少し時間が空いてしまいましたが、4月6日(水)~4月8日(金)まで、2泊3日の沖縄ノマド合宿を行ってきましたので、そこでの成果をレポートします。
▼現地の人からは「トロピー」と呼ばれているという宜野湾(ぎのわん)トロピカルビーチ。
参加メンバーは、またよしれいさんと新井ユウコさんと僕の3人。
合宿の趣旨は、参加メンバーそれぞれが自分の抱えている課題のうちの1つを合宿期間中にクリアする、というもの。
同じホテルに投宿し、朝食時と夕食時の「進捗報告ミーティング」以外はそれぞれの部屋に籠もって作業をする、というスタイルを考えていましたが、現地入りしてからの意外な展開により、部屋に籠もるよりもずっと成果の出やすいワークスタイルで仕事に取り組むことができました(詳細はエントリーを改めます)。
今回の合宿で得られた成果は次の3つの習慣が身についたこと。
- GmailのInboxゼロ化とその継続
- あるプロジェクトに取りかかることができた(完了はせず)
- 朝型にシフト
そして、またよしれいさんから直接・間接に学ばせていただいたことですが、仕事のみならず人生全般に応用の効く以下の技術。
- 自分だけの「トリガー」を持つ
それぞれ、見ていきましょう。
習慣1.GmailのInboxゼロ化とその継続
これは合宿初日に実現したことですが、それまで常時Inboxに100通近く溜まっていたメールを例外なくすべて適切なフォルダに移動、あるいはアーカイブすることができました。
「いつかは整理しよう」と思いながらも、「目に見える範囲(=Inbox)に残しておきたい」という未練もあって、なかなか手を付けられませんでした。
それが、執務環境の変化と旅の漂白感とがあいまったせいか、「よし、いっちょうやってしまおうか」という普段とは違うテンションになり、数通の本当に気になって仕方が無いメールを除いてすべてアーカイブ。
残った数通も、内容を見てEvernoteに転記したり、要対応ラベルをつけたり、その場で処理をするなどして、とにかくInboxから追い出しました。
やってみて気づきましたが、大半がメルマガでした。「役に立つことが書いてあるはずだから取っておいてきちんと読もう」と思っていたのです。
でも、一番古いメールは昨年の8月31日。もちろん今読んでも役に立つ内容かもしれませんが、今読むべきもっと役に立つ内容のメールが目の前にあります。
これから先もこうした状況は変わらないでしょう。そう思うと、思い切ることができました。
不思議なもので、一度“底”が見えてしまうと、新しく届いたメールを一刻も早く処理したいという気持ちが以前にも増して強くなります。せっかくキレイになったInboxを汚(けが)されたくない、とでもいわんばかり。
自然と「とりあえず一行だけでも返信を書く」を実践し続けることができました。
一行だけ書いてなお、残りを書き続ける時間や余力が残っていればそのまま書き切って返信します。残っていなければいったん「下書き」のまま残し、「要対応」のラベルをつけてアーカイブします。
この「要対応」のメールについては、1日に15分ずつ4セット設定している「メール返信タイム」の中で対応します。今まではメールチェックをしながら対応が必要であれば「要対応」に振り分けるのみでしたが、一行でも書き出しがあれば、次に取りかかるハードルはぐっと下がります。
そんなわけで、単にInboxをカラにできただけでなく、これを継続する習慣が根付き、さらに「とりあえず一行だけ」作戦で要対応のメールが滞ることも減りました。
習慣2.あるプロジェクトに取りかかることができた(完了はせず)
今回の合宿で最優先課題に挙げていた、個人的に取り組んでいたプロジェクトです。結果から言えば、完了まで持っていくことができませんでしたが、数ヵ月間ずっと取りかかることができずに攻めあぐねていたところに、最初の“一撃”を加えることができ、その後の見通しもついたということで、レールを敷くことはできました。
大事なのは終わらせることではなく、突破口を切りひらくこと。焦ってくると「終わらせなくては…」というプレッシャーに追われがちになり、「一見して終わらせるために役に立ちそうもないこと」を極端に避けようとします。
- 今は時間がないから取りかかれない
- 今は飲んでいる場合ではない
- 今はそんな回りくどいことをやって時間を浪費するべきではない
などなど、後から振り返れば結局は何もしないでいるための巧妙な言い訳を並べ立てているだけだ、ということに気づかされます。
こういった“ごたく”を粉砕し、とにかくできるところからアタックしていくという行動を起こし続けること。それが滞った仕事を進めるための唯一の方法でしょう。
注意すべきは「自分は何か間違った道を進もうとしているのではないだろうか?」という疑念に惑わされないようにすることです。
もちろん、やってみた結果、間違っていたことに気づく場合もあるでしょう。でも、気づいたのならそこで引き返せばいいのです。多少のダメージは被るかもしれませんが、何もせずに最短ルートを見つけ出すことのみに時間を費やして一歩も前に進めないよりはましです。
#「あるプロジェクト」については近く発表します。
習慣3.朝型にシフト
滞在中は日中に非日常の体験がふんだんにあったこともあり、普段よりも早い時間に就寝。おのずと早起きができました。
朝は8時からメンバーと朝食ミーティングをすることになっており、その前にランニングをしておきたかったために6時には活動開始。
4月頭の沖縄は初夏といってもいい暖かさで心地よく走れました。
この朝型のリズムは東京に戻ってからもキープできています。
技術1.自分だけの「トリガー」を持つ
以上ご紹介してきた3つの習慣はいずれも、沖縄に行ったからというより、とにかく何とかしていつもよりも勢いをつけて、思い込みの壁を突き破れたからこそ、身につけることができたものだといえます。
沖縄に行こうが北海道に行こうが、僕の肉体や精神や性格がそれによって激変するはずもなく、ただいつもと雰囲気が違う、日常ではない、という違和感のしわざではないか、と考えています。
その意味では、カフェに行くと仕事がはかどるのと本質的には変わらないと思うのです。
新しい環境も、いずれは慣れたり飽きたりしますから、次第に“効果”は薄れるでしょう。
そうであるならば、あとは自分が変わるしかありません。言い換えれば、どんな環境にいても常に「あるべき自分」に移行できるように訓練を積むこと、あるいは「あるべき自分」を呼び出すための儀式を持つこと。
またよしれいさんは著書『C言語すら知らなかった私がたった2か月でiPhoneアプリをリリースするためにやったこと』の中で次のように書いています。
私に「iPhoneプログラミングに挑戦しよう!」と思わせてくれた動画があります。マイクロソフト社の「Productivitiy Future Vision」という、世界が近い将来どうなっているかを描いた動画です。タッチパネルの技術が発展して、子供から老人まで誰もがテクノロジーを容易に使いこなしています。国と国との言語の壁さえもなくなってしまっています。
初めてこの動画を観たとき、感動して全身に鳥肌が立ちました。これから来る未来をただ待っているのではなく、未来を創造する立場になりたいと思いました。この動画は観るたびに私をワクワクさせてくれます。毎日この動画を観て自分を鼓舞させています、同時に初心を忘れないようにしています。
(中略)
このように、自らのモチベーションを高めてくれる「トリガー」を見つけることこそが、重要なのです。(p.56)
大切なことは、自分にとっての「トリガー」を見つけ出し、身につけ、活用すること。これが「自分が変わる」ことの実態ではないかとさえ思います。
変わった自分をほかでもない自分が認識できるのは、こうした客観的で目に見える「トリガー」を手に入れたことと、そこから得られるワクワク感や期待感を誰かと共有することができているからでしょう。
自分が変わるということは、一緒にいる人を巻き込まずにはおかないのです。
今回、またよしさんとともに日々を過ごす中で、この「トリガー」の持つ重要性に気づかされると同時に、またよしさんのブログの名前がなぜ「Last Day.jp」なのかをじっくりとうかがうことができました。
僕自身の「トリガー」は、こちらでもご紹介した、現在は絶版になってしまった『奇跡の仕事術』という本なのですが、折に触れて読み返していることを思い出しました。
順番が逆になりました。
折に触れて読み返しているということは、この本が僕にとってのトリガーだ、ということに思い至ったのです。あるいは「発火本」といってもいいでしょう。
仮に、実際に「発火本」に手を伸ばさなかったとしても、その本が視界にあるだけで、不思議とやる気が出てきたりする、ということもあるでしょう。
「この本を読めば、やる気がわいてくる」
そんな確信が持てる、心強い味方になるような本を探し出すこともまた、読書から得られる成果といえそうです。
トリガーにしろ発火本にしろ、それが何であるかはあまり重要ではありません。トリガーや発火本とあなたとの関係性、もっと言えばストーリーが重要なのです。
例えば、僕にとっての『奇跡の仕事術』は大学生の時に読んで感銘を受け、その後も繰り返しひもといている一冊です。
情報としては不変のはずなのに、読み返すたびに何か新しい発見があるのだとすれば、それは自分に何か変化が起きているからだと判断できます。理解できたと思いこんでいた内容が、実地に経験を積むことによって、間違いであることに気づかされたり、自分で編み出したと思いこんでいた方法論が実は昔読んだ本に書かれていることを再発見したり。
そう考えると、今回ご紹介した本に限らず、過去に自分が熱心に読んだ本というのは捨てずに取っておき、折に触れて読み返すようにすることは意義のあることではないか、と改めて思います。
こういった思い入れのある動画や書籍が、ブレずにまっすぐ行動を起こし続ける自分を支えてくれるのではないか、と改めて感じています。
そして、思い出すトリガーを提供してくださったまたよしさんには感謝しています。こうして4年前の自分が書いたエントリーを読み返すことができたり、少し遠ざかっていた『奇跡の仕事術』への関心を呼び戻すことができたからです。
当初、合宿に期待していたのとは違う成果を持ち帰ることになりましたが、それはある意味、期待以上のものでした。
- あなたにとってのトリガーは何ですか?
- あなたにとっての発火本といえる一冊はどの本ですか?