何事も始めるのは簡単ですが、続けるのが難しいものです。
そこで、もっとラクな方法があるのではないか、という「青い鳥ツアー」が始まるわけですが、結局は試行錯誤しながら自分にとってしっくりくるやり方を自分で編み出すのが一番良い、という結論にいたります。
最初は誰かのやり方を真似るところから入ったとしても、続ける中で自分流にアレンジしていけば、あるいは、いろいろなやり方のよいとこ取りをして自分だけのサブセットを作ればよいのです。
たとえば、ダイエット。
僕自身、30代後半に入ってからは油断するとすぐに体重が増加するようになり、いったん増えた体重は簡単には落ちなくなりました。
これまでにも、レコーディング・ダイエットやシャングリラ・ダイエットなど食事を変えるアプローチと、筋トレ(特にスロトレ)で基礎代謝を上げてカロリーの“不労消費”を増やすアプローチをトライしてきましたが、いずれも思ったような成果を上げられず、ひたすら挫折を繰り返してきました。
転機が訪れたのは2010年2月
それまで気が向いた時に数キロ走る、という中途半端なランニングを断続的に行っていたのですが、とある飲み会でたまたま一緒になったメンバーがお互いに近所に住んでいることがわかり「毎週月曜日の朝6時に集まって走りましょう」と意気投合、3人で定期的に走るようになったのです。
最初は月曜日の朝だけでしたが、だんだんほかの曜日も一人で出走するようになり、その年の暮れからは毎日の習慣になりました。
その後、10kmレースやハーフマラソンにも出場するようになり、今年の2月には東京マラソンでフルマラソンも何とか完走するまでになりました。
中学・高校・大学と一貫して運動からはほど遠い学生生活を送ってきましたので、こんなに走っているのは人生でも初めてのことです。
今もって走ることはぜんぜん楽しくないですし、走らずにすむならその方がありがたいと思っています。
当然、サボる日もあります。
一昨日までの一週間は毎日5km走りましたが、
昨日は大雨だったのでお休みしました。そして今日は走りました。
以下は今月の実績です(本日時点;ランニングアプリ「Nike+Running」による)。
「ご褒美」がもれなく確実に得られるから続く
イヤイヤながらもランニングが続いているのは、ランニングがもっとも時間効率のよいダイエットになることが文字通り身体で分かってきたからです。
食事を制限するのも一定の効果がありますが、食べることは僕を含め多くの人にとって人生の楽しみの1つですから、よほどストイックな人でないと続きません。
その点、ランニングを続けていれば、走った日には走らなかった日よりも多めに食べることができるという「ご褒美」がもれなく確実に得られますので、仕方なくながらも走るわけです。
むろん、走ることで消費したカロリー以上に食べてしまっては意味がないので、何をどれだけ食べたのか、ざっくりとではなく可能な限り正確に記録する必要があります。
これについてはカロリー管理というアプリを使い続けており、データもだいぶ蓄積されてきたため、入力の手間も少なくなってきています。
ゆっくりだが確実に減り始めた
上記のグラフはWiFi Body Scaleで毎日計測している体重の推移です(昨年9月から本日11/27(火)まで)。
ピークだった1月3日の80.8kgから72.7kgまで約11ヶ月かけて8.1kg落とすことができました。1ヶ月あたり約0.74kgと、かなりゆったりしたペースですが、途中細かなリバウンドはあるものの、減少トレンドをキープできています。
ところで、昨年12月から今年の2月にかけて一気に体重が増加しています。
これは、2011年12月4日に出場した「いたばしリバーサイドハーフマラソン」で、無理にスピードを上げたことが原因で右足首を痛め、しばらくランニングを休んだためです。
毎日接骨院に通い、2月26日の東京マラソンまでには何とか復活できたのですが、その間、思うように練習ができなかったことと、食事をコントロールできなかったこととで、初めてのフルマラソンの結果はさんざんなものでした。
ここから得られた教訓は、短期間で一気に何かを成し遂げようとすると、かえって成果を遠ざけてしまう、ということでした。無理のないペースでじっくりコツコツ確実に積み上げていくしかない、と。
「コツコツカツコツ」
新将命(あたらし・まさみ)さんの『伝説の外資トップが説くリーダーの教科書』という本で「コツコツカツコツ」という言葉に出会いました。
勝つ方法はたったひとつだけ。あきらめずにコツコツやるしかないのである。これを私は「コツコツカツコツ」と呼んでいる。
「コツコツ」が「勝つコツ」である、というわけです。
この言葉を胸に、東京マラソンの傷が癒えた日から次の3つをマイルールに過ごしてきました。
- 毎日5kmのランニング
- 食事は1日1686kcalまで
- 週に1度は1か2のどちらか一方を破ってもOK
毎日5kmのランニングは、個人的には無理のない距離で、僕の体重ですと380~390kcalのカロリー消費になります。
ランニングをすることで、一日の摂取カロリー上限である1686kcalに380~390kcalを上乗せすることができますので、事実上2000kcal分だけ食べることができるようになります。
この「1686kcal」という基準はカロリー管理アプリ「カロリー管理」に目標体重をセットすることで、自動的に弾き出してくれるものです。
つまり、運動(-)と食事(+)の2つの変数に働きかけて2000kcal以内に収めるというゲームを毎日繰り返すことになります。
ただし、ガス抜きのために週に1度はランニングを休んでもよい日、あるいはカロリー上限を超えてもよい日を設けるようにしています(両方同じ日にするのはNG)。
そんな生活を11ヶ月間続けることができて、今後も続けられそうな雰囲気なので、これは習慣化したと言ってもいいのかな、と考えていますが、以下の本を読んで、改めて「コツコツカツコツなんだな」と確信できました。
金の卵を生むガチョウを生かさず殺さず
この本に書かれているのは、「コツコツカツコツ」を続けた著者による「コツコツカツコツ」の記録とそこから得られた発見、そしてこれを再現するための方法の3つです。
ここまでに書いてきた僕の与太話はほんの11ヶ月間のちょっとした体験談ですが、この本の内容は、その約10倍の10年間(120ヶ月間)の体験記録がベースになっています。
日々自分でも実践していることだったので、書かれていることには「本当にその通りだ…」と深く頷くことや、「それは知らなかった!」ということで早速とりいれたことがたくさんありました。
たとえば、以下は体験した著者だからこそ語れることであり、僕自身もこれらの一言に何度も救われました。
食事の量を減らすと、最初は当然「足りない」「口寂しい」というストレス状態になります。しかし、僕の経験値から言うと、このストレス状態は、だいたい2週間くらいで解消されます。要は小食に慣れることです。
ストレスが強い時期をうまく乗り切るコツとしては、自分にストレスがかかっていることを認めることが有効です。「自分は今、小食へ移行しようとしていて辛い」ということを正面から認めてあげるのです。(p.79)
いったんこの2週間をやり過ごすことに成功すると、あとの2年強の間は勝手にどんどん体重が落ちていきました。うまく仕組みができてしまえば、日々その仕組みどおりに活動しているだけで、体重は落ちていくのです。(p.91)
また、ランニングについては調子の良い日にたくさん走って満足し、走って消費した以上にドカ食いしてしまっては意味がありません。このあたりについては冷静な解説があります。
脂肪が1kg燃焼するには、約7000kcalのエネルギーが必要です。では、僕らが運動をすることで、どの程度の脂肪が燃焼されるのでしょうか。ランニングを例にすると、1kmのランニングで、我々は自分の体重と同じだけのカロリーを消費します。つまり、体重70kgの人が1kmのランニングをすると、約70kcalを消費し、体重50kgの人は約50kcalを消費するというわけです。(p.120)
先ほど、僕の例で5kmを走ることで380~390kcalを消費できる、と書きましたがまさにこの計算と一致します。
ランニング1回こっきりでは当然たいした効果はなく、続けて初めてはっきりとした効果が現れます。
たとえば、1回5kmのランニングを1ヶ月間に20回走れば100kmですので、体重70kgの人が脂肪1kgを燃焼させることができる計算になります。(p.121)
70kgの人が毎月100km走りつづけても、10kgの体重を落とすのに10ヶ月かかることになります。(p.124)
僕自身は11ヶ月で8kg落とせた(80kg → 72kg)ので、この例には及ばないもののだいたい一致しています。月々のランニング距離は130km前後ですが、そこで消費した分を食事で補ってしまうために、結果が目減りしているのでしょう。
これについては以下のように指摘されています。
たくさん食べているのに自覚がなく、10km走った翌朝に体重計に乗り、期待したほど体重が減っていなかったことにガッカリしてしまいます。
そして「10kmのランニングでは運動が足りなかったのか」と思い込んでしまい、さらに長い距離を走る計画を立てますが、普通の人は毎日15kmも走りつづけられません。カラダを痛めたり疲れが溜まったりして挫折してしまうのです。(p.125)
まさに僕自身が辿ったルートです。僕の場合はレースでの無理がたたっての故障でしたが、大切なことは、「コツコツ」をキープできる体制を崩さないようにすることなのです。
ダイエットという金の卵を生んでくれるガチョウをいたわりながら、エサをやりすぎないようにしつつ適度に運動もさせる、ということですね。
『iPhoneダイエット』
本書の特徴は次の3つです。
- 実体験にもとづいた数々のメッセージが背中を押してくれる
- 腑に落ちる数式と公式が行動を後押ししてくれる
- 具体的なiPhoneアプリやツールが実践を促してくれる
本稿には盛り込みきれませんでしたが、本書のタイトルにもなっているとおり、すでにご紹介した「カロリー管理」はじめ、多くのiPhoneアプリとその具体的な使い方が解説されているため、「リクツはわかるけど、計算するのが面倒くさいよ!」という不満を解消してくれます。
僕自身も、「カロリー管理」のほか、日々のランニング記録に使用している計測アプリや、乗るだけで自動的に体重を記録してグラフ化してくれる体重計やそのアプリなど、本書でも紹介されているたくさんのアプリのお世話になっています。
一見、精神論めいてはいますが、そのバックボーンには「数学的な仕組み」があります。この仕組みを無理なく続けるために、その手間を軽減してくれるiPhoneアプリが厳選紹介されています。
これからダイエットに取り組もうと考えている方にも、僕のようにすでに続けている方にとっても、腑に落ちる考え方や真似したいと思えるアイデアが手に入る一冊です。
まもなく忘年会シーズンですが、その前にこの本を読んで「コツコツ」体制を作ってしまいましょう。
▼乗るだけで自動的に体重を記録してグラフ化してくれる体重計
▼「コツコツカツコツ」の出典
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『iPhoneダイエット』と同じ著者・立花岳志さんの著書で、テーマは仕事術。
やはり実体験がベースになっており、ところどころに挿入される実感のこもった一言一言が行動を後押ししてくれます。特にタスク管理とライフログに関する記述は、試行錯誤の過程も含めて詳しく綴られているので、僕自身も自分のやり方を改善する上で大いに刺激になりました。
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