整理収納オタクでないかぎり、片づけと考えただけで憂鬱になる人の方が多いのではないでしょうか。
自分がズボラだからできないと思っている人も多いようですが、お片づけに呼ばれるクライアントのタイプは様々です。
面倒くさがりな人、テキパキした人、おおらかな人、きっちりしている人などなど。
片づかない理由は様々ですが、そもそも片づけを大げさにとらえすぎたり、ポイントを勘違いしている人が多いのも事実。
今日は、片づけをもう少し気楽に考えるための視点をお伝えしたいと思います。
モデルルームは幻想。散らかるのは当たり前。
ライフスタイルは人それぞれなのに、片づいた部屋のイメージとなると、なぜか皆さん、判で押したように「モデルルームのようにスッキリにしたい」。そして、多くの方々が「片づけてもまたすぐ散らかる・・・・」と嘆きます。
まことに残念ですが、「またすぐ散らかる」のは当たり前。
本を読めば本が出てくる、食事をすれば食器やカトラリーが出てくる。家族が大人だけならまだしも、子どもがいれば様々なおもちゃがひっきりなしに出てくる。
何かをすれば、それに関連した物が散らかります。
ですが、部屋が散らかるということは「そこに豊かな暮らしがある」ということ。
リビングが散らかるのは、皆がそこに集まる幸せな空間だからでもあるのです。
誰もが憧れる「モデルルーム」は、動き=暮らしのない部屋だからこそ、いつも綺麗。
でもそれを自宅で実現するには、「一つ出したら一つしまう」というこまめな作業を、家族全員で徹底しなければいけません。
- 四六時中散らかりを気にするのが、望む暮らしですか?
- 「いつも綺麗」を守ってくれない家族を、いっそのこと締め出しますか(笑)?
なんのために綺麗な我が家を手に入れたいのでしょうか。
私のお薦めは、「散らかることを気にしない。その代わりに、いざとなったら5分で片づく部屋にしておく」です。
ご飯を食べる前や寝る前、ちょっと気分を変えたい時など、自分が望むタイミングで手早く片づく部屋であれば十分なのです。
片づけるか否かの判断は「費用対効果」。すぐ片づくからこそ、続けられる。
どうにも片づける気がしない時と、面倒だけど頑張れる時があります。
- まる二日間片づけを頑張って、義理の両親を無事我が家に招待した。
- 特別な予定もなく一日家にいたのに、片づけずにテレビをみて過ごした。
片づけようか否かと考える時、私達は無意識のうちに「費用対効果」を計算しています。
かける費用に対して得られるメリットが大きければ大きいほど、片づけが「やる価値のある作業」になるわけです。
たとえば、
- 費用 = 片づけるには、家中をかけずりまわって○時間かかる
- メリット= 義理の両親を招待できる状態になった、部屋がスッキリした
「義理の両親が来る!」となると、ほとんどの人は大変でも頑張るでしょう。
「部屋がスッキリする」程度だと、スッキリが大好きな人は頑張れても、そうではない人は「ま、いっか。」と、散らかりに目をつぶる可能性の方が高くなります。
つまり、
- 短時間で簡単に片づけられて、
- 得られるメリットが大きい(○時間の余裕ができた、人生が変わった!など)
ほど、「片づける」を選ぶ可能性が高くなるのです。
すぐ片づく部屋には「基本形」がある
では、すぐに片づく部屋とはどんな部屋でしょう? 条件は3つです。
- 物が少ない
- 全ての物に「定位置」(=元に戻す場所)がある
- 定位置が便利である
1.物が少ない
片づける物の数が少ないほど、片づけにかかる時間は短くなります。
2.全ての物に「定位置」(=元に戻す場所)がある
「片づけて!」の一言で家族のだれもが同じ行動をとれるかどうかは、その家に「基本形」(=片づいた状態)があるかどうかにかかっています。
基本形のある家では、誰が片づけても「リモコンはダイニングテーブルのカゴの中、雑誌はソファー横のマガジンラックの中」など、片づけ後の仕上がりが同じ。
「どこに戻せばいい?」、「入らない!」と悩むこともなく手を動かすだけで片づきます。「頭を使わない単純作業」はラクなのです。
3.定位置が便利である
定位置は「決まっていること」と同時に「便利であること」が大切です。
ダイニングで使う物の定位置が洗面所の引出しだとすると、「後で。」と置きっぱなしになることは目に見えています。
定位置決めの基本ルールは「使う場所に使う物を」。「後で。」にならない定位置を見つけることがポイントです。
大片づけは未来への「投資」
片づけには、暮らし方、部屋の使い方、家具の配置から物の量までを見直す「大片づけ」と、日々使ったものを元の場所に戻す「小片づけ」があります。そして部屋が片づけにくくなっている場合、原因は小片づけではなく大片づけにあることがほとんどです。
- 「子どもが片づけてくれない」子ども部屋のクローゼットには両親の過去の品やオフシーズン服がぎっしり。子どもの物を収納する場所がそもそもない。
- 手前に置いた家具のせいでクローゼットが開け閉めしづらく、衣類を戻すのが面倒。気づけば衣類は全てクローゼット前のハンガーラック、クローゼットの中はガラガラ。
など。
「すぐ片づく部屋」にするには、遠回りに見えてもまずは大片づけから。大片づけはこれからを気持ち良く暮らすための「投資」なのです。
▼橋口真樹子:
家庭から幸せの輪を広げるお片づけカウンセラー。自宅セミナーでは我が家のリアルな収納を公開、お片づけに悩むお宅のカウンセリングでは「片づかない理由」をスッキリ解決。日本プロフェッショナルオーガナイザー協会(JAPO)主催の「お片づけのプロ養成講座」講師も務める。