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タスクシュート式で集中を実現する



佐々木正悟 仕事術で一般に「今やるべきことに集中せよ」と言われます。非常に当たり前のことのようですが、これがなかなかうまくいきません。理由はいくつかあります。

  • 今やるべきことがわからない
  • やろうとしてみると集中できない
  • 疲れている
  • やるべき事に集中すると、やりたいことがやれなくなる

以上を大きくくくってみると「やりたいことが「今」に集中してしまっているため、やるべき事1つを取り出せない」という状態です。

たとえば「疲れている」というのは「やるべき事」があるけれど「休みたい」ということでもあります。両方同時にはできません。そのジレンマが「集中できない状態」です。

「今」を空けるのがライフハック

ライフハックはなるべく「今やるべき事に集中する」という状態を作り出すことを目指します。そのための方向が2つあります。

  1. やるべき事に付随することをなるべく「簡便化」して「やるべき事」だけを残す
  2. やるべき事1つ以外は「後で必ずやる」ことにして「やるべき事」だけを残す

1はたとえば「ショートカットキーを使う」などです。繰り返し入力などの「雑事」をなるべく容易に済ませること(できれば自動化すること)で「今やっていることだけ」に集中できるようにするわけです。

2は、これが「展望記憶の補助」です。牛乳を買わなければいけないことを仕事中に思い出したら、それはリメンバー・ザ・ミルクなどに任せましょうというやり方です。

このようにして「今」は「今やるべき事だけ」をやり、「今やらなくてもいいこと」を「今」から追い出してしまうのです。それがライフハックです。

タスクシュート式で集中を実現する

これは強力なやり方ですが、それでもまだまだ「今に集中できない」ということが起こります。それはまだまだ「今やるべきでないこと」をやめられていないからです。

たとえばこれからクレームメールに対処しようと決意したのに、マシンに向かうとつい、ネットサーフィンを始めてしまう。よくあることです。「今やるべき事」ばかりに注目していると「今やるべきでないこと」の駆除に失敗するのです。

要するに、まだ「今」が空いていないのです。他にやることはないと思っていたのですが、他にやりたいことが実はあったわけです。ネットサーフィン、SNS、休憩、買い物・・・。そのいずれも「今やるべきではない」事が自明のようでも、実は自明でも何でもないのです。自明でないからこそ「やる」のです。

タスクシュート式はこの点にメスを入れます。2つの方針があります。1つは「後で必ずやる」というライフハックの原点に返ります。そんなにやりたいことなのですから「後でネットサーフィンすること」「後で休むこと」「後でSNSすること」「後で買い物すること」にするのです。

だからこそタスクシュートには休憩でもなんでも入れるべきなのですし、使途不明時間などがあってはいけないのです。

次にタスクシュート式では行動の記録を詳細に残します。そうすることで「今やるべきでないこと」を「やってしまったのではないか?」という視点でチェックできます。これをしないと私たちはいつまでたっても「今後は今やるべき事だけをしよう」として、同じ失敗を繰り返すからです。