前回までは「大片づけ」と「小片づけ」についてご紹介してきました。
今回は「大片づけ」作業の最初のステップ「整理」について。
はじめに
片づけ作業はどこから始めればいいでしょうか。
時間のあまりない方や物を減らすのが苦手な方は、毎日開け閉めする戸棚や引き出しなどの小さめのスペースや滞在時間の長い部屋からがお薦め。細切れの時間で、すぐに達成感と快適さを実感しながら作業を進めていけます。
逆に、時間がたっぷりとれて「途中で思い出の品にふけったりしない、要らない物は減らす!」と固い決意をしている方は、押入れや納戸など「開かずの間」になっていた大スペースにチャレンジ。放置していた場所は一気に空きスペースができる可能性があります。
トイレや洗面所など「小さめの共有スペース」は、アイテム数が限られており迷う物も少ないのでとりかかりやすく、家族にも「スッキリ空間の心地良さ」を実感してもらえます。
いずれにしても、こちらでも書いた「我が家を間取り図で“上から”確認し、暮らし方に沿った物の片づけ先を考える」を意識しながら進めましょう。
- モノの要不要を判断するコツ
- 捨てるものを見極めるための3つの整理ステップ
モノの要不要を判断するコツ
「整理」のステップにおいて避けることのできない「要不要」の判断。「それがわかれば苦労しないよ・・・」とぼやいている方もいらっしゃるかもしれません。
- 「要る・要らない」=主観
- 「使っている・使っていない」=事実
要不要の判断が難しいのは「主観」を問う言葉だからです。
同じアイテムを、「要る」と思うか「要らない」と思うか。これが分かれてしまうのが家族間の片づけバトルの発端ですよね。
人によって答えが分かれる言葉の代わりに試していただきたいのが、「使っている・使っていない」という言葉。これは実績=事実を問う言葉です。
- 「まだ使える」「何かに使える」ではなく、「今使っているか」。
- 「誰かが使える」ではなく、「私が(家族が)使っているか」。
モノの要不要は現在形で考え、まずは機械的に分けましょう。
「使っている」モノ=残すモノ
分けた時に「使っている」と出たモノは我が家に残しましょう。
「好きなモノだけを選び取る」という方法もありますが、今使っているモノは、あまり気に入っていなくてもなくなると代替品を入手しなければならない可能性が高いのです。お気に入りに買い替える楽しみは片づけ後にとっておいて、まずは暮らしの中で「実際に動いているモノ」は残しましょう。
「使っていない」モノ=2つに振り分け
「使っていない」と出たモノには、2種類あります。
- 使っていないし、手放してもいい
「寄付」、「リサイクルショップに持ち込む」、「粗大ゴミに出す」、「○○さんに要るかどうか聞く」など、行き先別に紙袋などに仕分けて、出かける時に目につく場所へ。やや目ざわりで早く手放したくなる場所がベストです。押入れなどにしまい込むと、また何ヶ月間もそのままになってしまいます。
- 使っていない。けれどまだ手放したくない
思い出の品や、まだ心の整理がつかないモノなど、「迷うモノ」はありますね。これらはせめて「出し入れしやすい収納スペース」からは取り除きましょう。不便な収納スペースに移動する代わりに、定期的に見直すことが大切。捨てるのが苦手な方も、時間をかけながら「やっぱり使わない」と納得し、少しずつ減らしていきましょう。そして、「何度見直しても手放せないモノ」は、たとえ使っていなくても大切なモノ。思い出の品などがこれにあたります。いつまでも「迷うモノ」扱いをせずに、「思い出ボックス」など専用の収納スペースを確保してあげましょう。
捨てるものを見極めるための3つの整理ステップ
さて、それではいよいよ作業スタートです。大きめの箱や紙袋、ゴミ袋などを複数用意して始めましょう。
1.手放せる物を取り除く
まずそのスペースの中の「ゴミ」を処分。
もともと捨てる予定で押入れにしまいこんでいた雑誌や粗大ゴミ、空のビニール袋やペットボトル、インクの切れたペンや有効期限の過ぎた通販カタログなど、躊躇なく捨てられる物は意外とみつかります。
いわゆる「ゴミ」があまりにも多かったお宅は「その部屋にゴミ箱があるか」、「ゴミ箱のサイズが小さすぎないか」もチェック。必要に応じて対処しましょう。
ゴミ以外でも手放せる物が見つかったら、それもあわせて処分しましょう。たとえば、
- 「もう着ない」と分かっていながらクローゼットに残していた着古した衣類
- 2度と読まないと分かっている本(地域の図書館に寄贈すると読みたい時には借りることができます)
- 家電の「空」箱(男性に多いです)
- 誰かに譲ろうと思っていた子供服やおもちゃ
- 昔夢中になったけれど再開しないと分かっている趣味グッズ
など。
手放すモノによっては、人にゆずる、リサイクルショップに持ち込むなども含めて「我が家の外に出す」を早く実行しましょう。
2.別の場所に属するモノを移動
部屋にしても引出しなどの収納スペースにしても、「本来ここではないもの」が混在していることは多いものです。
- 薬の引出しに紛れ込んだクリップは文具の引き出しへ。
- ダイニングチェアにかけっぱなしの衣類はクローゼットか洗たく機へ。
- パパの書斎に床置きの子どもの工作は子ども部屋か納戸へ。
- キッチンに入りきらない食材のストックは、見直すか廊下収納や納戸へ。
- 夫の趣味の物は書斎へ。
作業中の場所の片づけが中断されないよう、まずは別の場所に移動するだけに。
移動した先を片づけ始めたりしないよう、気をつけましょう(笑)。
3.残ったモノを仕分ける
» 大きく分類
残ったモノをまずはアイテム別に大きく分類。「衣類」、「雑誌や本」、「CDやDVD」、「文房具」、「おもちゃ」、「薬」など。
仕分け方に困る時は、お店で見かける仕分け方をイメージしながら分類しましょう。
» さらに細かく分類
アイテム別に分けたモノ達をさらに細かく分類。
たとえば、
- 薬:常備薬と一時的に処方されたもの、飲み薬や塗り薬など、人別など。
- 文具:書くモノ、切る物、まとめる物、貼る物など。
- 衣類:オンとオフ、仕事着と休日着や、下着、キャミソール、Tシャツ、ブラウス、ボトムス、ジャケットなど。
普段の使い方に合わせて、我が家に便利な分類を考えましょう。
ここまでできれば、最初のステップである「整理」は上出来です。
次回はいよいよ収納について考えていきます。
▼橋口真樹子:
家庭から幸せの輪を広げるお片づけカウンセラー。自宅セミナーでは我が家のリアルな収納を公開、お片づけに悩むお宅のカウンセリングでは「片づかない理由」をスッキリ解決。日本プロフェッショナルオーガナイザー協会(JAPO)主催の「お片づけのプロ養成講座」講師も務める。