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「1年前の今日のこの時間は何をしていたのか?」を知ると、次の一歩が見えてくる



大橋悦夫「1年前の今日のこの時間は何をしていたのか?」

この問いをもって1年前の今日の記録を読み返してみると、今日何をすべきか、あるいは何をすべきでないかがのヒントが得られます。

そこには、「今日やって良かったこと」か「今日やるべきでなかったこと」のいずれかが書かれているからです。

記録というのは、自分の中で一定のしきい値を超えたときに行われることが多いと感じています。言い換えれば、感情の振れ幅があるポイントを超えると、それが記録のトリガーになるのではないか、ということです。

実際に記録が残せなかったとしても、「強烈に脳裏に焼き付いている」などという表現があるように、忘れがたい記憶として定着しやすくなるでしょう。

つまり、記録に残っていることは自分にとって何か特別なものである可能性が高いといえます。

そんな、エッセンスの詰まった“コンテンツ”を読み返すことは、過去の自分の意識に“再接続”を試みるようなもので、すべてを再現できなかったとしても、当時の自分が重要だと考えていたことについてはサルベージできるのではないか。

過去の自分からのバトンを受け取るつもりで記録に向き合うと、今の自分が次に何をすればいいのかがおのずと分かってくるのではないか。

そんな風に考えています。

1年前をふり返る方法

方法はシンプルです。1年前に作ったEvernoteのノート(ノート作成日付が1年前)をもれなく1つひとつ見返すこと。

ひらめきを書き付けたメモはもちろん、撮った写真、スキャンした書類、ウェブクリップ、などなど、とにかく「その日」に生まれたノートはことごとくすべて。

今日が2016年1月1日であれば、検索で「created:20150101-」と指定することで、作成日付が「2015年1月1日以降」のノートが抽出されます(「created:20150101」としても1月1日のみの抽出はできないようなのが残念)。詳細は以下の記事を参照。

» Evernoteの検索で特定の日以降に作成されたノートのみを表示させる方法


ノート一覧上で Endキーを押して一番下(=2015年1月1日)までジャンプするか、作成日付の昇順で並び替えるかして、2015年1月1日を時系列に見返す準備を整えます。

あとはおもむろに見返していくのみ。

ただ機械的に、文字通り判で押したように残した記録であったとしても、1年の熟成期間を経た今あらためて見返してみると、当時は気づかなかった「つながり」が浮かび上がることがあります。

1年後の今日を見すえる

視点を変えると、今日という1日は、1年後の今日にふり返る対象となる日ということになります。

1年後の今日を生きる自分。彼に何かを残せるようにしたい。そんな想いが今日という1日をより密度濃いものにしてくれるはずです。

この考え方をより押し進めたものが「未来日記」という取り組みです。以下の記事で佐々木正悟さんが紹介しています。

» 未来日記をつけるようになって生じた変化

未来日記をつけることには、思いのほか大きなメリットがありました。そのうちの1つとして、非常に自然な流れの中で、1週間前に書いた自分の「メモ」を読むことができることです。


なお、記録を読み返す効用については、以下の記事で『日記の魔力』の引用とともにご紹介しています。

» 日記を読み返すと過去の自分と一体化できる。その効用とは? 

この記事を書きながら、『日記の魔力』の以下のくだりを思い出していました。

本を読んで考える。それはすなわち、その本の著者と対話することである。それに対し、日記を読み返す作業というのは、完全なる「自己内対話」といえる。

日記を「書く」という作業は、自分の行動を文章化し、「客観化」するためのものである。そうした意味において、パソコンで日記をつけるというのは非常にいい方法だといえる。なぜなら、手書きで書くと、それは見るからに自分の文字であるため、意識のどこかに主観が残ってしまうが、パソコンのモニターに現れる文字には「私」を連想させるものが何もないからだ。

日記を「書く」のが客観化であるならば、日記を「読む」のはそれを再び「主観化」する作業だといえる。

» 日記の魔力―この習慣が人生を劇的に変える