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Evernoteと「押し出しファイリング」でネタ帳の鮮度を保つ

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photo credit: Mijonju via photo pin cc

倉下忠憲
みなさんは「ネタ帳」をお持ちでしょうか。

私はこうしてシゴタノ!の日曜日に毎週記事を書いています。また、自分用のブログも(主に二種類)毎日更新しています。週一回のメルマガも__来週でNo.94__長らく続けています。

当然、これらの更新には何かしらの「ネタ」が必要です。大量のネタを頭の中だけで管理しておくのはかなりの難行なので、「ネタ帳」に活躍してもらうことになります。ちなみに私の場合は、「ネタ帳」= Evernoteです。
※運用方法は、『Evernote「超」知的生産術』『ハイブリッド発想術』を参照してください。

このEvernoteにどんどんネタを突っ込んでいき、大量のネタ・ストックを作っています。が、Evernoteにネタを放り込むことがとても簡単にできてしまうため、「大量に突っ込みすぎる」問題が発生します。具体的には、

  • 数が多すぎて選ぶのが大変
  • 時期的な「旬」が過ぎたネタも残る
  • 自分の熱意が冷めて書きたい話題ではなくなったものも残る

といったことです。

ネタ帳(特にデジタルの)を持ったことがある方は一度ぐらいは経験があるのではないでしょうか。

こういう事態に陥るのは、ネタ帳を「整理」していないためです。Evernoteは整理しなくても使えてしまうため、ネタ帳代わりにどんどん突っ込むとこうした状態が起きやすいでしょう。

さて、このEvernoteのネタ帳整理に「押し出しファイリング」を使ってみよう、というのが今回のテーマです。


専用ノートブックを作る

「押し出しファイリング」については、以下の記事を参照してください。アナログ書類の整理方法ですが、考え方を土台にしてデジタルの情報整理法に応用することもできます。
「情報の整理」についての再考(上) ~物忘れと「押し出しファイリング」~

まず、「ネタ帳」になるノートブックを作ります。写真では「000 [短期選抜]」というノートブックが私のネタ帳にあたります。

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画像をご覧になるとわかりますが、このノートブックのノート数がちょうど「300」となっています。これはたまたまキリの良い数字になっているわけではなく、私自身が決めたルールによるものです。

物理的な棚には「書類が置ける限界」がありますが、それをEvernoteのノートブックにも適用するのです。私は一週間単位で必要なネタの数が多いので300を上限にしていますが、実際はもっと小さい数で良いでしょう。目安としては最初から最後まで目を通すのが苦痛にならない数字です。

ノートがあふれるタイミング

inboxに入ってきたノートで、「これは何かしらのネタに使えるな」と思えるものは全て__ジャンルを問わず__この「000 [短期選抜]」というノートブックに移動されます。

基本的に、消化するネタよりも新しく入ってくるネタが多いので、どこかの時点でノートの数が自分で決めた上限を超えることになります。これがノートブックの__つまりネタ帳の__整理のタイミングです。

Evernoteのノートの表示順はいろいろ選択できますが、この場合は「更新日で並び替え」を選択します。

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ノートブックのノートを最初から最後まで眺めていき、「これはもう、ネタじゃないな」と思うものについてはノートブックの移動を行います。私の場合は「アイデアノート」というノートブックが移動先です。

ノートを眺めているときに、ネタについて追記することがあればすぐさま追記します。これをやっておくとノートブックの最初にあるノートほど「ネタではない可能性」が高まります。「押し出しファイリング」の、「右側にあるファイルほど参照されない可能性が高い」と同じ原理です。これが判断基準の一つになるでしょう。

このようにノートの選別を行い、自分で決めた上限に収まるようにします。

割り切れない基準


が、人間の気持ちというのは微妙なもので、「これはネタ」「これはそうじゃない」ときっちり二分できないノートも出てきます。「もしかしたら・・・」な気持ちがどうしても消えないものもあるでしょう。その気持ちを尊重していると、ノートブックの上限に収めることはたぶん不可能です。

そういう場合は、「もしかしたら・・・」のノートを数枚まとめてマージします。わかりやすいノートタイトルに変えておいてもよいでしょう。あるいはノートリンク機能を使って、一枚のノートにリスト形式でまとめておく方法もあります。

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※マージとノートリンクの合わせ技

どちらの方法をとるにせよ、上限に収まるようにノートの数を抑えることです。

どうしたって全てのネタを消化することはできませんし、新しくネタは入ってきます。

もし必要になれば、移動先のノートブックを閲覧すればよいだけなので、「ネタ帳」には鮮度が高い、書きたい気持ちが強いネタだけを残しておくようにします。

さいごに

最後にまとめておきましょう。

  • ネタ帳のノートブックを作り、ノート数の上限を決めておく
  • ノートの表示は「更新日で並び替え」にしておく
  • 上限を越えたら、ノートの整理を行い、上限内に収める
  • 最初にあるノートほど「ネタでない可能性」が高い

ブログの更新などを続けていく上で「ネタ帳」というのは大変便利なのですが、あまり数が多すぎると逆に活用できなくなってしまう可能性があります。「大量に買い込みすぎた冷蔵庫」現象と暫定的に呼ぶこともできるでしょう。

ある程度のタイミングで「鮮度管理」を行っておけば、ネタ帳は心強い味方になります。

▼参考文献:

「押し出しファイリング」について詳しく知りたければこちらの本を。

» 「超」整理法―情報検索と発想の新システム (中公新書)


Evernoteを多元式メモ帳として使う方法を紹介してあります。

» EVERNOTE「超」知的生産術


» Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術 (デジタル仕事術)


▼関連エントリー:


R-style » 「情報の整理」についての再考(上) 〜物忘れと「押し出しファイリング」〜


▼今週の一冊:

最近の日本では「ノマドワーカー」は(笑)的に扱われていますが、本書の著者は世界を旅する「ノマドワーカー」です。その著者がどうすれば「自分らしい生き方」を選択できるのか、についてまっすぐに紹介してくれる一冊です。

実際の所、ノマドが素晴らしいのではなく、自分の生き方を納得感を持って選択できている、というのが大切なのでしょう。これまでの「常識」を受け入れられない人にとって、これまでの「生き方」は納得感を持ちにくいので、そこから脱するための「戦略」が必要になってきます。本書は、その戦略を組み立てる上で、かなり有用なアドバイスを提供してくれるのではないかと思います。

» 常識からはみ出す生き方 ノマドワーカーが贈る「仕事と人生のルール」


▼編集後記:
倉下忠憲



いろいろあって、いろいろあったんですが(全然わからない)、なんとか少し落ち着きました。次の本の企画案も、よいしょっとレールに乗っかりそうな感じなので、ボチボチ執筆モードに戻りたいと思います。苦しくて楽しいあのモードです。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。