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習慣を回すための3つの軸

「無理のない返済プラン」と「無理のない長期計画」は、同じレトリックに基づく有害な欺瞞であると私は思っている。「毎日ちょっとずつ片付ける」とか、「日頃から少しずつ勉強する」などと言うのは、現代人の生活というものに対する思いやりが欠けている人の言葉であるか、さもなければ恐ろしくヒマな人の言い分だ。あなたの生活は、そのようにヒマで余裕のあるものではないはずだ。

一日中することが何もないのなら、毎日10分の英会話の時間を設けても、さしたる苦痛はあるまい。しかし、3分の暇を見つけては仮眠をとりたくなるような生活を送っていながら、そこに毎日の新しい義務をたとえ5分でも追加するということは、すでに毎日の生活が借金なしでは成り立たなくなっているところへ、新たに毎日1000円ずつの「返済計画」で借り増しするのと同じようなものである。

『ライフハックス─鮮やかな仕事術』より


毎日10分ずつなら無理がないだろう、ということで新たな習慣を導入することがある。それは、筋トレであったり、資格試験の勉強であったり、とにかく今の自分を変えるためのものであることが少なくない。

しかし、2つの理由でこの試みは長続きしないことが多い。

1つは、実際には10分は過少見積もりであることが多いこと。もう1つは、時間では計れない要素を見落としていること。

10分で終わらないのは、習慣としたい作業そのものを始めるまでに、すなわちエンジンがかかるまでにある程度の時間が必要になるため。エンジンがかかったとしても、その時点ですでに10分が経過していれば、肝心の作業を行うための時間はすでに残っていないことになる。従って、時を置かずにパッと始められるくらいにしておく必要がある。

時間で計れない要素とは、「やる気」。パッと始められるようにするために手順を単純化すると同時に、それをやる気にさせるような仕掛けを予め組み込んでおく必要がある。

適切な長さの時間を確保する、手順をシンプルにする、やりたくなるような仕掛けを組み込む、という3つのすべてがそろった時、初めて習慣として回り始める。

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