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時間活用の上限に迫る

By: Evgeniy IsaevCC BY 2.0


「脳には辺縁系という瞬間の快感を求める部分と、前頭葉という目的達成を求める2つの部分が対立しています。セルフコントロールの鍵はこの前頭葉を先に作動させる訓練なのです」

「そのためには、「if-thenプラン(こうだったらああする)」という決まりを作っておきます。例えば15時前だったらメールをチェックしないとか、カッとなったら10数えるなどの決まりを繰り返すうちに、セルフコントロールが必要な場面で発揮できるようになります」

「ニューヨークタイムズ」より翻訳引用

仕事で成功するのに欠かせない「優れたセルフコントロール能力」を訓練する方法 | ライフハッカー[日本版]

佐々木正悟 孫引きになってしまいましたが、ここに重要で面白い方法論がうまく要約されています。

こういうことはタスクシュートユーザーにはおなじみです。けれどこういうことをやったからと言って、うまく仕事をさぼるクセを排除できるとか、悪癖を斥けられるとは、たぶん信じられないと思います。

タスクシュートには、上記if-thenプランの集約といった特徴があります。これをやったら、次はあれをやる。8時になったら、それをする。一日の全てをif-thenプランにまとめあげ、どこにもスキマがないようにするのです。

それを言い換えると、一日や一週間をダメにするような誘惑を避けるすべを、予め考え抜いておく、ということになります。

ここでたちまち次のような反発を呼ぶのが容易に想像されます。これは人間心理の特質によるものなのかもしれません。

  • 「事前に決めておいたとおりに機械的に誘惑を避け続けるのは、がんじがらめで自由がない」
  • 「事前に決めておいたとおりに誘惑を避けられるとは、思えない」

上の「がんじがらめで自由がない」については、残念な意味で使う「神学論争」になっていきます。

「事前にどうするかを決めておく」のは自分自身なので、「事前に決めておいたとおりにするのは自由がない」というのは、私には論理的ではないように思えます。

かつて書いた本について「予めプログラムしたとおりに動くなんて、囚人と同じではないか」と批判されたことがあります。がんじがらめ感の強さを物語っているわけですが、そうはいっても囚人は他人の決めたプログラムに従わされるのであって、自分で勝手にプログラムを定める権利がない点で大いに違っていますし、囚人はプログラムに逆らうことができないという点でも違います。

タスクシュートに限らずですが、タスクシュートは無視できます。いやになったら使わないということもできますし、そうしている人も多いでしょう。「囚人」は、いやになったからと言って監獄を勝手に出て行くことはできません。

以上について念を押しておきたいのは「どのように誘惑を避けるかの自由」を最大限に活用するべきだと思います。チョコレートをなめたくなったら自分の舌に電撃を流す、というのと、チョコレートをなめたくなったら代わりに0カロリーのチョコを好きなだけ食べる、というのとでは、雲泥の差です。

なるべく「やっていられる」もしくは「やって何の苦痛もない」代貸タスクに進むようにするべきです。そこが工夫のしどころです。

というところまで来ると、今度は新しい問題が出てくるわけです。つまり、下の方の問題です。

  • 「事前に決めておいたとおりに誘惑を避けられるとは、思えない」

タスクシュートに強制力はない以上、そしてユーザーは「囚人」ではないから、これは当然です。「チョコレートを食べたくなったら、お茶を飲む」などとしておいても、実際には「チョコレートを食べたくなったら、チョコレートを食べる」とすることはできるわけです。誰もそれを強制的に止めることはできません。

しかしだからこそ、「誘惑」をリアリティをもって想像することが大事なのです。だから私は、冒頭の引用を孫引いたのです。「「if-thenプラン(こうだったらああする)」という決まりを作って」おくとなると、その途中の過程において「もし、どうなるのか?」という自問を必ずくぐることになります。

もし、朝の10時に原稿を書きたくなくなったら…ということも当然起こりますが、もし、夜の21時に原稿を書きたくなくなったら…というほうが、よっぽど起こりがちです。

にもかかわらず、タスクシュートで21時に原稿を書くことになっていたら、そこで出くわす誘惑の強さと多さに、おそらく対応できないだろうということが、ありありと想像できます。

この、if-thenプランの前提となる、ifそのものに、問題が多々、含まれているのです。「囚人」うんぬんを論じる前に、タスクシュートを使っていると、必ず出くわすのがこれです。少なくとも、タスクシュートを単なる時間推定機のように使うのではなく、まして単なるクローズドのタスクリストのように使うのでもなく、リアルタイムロギングメソッドを実践するツールとして使うならば、必ずこの光景にぶつかることになります。

昨日や一週間前、どのような夕暮れの風景とともに、どんな気持ちを抱き、どんな思いで仕事を先送りしたかを、今日これからの夕刻のこととして思い起こすことができたならば、そしてその夕刻に起こりそうな出来事に至るまでの時間の過ごし方に、十二分の説得力が見いだせるならば、自分はそのタスクをしないだろう、と不思議なほど強い確信を持って、結論できるのです。

ならば、そんなif-thenプランを立ててはダメなので、もっとマシなif-thenプランに書き換えなければいけないはずです。

▼「タスクシュート」についてはこちらをどうぞ。

» タスク管理ツール TaskChute2

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▼編集後記:
佐々木正悟



8月22日 第2回 心理ハックセミナー(東京都)


第2回のテーマは「集中を生み出す時間管理」です。

(なお、こちらのセミナーは「心理ハック」というテーマで一貫させてはおりますが、シリーズものではありませんので、第2回に参加いただくにあたって、第1回参加は必須ではありません)

時間管理というのは、誰もが「望むところ」ではあるものの、ビジネス書のなかでは必ずしも「うけ」がよくないという、不思議な不変のテーマです。

1つには「時間を作っても、それを何に使うの?」という、時間貧乏の筆者にはうらやましい疑問がたえず発されるせいかもしれません。

あるいは「時間管理なんかうまくいきっこない」というほとんど絶望的なあきらめの念があるのかも知れません。

私は「時間管理」が可能だという「セクト」にくみする人間ですが、「時間管理」によって成し遂げるべきことは「集中」です。

集中するために時間管理するのです。

時間管理とは、集中する時間を少しでも多くもてるようになるための、方法論です。

繰り返しになりますが私は、時間管理は可能であり、可能にする方法がある、という考えをずっと抱いてきています。
そういう方法に興味ある方に、ご参加いただけると幸いです。