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習慣化よりもっと「ロボット」を活用して効率化を実現したい



佐々木正悟 ライフハック@マインドというセミナーを先日開催しました。

今回私は45分程度喋っただけでしたので、テーマはひたすら「習慣というのはすべからく技術なのであり、技術は「ロボット」次第で質が決まる」という話に集中しました。

「ロボット」は私の造語で、心理学で言う「手続き記憶」に相当します。

人は無意識でもこなせるような程度にまで技術レベルをひき上げることができ、そこまで行くと本人にもときおり「離れ業」と感じられることがあります。

たとえば細い道をバックで戻っていくことができる人のなかには、本当に後ろに目が付いているのかと思えるくらい、運転の上手な人がいるものです。

しかし「ロボット」が受け持つのは、決して運転、水泳、スキー、ピアノなど、いかにも訓練の成果として獲得する技能ばかりではありません。

生まれつき、赤ん坊にできないのに、誰もがあたりまえのようにやっているすべての「技能」は、「ロボット」がやっているからできるのです。

ハシでものを食べるのも「ロボット」です。一般的なアメリカ人にはできません。全力で転ばずに走ることができるのも「ロボット」のおかげです。幼児はすぐに転びます。

それどころか、歩行や、はいはい、寝返りを打つ、手を合わせるといったことすら、生まれつきできるわけではないのです。こういうことすらも「ロボット」を訓練して備え付けた成果に他なりません。

習慣化とは「ロボット」を育てるために繰り返すこと

この事実が、「習慣化」や「時間管理」に非常に重要な意味を持っています。

私たちが「習慣化」なるものを好むのは、それによって、作業時間を短くできたり、精神的に苦痛だったものが、急に容易にできたりするからです。

が、本当のところ、時間短縮や実行時の容易さを実現するのは「習慣化」ではなく「ロボット」です。「習慣化」は「ロボット」を育てるための訓練期間と、「ロボット」を持続的に使い続ける期間とを、ただ結合して言っているだけのことです。

現実に、習慣にしていないことであっても「ロボット」が備わっているなら、その行為はいつでも容易にやれます。たとえば私はもう何年も自転車に乗ってませんが、乗ろうと思えば容易に乗ることができます。

このことを安易に考えるのは禁物です。容易に感じられるのは、無意識の「ロボット」が作業のほとんどをやってくれるからなのです。「自転車に乗る訓練」をこの歳になってはじめなければならなかったら、とてもやる気になれないでしょう。

「習慣化しないと続けられない」という、ほとんどトートロジーでしかないようなことをこぼしがちなのは、実は「これから「ロボット」を育成する訓練をはじめないと!」というのが苦痛だからなのです。

子どもを自転車に乗れるようにしようと思う人は、子どもに対して「自転車の練習を習慣化しなさい」とはあまり言わないものです。「乗れるようになりなさい」と言うでしょう。

すべてのことをそのように考えるべきです。

やりにくいと「思う」ことはすべて「無意識ができるようになってないから」なのです。「ジムへ行く習慣」が必要なのではなく、ジムへ行く「ロボット」が必要なのです。

次のリストは、ごりゅご.comの「ごりゅご」さんが「奥さんを怒らせないように洗濯するロボット」をセットするためのリストです。

単に「洗濯するロボット」であれば、ごりゅごさんにもすでにあるわけですが、「奥さんを怒らせない」という条件を満たすための「ロボット」は持ってない。だから「間違ったこと」をして怒らせてしまったりする。その恐れがあるから「面倒だ」と感じる。

しかし下記リストどおりに身体を動かせば、いずれ小脳などの領域がほとんど無意識のうちに、条件を満たすアクションを実行してくれます。すでに奥さんはそうなっているはずです。

  • ポケットの中を確認する
  • 色ものをわける
  • 汚れがひどいものをわけて漂白剤につけおきしたり手洗いしたりする
  • 洗濯ネットに入れる
  • 風呂の残り湯を使う
  • かさばるものから順に洗濯物を洗濯機に入れる
  • 洗濯機の設定を変える
  • 柔軟剤を入れる
  • 洗剤を入れる
  • 洗濯機を回す
  • 洗濯が終わったらすぐフタを開ける
  • 洗濯ネットから取り出す
  • シワを伸ばす
  • 衣類を表に返す
  • 衣類の向きを揃えて洗濯カゴに入れる
  • 給水ホースを片づける
  • 干す

こういう感じで、様々な発見や、妻の「こだわり」を盛り込んでできあがったのが、本書冒頭の「洗濯観察リスト」です。

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私たちはつい「水泳ロボット」や「筋トレロボット」をすぐにイメージしがちになるものですが、「プールまで行くロボット」や「ジムに行くロボット」のことを話題にすると、笑いのネタだとしか思いません。でもそれは、本当のところ、正しくはありません。私たちは誰だって、生まれたときには、寝返りも打つことができなかったのです。

ジムに通うのは、寝返りを打つことに比べれば、ずっとずっと難しい。その「技術」を習得するために、工夫をしたり、意識的努力をしたり、コツをつかんだりすることは、必要なのです。

私たちは自分の事をかなり「有能」だと感じているから、そんな「ジムに通う努力」だの「洗濯機を動かすロボット」だのについて考えることがばかばかしいと思うでしょう。

でも私たちが「有能」なのは、たくさんの「ロボット」をすでに得てきているからこそであり、「ロボット」がまともに機能しなくなれば、たちまち赤ん坊と同じくらい「無能」に戻ってしまうのです。不幸にも、脳の障害によって、そのようになってしまう人は、現実に居るのです。

それに「ロボット」は意識が想像するよりも遙かに優れた、驚くべき能力を備えています。たとえば引っ越したてのころには、あまりよく知らない道を往復すると、疲れることがあると思います。また、よく知っている道でも、友人や子どもと一緒に歩くと、ふだんより妙にくたびれたりすることもあるはずです。

最寄りの駅から帰宅する「ロボット」は、無意識のうちに、道路の歩きやすい面を探し、下り坂で少しだけペースを速めたり、上り坂のために体力を温存しておくなど、驚くほど大量の仕事を完全に意識させることなく、処理してくれているのです。だから、1人で知った道を歩くと、とても楽に歩けるわけです。

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▼編集後記:
佐々木正悟



約1ヶ月後に、沖縄の宜野湾市でセミナーします。

あっという間に懇親会が満席になってしまって、慌てて増枠しました。

ご都合よろしければ、よろしくお願いいたします。

8月27日 ライフハック@沖縄(沖縄県)