- 1.教わる「目的」「目標」をはっきり書き出す(p.34)
- 2.事前にコンパクトな質問を考えておく(p.38)
- 3.教わったことをフォローアップするための表を作る(p.46)
- 4.自分のエントリーポイントを見極める(p.54)
- 5.教えてくれた人に「結果」をぶつける(p.82)
- 6.教わったことを人に教える(p.88)
今回ご紹介する『「自分から教わる!」技術』は、経営コンサルタントであり、「何を学ぶか」の研究と実践をライフワークとする著者による「教わる」ための方法論を体系的にまとめた一冊。
今や情報はインターネットを介していくらでも手に入ります。
でも、自分が本当に必要としている情報となると、急に難しくなります。
その理由は次の2つ。
- 1.そもそも「自分が本当に必要としている情報」がわからない
- 2.その情報を見つけ出すことで満足してしまう
インターネットに頼るのではなく、人に頼る
2つめの「その情報を見つけ出すことで満足してしまう」について補足します。
情報というのは手段であって、本来の目的のために活用して初めてその真価を発揮するものです。
英語を話せるようになることは、目的ではなく手段であるのと同じで、情報を入手した「その先」を見据えておかなければ、どこにもたどり着けないのです。
その良い例が以下の4コママンガです。
では、どうすれば良いか?
具体的には、インターネットに頼るのではなく、人に頼ること。
でも、本書のタイトルは、
- 「人から教わる」
ではなく、
- 「自分から教わる」
です。
実はここがポイント。
今回は「自分から教わる」ための心得ということで6つだけご紹介します。
1.教わる「目的」「目標」をはっきり書き出す(p.34)
「今さら」かもしれませんが、わかっちゃいるけどなかなかできないことでもありますね。漠然と考えているだけでなく「書き出す」ことが重要です。
考えているだけでは忘れたり都合良く書き換えられたりしてしまうからです。書いて初めて始まるのです。
ちなみに本書では、目的と目標が特に区別されずに書かれていますが、個人的には、
- 目的=目指すゴール
- 目標=目的を果たす過程でクリアしていくチェックポイント
という風に分けて考えています。
目標の先には必ず目的がありますが、目的のない目標はない、ということです。
例えば、富士山の登頂は目的ですが、五合目は目標です。
2.事前にコンパクトな質問を考えておく(p.38)
コーチングで有名なある先生の講演会に参加したときに、参加者の学生がこんな質問をしました。
「現在、大学院で心理学を学んでいます。来年アメリカに留学し、5年後には一流のコーチになりたいのですが、どうしたらなれますか?」
これを聞いた先生は「質問が的確でわかりやすい。君なら絶対に一流のコーチになれる」と断言し、あとで名刺交換したいと言われました。
目的と目標を書き出すことで、おのずと質問も引き出されるでしょう。
3.教わったことをフォローアップするための表を作る(p.46)
教わる前には、まずは教えてもらったことを実行に移すためのしくみを整える必要があります。「しくみ」などと言うとむずかしく聞こえるかもしれませんが、いたって簡単です。
それは、次の4つを書いた表を用意しておけばよいのです。
+ 教わったこと
+ (教わったことを)どう使ったか
+ (教わったことが)実際にできたか
+ (教わったことが)役に立ったか
ここでは割愛しますが、実例が掲載されており、参考になります。
4.自分のエントリーポイントを見極める(p.54)
なぜエレクトーンが上達したかというと、それは自分の「エントリーポイント」を見つけたからです。エントリーポイントとは、どんなやり方をすれば、教わったこと(情報)がうまく頭に入るか、というポイントです。それを知ることで、エレクトーンは見違えるほど上達しました。
「自分にエントリーポイントなんてあるだろうか?」と不安に感じる人がいるかもしれません。でも、大丈夫です。
ということで、ハーバード大学のハワード・ガードナー教授の「マルチ能力理論」が紹介されています。
「人間は誰しも8つの領域の中で、どれか必ず秀でている能力を持っており、その能力は一人ひとりの中に独自の形で機能する」ものだそうで、次の8つの能力が紹介されています。
- 1.言語能力
- 2.論理的・数学的能力
- 3.空間能力
- 4.身体・運動能力
- 5.音感能力
- 6.人間関係形成能力
- 7.自己観察・管理能力
- 8.自然との共生能力
それぞれの詳細については本文をご覧ください。
5.教えてくれた人に「結果」をぶつける(p.82)
教わったことをモノにするキモは、教わったとおりに実際にやってみて、その結果を確認してみること。
著者はこれを「検証」と呼んでいますが、自分で確認するのでは本当にできているかどうか怪しい、ということもあるでしょう。
そこで、紹介されているのが次の方法。
実は、上手に検証してもらうコツはいたって単純です。教えてくれた人に「結果」をぶつければよいのです。「理屈」ではなく、「結果」をぶつけるのです。「○○してみたところ、△△という結果になりました。なぜでしょうか」と聞くことです。
(中略)
結果を伝えるだけなら、ああだこうだと、理屈を考えなくてすみますし、聞かれたほうも答えやすいのです。
「うまく伝えなければ!」というプレッシャーが強すぎると競り負けてしまうものです。「変な顔をされたらどうしよう」とか「バカだと思われたくないしな」といったネガティブな予感も、足を引っ張るでしょう。
でも、動かざる事実である「結果」を伝えるだけならバカにされることはないはずです。
6.教わったことを人に教える(p.88)
教わったことを検証するバロメーター、それは、教わったことを他人に教えてみることです。教わったことは、すでに自分の身になっている、と思う人が多いのですが、実は意外にそうでなかったりします。要するに、自分ではわかったつもりになっているだけ、ということです。
そんなときには、教わった内容を誰かに教えてみることです。誰かに教えることによって、改めて自分の頭の中が整理され、何がわかっていて、何がわかっていないのかがはっきりするものです。
ある調査によると、人は目で見ただけのことはすぐに忘れてしまいますが、それを人に教えると、記憶に残る割合が飛躍的に高まるそうです。見ただけの場合の記憶の定着率が10%なのに対して、人に教えた場合はなんと90%。
それほどに、教えるという行為にはパワーがある、ということです。
ちなみに上記の調査については、以下の本に詳しく書かれています。
まとめ
つい先日、本書の著者である人見隆之さんとお会いしました。
僕よりも6歳年上でいらっしゃるのですが、常に学ぶ姿勢にあふれた方で、またたいへん聞き上手な方でもありました。まさに「自分から教わる」技術を体現されています。
ちなみに、今回ご紹介した内容は、いずれもセミナーを受講する際にも役に立ちそうです。
合わせて読みたい:
この人ほど人生から多くを「教わった」人はいないでしょう。その教えの1つは、○○を変えること。同じ言葉でも、これが違ったがために結果が大きく変わってしまう、ということは少なくありません(○○に当てはまる言葉は以下のエントリーで)。
余談ですが、最近同書の公式ブログで言及いただきました!(感謝)
次にすること:
- 思うようにブレイクスルーができないのなら、○○を変えてみる
関連記事:
» 教わる日記(人見隆之さんのブログ)(さすが、日々教わってますね!)
» 習慣継続のための4つのアクション(特に4つめの「頼む」が大切です)