このアクション・モード、言い出しっぺはいちおう私です。それを大橋さんがTaskchute2に実装してくれたというわけです。となるとせっかく実装していただいた私が使い始めないのでは、何とも申し訳が立ちません。「隗より始めよ」というのは少し変かもしれませんが、私はさっそく使い始めました。
これまでTaskchuteではタスクの色分けを「プロジェクト」にしたがってきました。つまりタスクをいかなる属性によって束ねていたかというと、なによりもプロジェクトだったわけです。
しかしTaskchuteの基本は1日のアクションの全てが「そこに」あるということ。つまり「当日管理」なのです。プロジェクトというのは日をまたいでタスクを構造化させるものですから、Taskchuteでプロジェクトごとにタスクを束ねる意味はあるものの、なにより重要とは言えないわけです。
誤解しないでいただきたいのですが、私はプロジェクトも今では全てTaskchuteに一元化していきたいと思っています。プロジェクトごとにExcelで問い合わせられるのでそうすることは十分に可能です。
しかし、タスクがどのような性質であるかはどのプロジェクトのタスクであるかだけでは決まりません。たとえば「本を書く」というのは紛れもなくプロジェクトですが、その中には「打ち合わせ」というタスクや「執筆」というタスクや「調べ物」というタスクがあります。
むしろタスクの性質とは「打ち合わせ」であるか「執筆」であるかということです。その性質を「アクション・モード」としたわけです。
アクション・モードごとに色を分ける
たとえば私は「執筆」を黄色と定義しています。もちろん目立つようにするためです。集中を要すという意味もあれば、ここに精神的に消耗させるタスクがあるという意味もあるし、「シャワー」や「作業準備」などとは本質的に異なるという意味もあります。
Taskchuteではたくさん時間のかかるタスクを少し広い面積で表示されます。これとアクションモードによる色分けの掛け合わせには、大変な意義があります。「疲れるタスク」を「長い時間」やれば当然他の作業を圧迫するでしょう。
そのことを赤や黄色のタスクを大きな面積で表すことによってビジュアライズに警告できます。現に私はそういう「1日」を見ると、直ちに変更をせまられる気がします。これまでは「終了予定時刻」さえ大丈夫なら大丈夫としてきましたが、危険な色が広いという1日のデザインも問題なのです。
アクション・モードを連続させるか分散させるか
もう一つ、アクション・モードによる色分けには重要な意義がありました。これはやってみて分かったことなのですが、同系色を集中させるべき時と分散させるべき時があることが分かってきたのです。
なんとなく使う以前には、「執筆系を立て続けにやるのは賢明ではない」というように思っていました。たしかにそう言えることもあります。しかし「執筆のノリがよくなったら執筆を続けるべきだ」ということもあるのです。
同系色を集中させるか分散させるか。それは悩むところです。ただ「黄色」をなんとなく意味のないところに配置するようなデザインは失格です。それが今、視覚的に即座に分かります。
また2セクション(4時間)もの間ダラダラと「薄水色」や「薄緑」ばかりを並べ立てておくのもよくありません。その時間帯はよくても、後で必ず苦しむことになるからです。
こういったことを以前はなかなか直観的に判断はできていませんでした。今ではまさに「目で見て即座に判断」できるのです。Taskchuteは見た目が取っつきにくいかもしれませんが、よく言われる「初心者でも直感的に扱える」機能のとぼしいタスク管理ツールよりも数段、直感的に扱えるツールだと思います。
記録するだけでうまくいく | |
佐々木 正悟 富 さやか
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2012-03-12 |
初の富さやかさんとの共著。初のディスカヴァーさんからの上梓。初物づくしの一冊です。
本書は「ライフログという発想を世の中に広める」ことを目指した本です。
ブログなどを読んでいると世の中「ライフロガーだらけ」に見えますが、周りで実際にそんなことをやっている人は見たことがありません。住む地域にもよるかもしれませんが、圧倒的に少数派です。
でもスマートフォンを使っている人はけっこう見かけるようになりました。それらの人もその気になればライフログを即座にはじめられますし、Evernoteも無料で使えます。
まずはそういった人々に「今、こんなこともできます。やっている人もいるんです」ということを知って欲しいと思いました。8名もの方々に、それぞれ異なる立場から「私のライフログ」をわざわざご寄稿いただいたのにはそんな背景があります。
私の今までの本とはそれなりに趣が違います(最後の章辺りはいつものタスクシュート節ですけど)。特に富さんの章やコラムにお目とおし頂ければ幸いです。