一緒に仕事をしているある編集者は、1つの原稿を上げる際に2つの締め切りを設定する。
1つ目の締め切りはどんな内容を書こうとしているのか、そのラフな内容とアウトラインを求めてくる。2つ目の締め切りは通常通りの完成原稿を求めてくる。
通常であれば、完成原稿のみを求める締め切り1つなのだが、彼は上記のように二段階を踏ませる。こうすることで、書く側・編集側双方にとって次のようなメリットが生まれる。
書く側にとっては、本当の締め切りに先だって、どんなことを書くのかを考えるための締め切りを新たに設定されるものの、原稿として完成させなくてもよいため、実はさほどのプレッシャーにはならない。
しかも、ここで一度“締め切り”に追われることによって、ある程度原稿の目鼻立ちが見えてくるので、完成原稿の締め切りよりずっと前に精神的なリードを稼ぐことができる。
編集者としても、予めどんな原稿が上がってくるのかがわかるため、もし問題や注文があれば、原稿があがる前に指摘できる。これによりお互いの時間を節約できる。その上、上記のような理由で締め切りも比較的守ってもらいやすくなる(まったく問題がないわけではないが…)。
大きな波に襲われたらもはやなすすべもないが、小さな波ならリズミカルに越えていける。