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今年「やらない」ことを決めるための12の問い



大橋悦夫「やらないことを決める」というのはあちこちで繰り返し言われていることですし、このブログでも「しないことリスト」の効用など、似たような話を書いてきていますが、大事なのでまた書きます。

そもそも「やらないことを決める」のは、そうすることで、おのずとノイズが取り除かれて、本来すべきことに集中できるようになる、という狙いがあるのだと考えられます。

そうなると、次に気になるのは、どうすれば「やらないこと」を効率よく効果的に決められるのか、ではないでしょうか。

何かを「やらない」と決める上でやらない方がいいことは何なのか、というわけです。

結論から言うと、それは、

  • 「何をやらないようにすればいいかなぁ~?」と漠然と考え始める

です。

これは、先人たちの努力の結晶ともいえる「公式」を使わずに、イチから計算をし始めるようなもので、効率も効果も未知数、ということになってしまいます。

そんな便利な公式なんてあるのか、と思われるかもしれませんが、少なくともイチから考えるよりはベターな、先人によるリストがありますのでご紹介。

今年「やらない」ことを決めるための12の問い

7年前の今日(2006/01/07)書かれた Your 2006 Strategic Plan — 12 Areas Where You Can Say “No” という記事が出典です。

「ノー」と言えるようになることが最も戦略的な意志決定である、ということで12の問いが紹介されています。

ちなみに、「戦略」とは「味方に一方的に有利、敵に一方的に不利になる基本思想」である、という明快な定義を意外な本から最近学んだところです(詳しくは編集後記にて)。

つまり、一方的な勝利をものにするためのリスト、というわけです。

では行ってみましょう。

1.今年はどの構想・プロジェクト・活動をやらないことにしますか?
 (What strategies, initiatives and activities will you say “no” to?)

2.今年はどの指標をチェック対象外にしますか?
 (What measurements will you ignore?)

3.今年はどんな顧客を相手にしないことにしますか?
 (What customers will you not target?)

4.今年はどんな人とつきあわないことにしますか?
 (What people will you not keep?)

5.今年はどんなライバルと競わないことにしますか?
 (What competitors will you not follow?)

6.今年はウェブサイト(ブログ)から何を取り除きますか?
 (What will you remove from your web site?)

7.今年は何にお金を使わないようにしますか?
 (What money will you not spend?)

8.今年はどんな集まりに参加しないようにしますか?
 (What meetings will you decline?)

9.今年はどんな旅行を避けるようにしますか?
 (What trips will you not make?)

10.今年はどんな(プレゼンテーション)スライドを作らないようにしますか?
 (What slides will you not create?)

11.今年は何を言わないようにしますか?
 (What will you not say?)

12.今年はどんなことを考えないようにしますか?
 (What thoughts will you not entertain?)

古い水路をつぶす

※以下は5年前の今日書いた内容ですが、今でも重要だと考えますので、締めくくりにかえて再掲します。

計画も大事ですが、それ以上に大事にしたいもの、それは自分の意志

古来より「意志あるところに道は拓ける」といわれていますが、計画が“水路”なら、意志はそこを流れる“水”といえます。

うまくいかない原因の多くは、水路の不備ではなく、単なる水不足でしょう。水路にたどり着く前に水がなくなってしまうのです。

新しい水路に水を引いてくるためには、次のいずれかのアプローチが必要です。

  1. 源流の水の量を増やす
  2. 古い水路をつぶす

水が豊富にあれば、すなわち「やる気満々」であれば、勢いで前進することもできるでしょう。でも、いつまでも“水圧”を高く保っていられるものではありません。

そこで、余計なところに水が流れていかないように、古い水路はつぶしておくことが必要になってきます。

「やらないことを決める」ことがまさにこれ。

新しい水路、すなわち計画をいかに立てるかは、古い水路をつぶしてから考える問題なのです。

 

合わせて読みたい:

古い水路をつぶすためのヒントが得られる一冊。


関連エントリー:

まず、今年やらないことを決める 
続く習慣を作るための初期設定 
「しないことリスト」の効用 
自分を奮い立たせる目標を設定するための4つの問い 
今やろうとしていることは、真に「インパクト」のあることか? 

 

▼編集後記:
大橋悦夫



本文で言及した「意外な本」ですが、Kindleでこれまでに読んだ中でベストな一冊となりました。

単なる文章術の本ではなく、どうすればターゲットとなる人(誰にでもではなく)に読んでもらえる文章を「Webで」書けるかについて、その考え方と具体的な技術を解説しています。

「Webで」というところがポイント。

Web上のコンテンツを最初に読むのはおそらく人間ではありません。Googleが検索インデックス作成用に動かしているロボットだったり、ページの更新を確認に来るRSSリーダーだったりします。

そこで本書では、Webライティングを「Webに特化したライティング」と定義します。

すでにWebライティングに関する書籍は多くありますが、「Web」と付いているのに従来の作文技法から一歩も抜け出していない本も見かけます。人に読んでもらうための「ライティング」をベースに、機械にも読ませるためのテクニックが「Webライティング」です

Googleのアルゴリズムが変更され、コンテンツの面白さがますます重視されています。といっても、Googleのアルゴリズムは面白さを理解できません。同じサイトのほかのページと比べた直帰率、似たサイズのコンテンツと比べたときの閲覧時間、FacebookやTwitterでの拡散度合いなど、さまざまな指標を組み合わせることで、面白さを評価しているはずです。

したがって、人間相手に文章を作るライティングのテクニックはWebでも有効です。

一方で、たったいまどんなキーワードの検索数が多いのかがわかるツールの存在、検索結果の見出しは最大35文字しか表示されないといったWebならではの制約事項は、「ライティング」とは別の「Webライティング」というテクニックを生み出しました。

これまでのテクニックも大事だけど、WebにはWebのやり方もあるよね、というのが本書の立場です。(p.15)

さほど期待せずに読み始めたのですが、「Webで!」「伝える!」という2つのポイントに徹底的にこだわって作り込まれており、結晶化された技術の数々には大いに驚かされました。紹介されている文例も「なるほど、確かにこういう書き方は人気記事でよく見かけるな…」とうなずくものばかり。

以下は個人的にグッと来たトピックです。

  • 完成度より共感性
  • 強いメッセージより会話できるメッセージ
  • 起承転結の「転」を量産する方法
  • Amazonも実践しているプレスリリースを先に書いてからマニュアルを作る手法
  • 高いクリック率が期待できる「SEO見出し」の決め方と書き方
  • 目的に応じて3種類の見出しを使い分ける
  • Facebook運用にも使える見出しパターン
  • 結論から先に書く書き方が必ずしもベストではない理由
  • 無駄のない文章を書くための順次圧縮テクニック

デザインも重要ですが、検索エンジンやソーシャルメディアでロボットや人から評価されるのは文章です。今後、文章で身を立てて行こうとするなら、「Webライティング」は欠かせないサバイバル技術となるでしょう。

文章の書き方を根本的に見直さなくては…と良い意味で追い込まれた一冊です。

僕の今年やらないことの1つは「これまで慣れ親しんできた書き方で文章を書く」となりました。



打ち合わせ先から直帰するのを「やめる」