現在発売中の日経ビジネスアソシエ・2月19日号の特集タイトルは、
仕事がデキる人の「しないことリスト」
年頭にも、
というエントリーを書きましたが、ダークサイドに注目することでライトサイドを際だたせる効用がありそうです。
この特集では、以下のような各界で活躍している(していた)著名人の「しないことリスト」が多数紹介されており、参考になります(スラッシュの後は「しないこと」)。
●松本大氏/よく分からない人、苦手な人、中華料理、風邪薬など
●熊谷正寿氏/夢・目標に対するポイント以外
●川本裕子氏/夜の宴席、ショッピングでの迷い、裏表、テレビ
●織田信長氏/部下の安定
●豊臣秀吉氏/無能な上司に仕えること
●徳川家康氏/目先の利益の追求
ちなみに、著名人ではありませんが、
ムダを徹底カットする“ちり積も”ハック集
として「自分一人で小さなムダをこつこつ省く方法」を12個、ご紹介いただいています(52ページ)。
頑張れば何でもできると思うのは幻想だ
それはともかく、僕自身もっとも響いたのは、脚本家の山田太一氏のインタビュー。
「自分の能力の範囲を遠慮がちに設定することが30代で必要」
というメッセージは30代には特に刺さるのではないか、と思います。
一部を抜粋します。
・頑張れば何でもできると思うのは幻想だ
・可能性のよき断念こそ必要
・一番やりたい一つに絞る
・目先ばかりの競争をしていると、かえってパワーが落ちる
そして、
今みたいな情報社会は、どしゃぶり的にチャンスや機会が降ってきて、相当自分を抑制してないと、その波にのまれてくたびれ果ててしまう。
という主張にいたります。
もちろん、このように「選ぶ」立場になるには、そこに至るプロセスにおいて「どしゃぶり」に身をさらすことが必要ではあるのですが、大切なことは、最終的に絞り込むのだ、という目的意識を持っておくことでしょう。さもないと、毎日が「お祭り騒ぎ」となり、行き着く先は「後の祭り」になってしまいます。
「祭り」には、これに先立つ入念な準備とこれに続く後かたづけがセットになっていますから、「祭り」をめいっぱい楽しもうとするなら、ピークそのものよりもその前と後ろに注意を払う必要があるわけです。
「相当自分を抑制」することは注意を払うための具体的な方法の1つといえます。
ふたつの苦しみ
ここで思い出されるのは、こちらでちらりとご紹介した『扉の法則』の以下の一節。
「すべての人は、ふたつの苦しみのどちらかに耐えなければならない。すなわち、自己規律の苦しみか後悔の苦しみである。その違いは、自己規律の苦しみは数グラムの重さしかないが、後悔の苦しみは数トンの重さがあるということだ」
こうした「苦しみ」という砥石によって磨かれるからこそ、その先に純化されたピークを迎えることができる、と考えられます。
さらにこれは、本田直之さんがいうところの「考え方のクセ」にも通じるでしょう。
本田さんの著書を読んだ人の感想というのは次の2つに分けられるそうです。
1.なるほど、この方法を自分でも実践してみよう!
2.これは本田さんだからできるんでしょ。自分には無理だなぁ…。いうまでもなく1の姿勢の人が最終的には成果を上げることになります。本田さんによれば、こうした考え方のクセを変えない限り、どんなに良い方法を取り入れても成果にはつながらないといいます。
逆に、「どうしたらできるだろうか?」と常に考えている人(=そういう考え方のクセを持っている人)は、1日2日では変わらないにしても、そうした「考え方のクセ」によって複利の効果が生まれるため、例えば10年たった時に非常に大きな差となって現れるわけです。
「どうしたらできるだろうか?」を前に進める上で「しないことリスト」は役に立つはずです。
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