つい先日、本連載を一緒に進めている佐々木さんとタスク管理について話をする機会がありました。
その中で強く感じたのが、佐々木さんと私ではタスクそれ自体のとらえ方が全く異なり、それによってタスク管理手法も全く異なるというものでした。差異の詳細は別の機会に記事にしたいと思いますが、全く異なる2人のタスク管理手法を吸収してしまうToodledoというツールの懐の深さを実感した出来事でした。
第11回の最後に「次回はGTD」と書きましたが、今回佐々木さんと話す中でタスク管理について色々考えさせられることがありましたので、予定を変更して「管理におけるプロジェクトと実行におけるコンテキスト」と題してプロジェクトとコンテキストの使い方について今回と次回(第15回)の2回に分けて、私のやり方を例に取りあげてみたいと思います。
#きっと佐々木さんのやり方は佐々木さんが書いてくれるはず!
■マスタータスクリストとデイリータスクリスト
まず、話の前提として私のタスク管理が「マスタータスクリスト」と「デイリータスクリスト」の2つのリストを使い分ける形で行われている点を説明する必要があります。
マスタータスクリスト
マスタータスクリストとは、自分のやるべきことが全て書き出されているタスクリストで、今できるかとか、今やるべきかといった要素で絞り込みはかけずに「全てのタスク」が表示されています。ただ、本当に全てのタスクを一気に管理しようとすると流石にタスクが多すぎて把握が難しくなるため、ある一定の意味でグルーピングされた「プロジェクト」単位で管理を行います。
Toodledoで言えば、Folderビューでのタスク管理がマスタータスクリストとなります。以前の記事でも述べたとおり、私は「Folder」をプライベートの自分、会社で働いている時の自分、本を書いているときの自分などの「ペルソナ」毎に分けています。私がマスタータスクリストにおいて重要だと感じているのは次の3点を把握することです。
- どういったタスクをどれぐらい抱えているかが即座に把握できること
- どういった締め切りに追われているかが即座に把握できること
- タスク(プロジェクト)を今後どう進めていけば良いかが明確になっていること
デイリータスクリスト
デイリータスクリストとは、その日やるべきタスクだけが書き出されたタスクリストで、「その日にやる」というコンテキストに加えて「時間帯」や「場所」といったコンテキストで「今できる、今やるべき」タスクに絞り込みをかけて表示します。GTDに詳しい方は「次にやることリスト」と表現すると分かりやすいかも知れません。
私の場合、次にやることに星をつけるためStaredビューがデイリータスクリストになります。加えて、Staredビューのリストにコンテキストを掛け合わせてタスクの実行タイミングを決めています。
デイリータスクリストにおいて重要なことは
- いつ何をやるかが明確になっていること
- 時間帯あたりの見積もり時間に無理がないことが確認できること
ただ、私の場合は会社PCからクラウドが使用できないという個人的な問題がありますので、会社に居る間のデイリータスクリストはほぼ日手帳を使う形を取っています。(この辺はToodledoの使い方的には本筋ではないので、気になる方は私のBLOGの「2011年の情報管理戦略-Chap3.タスク管理(Toodledo→ほぼ日)」をご参照下さい)
この2つのリストでのタスク管理の考え方は「マニャーナの法則」という本に書かれているオープンリストとクローズリストの考え方をベースにしています。
■管理フェーズと実行フェーズにおける軸の違い
私のタスク管理において「管理フェーズ」と「実行フェーズ」という2つのフェーズを使い分けています。GTD(Getting Things Done)の言い方に直せば、GTDのワークフローをこなしていって次にやることリスト(NextActionリスト)を作成するところまでが「管理フェーズ」で、次にやることリストを実行に移すのが「実行フェーズ」です。
管理フェーズでは「Folder」と「Context」が軸となる
管理フェーズでは自分のタスクの全体像を把握し最新に保つことを目的にマスタータスクリストのメンテナンス作業を行います。先ほど紹介したとおり、マスタータスクリストはペルソナ毎にFolder分けされていますので、Folder毎にタスクの状態を最新化する作業が中心となります。
タスクの全体像を把握するためには、マスタータスクリストを次の2つの状態に保つ必要があります。
- 自分がやるべき事が漏らさず書き出されている状態
- 自分の持ち時間内でやるべき事が実行可能な状態
1点目は特に説明がなくても意味が分かると思うのですが、2点目は案外見落とされがちな要素です。人の持ち時間は誰もが等しく24時間であり、その中で自分が自由に使える時間というのは更に限られてくるのですが、その持ち時間の中で自分が抱えているタスクが全て締切までに実行できないとすると必ずどこかで破綻を来してしまいます。
私の場合、タスクが自分の持ち時間の中で実行可能かどうかを確認するためにカレンダービューを用いています。タスクの粒度を「3時間以内」に分解し、カレンダービューでContext毎に区切りを入れ、見積時間と作業内容を鑑みながら各タスクの実行タイミングをContextで設計していきます。
例えば、明日のカレンダーの中で「b.午前(9:00-12:00)」というContextを設定したタスクの見積時間の合計が3時間を超えている場合などは計画の段階で無理があることがわかりますので、他の時間帯にずらすなどの対策を行います。
実行フェーズでは「Context」が軸となる
実行フェーズでは「デイリータスクリスト」を元にタスクを実行するのですが、デイリータスクリストというのはそもそもが「今日やる」と決めたタスクですので、この時点で今日やるというコンテキストがついています。更に、先ほどカレンダービューで挙げたように各タスクのContextには破綻が出ないように実行する時間帯というコンテキストが設定されています。つまり、タスクの実行に於いて重要なのはひたすらに「Context」であるということです。
ちなみにですが、私の場合は「Context」に概ね場所ではなく時間帯を用いるのは、カレンダービューでタスクの実行計画を行う際に、その時間帯にいる場所を考えながらその時間帯に実行するタスクを決めているからです。会社にいるであろう「c.午後1(12:00-15:00)」にBLOGを書くなどのタスクを設定しても実行は不可能だということは計画段階で明白なのです。
最後に
今回と次回の2回に分けてお送りしますテーマ「管理におけるプロジェクトと実行におけるコンテキスト」。
今回はマスタータスクリストとデイリータスクリストという2つの見え方が違うリストでタスクのどういった部分を管理するかという内容と、管理フェーズと実行フェーズの2つのフェーズについてそれぞれに何が軸になるのかについて紹介しました。
次回はこの運用におけるサブタスクの使い方や、一連の作業の流れなどを細かく説明したいと思います。
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