以前から「片づけ」と「時間管理」には多くの共通点があると感じていました。
たとえば、「片づけ」も「時間管理」も、
- 自分のためにやる
- 自分で工夫する余地が多分にある
- 「必要なときにきちんとできる」を目指す
…ものです。
さらに、
- 自分のためにやる
→ 「やらねばならないこと」ではない
- 自分で工夫する余地が多分にある
→ 「答え」は1つではない
- 「必要なときにきちんとできる」を目指す
→ 常に完璧でなくてもOK
ということが言えるかと思います。
「片づけ」については、きちんと片づいていると気分がいい、ということはあるでしょう。
でも、いつでも例外なく完璧に片づいていなければならない、というところまでいくと、行き過ぎな感じがします。
「時間管理をきちんと行なって、約束や締め切りをモレなく守る」についても同様です。
わかっちゃいるけど、なかなかできない問題
約束や締め切りを守ることは確かに「やらねばならないこと」でしょう。そうすることによって、自分の信用が高まります。
信用が高まれば信頼が得られ、より大きな仕事を任せてもらえるようになり、さらにはある程度の融通が利くようにもなるでしょう。
その後の仕事がやりやすくなるのです。
結果としては「やらねばならないこと」とも言えますが、強制的にやらされるものではありません。
それでは続かないでしょう。
- 1.得たい結果が明確にあり、
- 2.それを得るためのプロセスが確立しており、
- 3.あとはそのプロセスに沿って手を動かすだけ、
という3つがそろっていることが重要です。
このうちのどれか1つでも欠けると、とたん動けなくなってしまいます。
- 得たい結果を明確にし(1)、
- そのためにどうすればいいか(2)、
というところまでは比較的かんたんに進められます。
問題は、
- 方法はわかっているけど(2)、
- スイッチが入らない(3)、
という部分。
いわば「わかっちゃいるけど、なかなかできない問題」です。
解決策
この問題について、意外な角度から解決策を示してくれるのが『ひと声かければ5分で片づく! 子どものお片づけ』という本です。
子どもの「やる気スイッチ」が入る4つの瞬間
子どもはお片づけができないのではなく、「自分ごと」と思っていないだけ。でも、そんな子どもたちでも「やる気スイッチ」が入る瞬間があります。
たとえばこんな瞬間です。
1「こんなふうにしたい!」と思った瞬間
2「いいことがある!」とわかった瞬間
3「こうすればいいんだ!」とひらめいた瞬間
4「気持ちがいい!」と感じた瞬間これら4つの瞬間は、子どもがお片づけを「自分ごと」ととらえて動きだしたくなる「やる気スイッチ」なのです。
本書では、その名のとおり「子ども」のための「お片づけ」を解説しています。
その視点は母親です。
子どもにどのような声掛けをしたら、お片づけをしてくれるのかが、実例とともに紹介されています。
以下はダメな例。
義務と自由はセットで与える
「自分の部屋は自分で片づけなさい!」と言いながら、いざ子どもが片づけると今度はあれこれと口出ししていませんか?
「これはもういらないんじゃないの?」
「そんな入れ方じゃあ使いにくいでしょう?」
「もうちょっときちんと並べなさいよ」
「そんなものまで勉強机に飾るの?」など。
片づける義務だけ与えられて、どう片づけるかの自由はない。それでは子どもが片づけを嫌がるのも当然です。
そして以下は良い例。
「弟とお部屋を半分こしてるんだ、仲良しなんだねー。今は二人のスペースを仕切って使っているみたいだけど、一緒に遊ぶことが多いなら、こんなふうに家具を並べ直すとお部屋が広くなるよ。大好きなプラレールをもっと大きく広げて遊べるけどどう?」
実は「どんなふうにしたい?」という質問には、大人でも答えられないことがあります。
「自分の理想? 毎日バタバタでそんなの考えたことない……」なんて答えが返ってきます。
最初に読んだときは、子どもとのコミュニケーションに役に立ちそうだな、と思いました。
でも、よくよく考えてみると、われわれ大人というのは「大きな子ども」です。
「わかっちゃいるけど、なかなかできない問題」とは、言い換えれば、「自分の中の“子ども”を思うように動かせない状態」ということになります。
そういう意味では、本書に紹介されている、子どもへの声掛けのしかたは、自分の中にいる“子ども”にも効き目があるでしょう。
先ほど引用した以下の4つですが、
1「こんなふうにしたい!」と思った瞬間
2「いいことがある!」とわかった瞬間
3「こうすればいいんだ!」とひらめいた瞬間
4「気持ちがいい!」と感じた瞬間
時間管理においても、自分の中から、こういった瞬間をうまく引き出してあげることで、前に進むための最初の一歩を踏み出せるのではないでしょうか。
参考文献:
シゴタノ!でも過去に寄稿いただいていた橋口真樹子さんの著書です。
いわゆる「片づけ本」ですが、扱っているのは「片づけ」という切り口で日々の行動や習慣を見直す方法や、家族間のコミュニケーションを改善するアイデアです。
「片づけ」を無理なく続けるための具体的なノウハウが豊富に紹介されており、家の片づけだけでなく仕事机の整理にも役に立つでしょう。
特にハッとさせられたのは以下のトピックです。
- 収納の本来の目的は「収めること」ではない
- 「いる・いらない」より「使っている・使っていない」で判断する
- 続けたければ仕組みは極限までシンプルにする
- 定位置を決めるコツは「使ったその場で戻せる位置か?」
- お片づけという関数における変数は距離と高さとアクション数
- 収納スペースの種類は棚型、引き出し型、吊るす収納のいずれか
- 必要以上に持っているから収納が「もたない」
- MAX片づけと8割片づけを使い分ける
» ひと声かければ5分で片づく! 子どものお片づけ[Kindle版]