仕事の先送りをしてしまう原因は様々かと思いますが、一番の原因はその仕事に取りかかるタイミングを自ら遅らせていることでしょう。
そもそも、気が進まないからこそ取りかかれない(取りかからない)わけで、気の進まないままに放置しておけば、気の進む仕事の後塵を拝することはもはや必然といえます。
対策としては、一日の一番最初に最も気の進まない仕事、すなわち抵抗の大きな仕事に取りかかることです。
そのための具体的な方法をご紹介します。
手順
1.一日の仕事のリストを作る
書くまでもないと思っている仕事も含めてすべてリストアップします。
- メールチェック
- 総務の佐藤さんに電話する
- 営業実績をまとめる
- B社にメールを送る
- 机上の整理をする
- なくなった書類を探す
- 報告書を書く
2.抵抗の大きな仕事に印をつける
仕事全体の半分程度に印がつくようにします。
- メールチェック
- 総務の佐藤さんに電話する ★
- 営業実績をまとめる ★
- B社にメールを送る ★
- 机上の整理をする
- なくなった書類を探す
- 報告書を書く ★
3.印をつけた仕事のうち、さらに抵抗の大きなものにもう一つ印をつける
- メールチェック
- 総務の佐藤さんに電話する ★
- 営業実績をまとめる ★
- B社にメールを送る ★★
- 机上の整理をする
- なくなった書類を探す
- 報告書を書く ★★
4.二つ印をつけた仕事のうち、さらに抵抗の大きなものにもう一つ印をつける
- メールチェック
- 総務の佐藤さんに電話する ★
- 営業実績をまとめる ★
- B社にメールを送る ★★★
- 机上の整理をする
- なくなった書類を探す
- 報告書を書く ★★
こうして、一日の中で最も抵抗の高い仕事が一つに絞り込まれます(B社にメールを送る)。
そもそも抵抗が高いと感じられるということは、それだけ全体の仕事を前に進めるカギを握っているといえますから、この思わず押しのけたくなる最高に抵抗の高い仕事から取りかかることが最高に効率を上げることになるわけです。
「メールチェック」や「机上の整理」といった現実逃避よりも、顧客であるB社に連絡をすることの方が会社の売上に直結するという意味で重要な仕事と言えるでしょう。
あとは、迷うことなく実行するのみです。
5.下り坂にする
最高に抵抗の高かった「B社にメールを送る」という仕事が終われば、次のように残った仕事は、それなりに抵抗の高い仕事か、そうでもない仕事かのいずれかになります。
- メールチェック
- 総務の佐藤さんに電話する ★
- 営業実績をまとめる ★
B社にメールを送る ★★★- 机上の整理をする
- なくなった書類を探す
- 報告書を書く ★★
ここまで来れば、次に取りかかるべき仕事は、言うまでもなく印の二つついた「報告書を書く」ということになります。
もし、今日中に書き上げる必要がないのであれば、草稿レベルまで書いたところで今日は完了としても構いません。
「終わらせなくても良い」ことにしてしまうことで、さらに抵抗を引き下げるわけです。
翌日に繰り越すにしても、草稿レベルまで仕上がっているのですから、まったく手つかずの状態と比べたら抵抗はぐっと下がっているはずです。
- メールチェック
- 総務の佐藤さんに電話する ★
- 営業実績をまとめる ★
B社にメールを送る ★★★- 机上の整理をする
- なくなった書類を探す
報告書を書く ★★
さて、残るは、印の一つついた仕事が二つと、無印の仕事三つだけです。
ここまで来ればもはや無抵抗といっても過言ではないでしょう。
仕事をすればするほど抵抗がやわらいでいく下り坂コースになるのです。
逆に、最初に抵抗の低い仕事から取りかかってしまうと、後に残るのは抵抗の高い仕事ばかり、という上り坂で大変な思いを強いられることになるでしょう。
解説
今回ご紹介した方法は、現在発売中の『LIVE HACKS!』で取り上げていますが、出典は以下の本。
今年読んだ本で今のところベストの1冊である『マニャーナの法則』と同じマーク・フォースターさんが書いています。
余談、というかお知らせ
『スピードハックス』がオーディオブックになりました
2007年2月、発売とともに好評を博した一冊『スピードハックス』。表紙のキャッチフレーズ、「いきなり仕事のスピードを3倍にする」に思わず食指が動いた方も多かったのではないでしょうか。
本オーディオブックは本文の内容をコラムに至るまで忠実に再現しています。仕事効率化ブログとして名高い「シゴタノ!」で有名な大橋悦夫氏と、仕事に役立つ心理学を探求する佐々木正悟氏とが協力して作られた本書では、さまざまなアイデアが膨大にとりまとめられられています。
ちょっとした時間に耳から聞けば、あなたの仕事もスピードアップすること間違いなしでしょう。
それにしても、全部で5時間26分47秒って…。東京から新幹線で博多まで行ってもまだお釣りが来ますね。やはり、スピードコントロール機能付きのMP3プレイヤーが必須でしょう。