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気持ち一定でないのは当然だから、弱い気持ちでも行動できるようにする

By: Jim KravitzCC BY 2.0


佐々木正悟 およそチェックリスト、ToDoリスト、そしてタスク管理ツールと呼ばれているものの、当初の機能は「忘れずにする」ことでした。

タスクシュートはいささか趣が違いますが「記憶の補助」という機能を担っていることは、たしかです。

ところが、記憶の中には「単にやることを思い出す」ことのほか「やる気持ちを思い出す」という機能があります。ロボットではない私たちは、やることを思い出しさえすればそれをする、とは限らないからです。

チェックリストやToDoリストが登場したときには、この件に関して、幻想がありました。それは「書いてあればやるべきことを思い出せるばかりではなく、やる気も思い起こせる」という幻想です。

チェックリストやToDoリストがもたらす幻想とは?

実際には、紙にやることを書き出そうと、リスト化しようと、そうすれば何でもできるわけではありません

書けばやり出せるというなら私はさっさと掃除や原稿書きなど山のように書き出してそれをやり、当分仕事はせずにすませようとします。

しかし、リスト化することで「やる気も思い出せるかもしれない」という幻想を抱いた人の考えにも一理あります。

少なくとも、やることを思い出せないなら、やる気だって思い出せないでしょう。

明日締め切りの原稿を書こうという気持ちは、そういう仕事があったことを完璧に忘れていたなら、決して思い出せないはずです。

ここには大切なポイントがあります。なぜ私たちは、やるべきことを忘れるばかりか、やるべきだという気持ちまで忘れるのでしょう?

前日の夜に決意した「これからは毎日ブログを書くぞ!」といった気持ちは、なぜ消滅するのか?

理由は簡単で、他のことが大事になるからです。気持ちが全部一定だというのは、非常におかしいのです。

にもかかわらず私たちは、気持ちを常に一定にできない人のことを「意志薄弱」と呼んだりします。目的意識が弱いなどとも言います。

ずっとトイレに行きたくて、ずっと食欲があって、ずっと眠たくて、でもずっと起きたくて、ずっとどこかに行きたくて、でもずっと家に居たいとしたら、どうでしょう?

あらゆる行動についての動機づけが常に強いとは、そういうことです。

起きたいという気持ちと、眠たいという気持ちは、同時に起こったら矛盾しています。順番に変動するから、正常なのです。あらゆる動機づけはこのようになっています。入れ替わり、立ち替わり、変動して、消えては現れるから、正常なのです。

ちょうど原稿を書くときだけ、最高に原稿が書きたいのがベストですが、トイレに行きたい気持ちを完全にはコントロールできないように、それどころか睡眠欲ですら完全にはとてもコントロールできないように、気持ちを完全にコントロールするのは、ムリです。

ということは、常に動機づけが高くなくても、やるべきことを安定的にできるという人は、常に高い動機づけで行動しようという人よりも、ずっと安定した成果を出せるはずです。

やるべきことをやるときに、高いモチベーションを備えているとは、限りません。それでもできることが大事です。レシピや時間帯という概念は、テンションが低いときにも高いときと同じように、同じではなくても最低限の成果を上げるべく、そこそこ動けるようにするのに非常に役に立つのです。

▼編集後記:
佐々木正悟



間もなく発売となる新しい本です。

私は本書をどちらかというと「不要な完璧主義に苦しむ人のため」に書いています。

日本には、いささか完璧主義的な風土があって、その風土にぴったりあう人もいるにいるのですが、まったくあわない人まで、物事を、特に仕事は完璧にしないとならない、という思考にはまって苦しんでいます。

特にそうした人に読んで欲しいと思っています。

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