低でも4冊はセルフパブリッシングで本を作りたいと考えております。頭の中の計画では6〜8冊ぐらいはできそうです。もちろん、紙の本もどんどん書いていきたいですね。では、今年もよろしくお願いいたします。
▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。