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タスクごとに「心境」を書き残す効用

日々作業記録をとりながら仕事をしていますが、作業記録は以下の2つのパートに分けられます。

 1.タスクごとの開始時間と終了時間と所要時間(数値データ)
 2.タスクごとの所感や反省、あるいは引き出された教訓(テキストデータ)

作業時間(数値データ)については、自作のExcelツールで記録し、月末にAccessに書き出して案件ごとの実績時間を算出しています(この一連プロセスはマクロによって自動化しています)。この数値と案件ごとの請求金額とで時間単価を割り出すことができますから、次回以降の見積もりの参考にしたり、作業効率を見直すための材料が得られます。

でも、それ以上に役に立つと感じているのが所感や反省(テキストデータ)です。

「捕獲枠」は特に制限なし

必ずしもすべてのタスクについて漏れなく書き残すわけではないのですが、例えば次のようなメモを数行残しておくようにします。

 ・想定以上に時間がかかったタスクの振り返り
 ・思いのほか効率よく進められたタスクの振り返り
 ・そこから引き出した仮説
 ・単なるぼやき

毎週土曜日に1週間分のメモをざっと読み返し、その後に活かしたい振り返りや仮説をピックアップしています。振り返りについては、スケジュールを立てる上での参考になりますし、仮説についてはこれを検証するための具体的な行動の材料となります。

時間をおいて「検分」する

同じようなミスを繰り返してしまうことがありますが、その時のメモを時間を置いて改めて読み返すことで、より深く心に刻み込むことができます。

 「どうすれば再発を防ぐことができるか?」

という方向に自然と考えが進むようになります。そして、その結果は、スケジュールに落ちるようになります。

例えば、見積もりの時間が過少であれば、勇気を持って必要とされる時間を割り当てるようになりますし、朝の時間を有効に使えていないのであれば、朝と相性の良いタスクを持ってくるようにするなど、具体的な行動として活かされるようになるわけです。

こうした「心境」を書き残し、これを読み返すことに意味があるのは、そもそも「心境」というものは忘れ去られやすいものだからだと思っています。人は忘れる生き物ですから、何かを感じたら、すかさず頭の外に退避させておかなければ、記憶容量の上限の関係で新しい心境によって上書きされてしまいます。

完全に上書きされてしまうならまだよいのですが、部分的に旧い心境が残った形で上書きされてしまうことがあります(記憶が歪曲するというか)。断片化した心境が本来の意図とは異なる意味を持ち始め、それが「今」の判断に悪影響を与えることがあるのです。

例えば、夜遅くに何とか報告書を書き上げた、という体験を通して

 「今回は何とか締切前日に仕上げることができたが、
  少なくとも締切前々日には仕上げるようにしたい」

といった心境を持っていたとします。でも、時間がたち、その後にさまざまな心境がこれに折り重なるように被さっていけば、

 「締切前日でも何とか仕上げることができた」

という、誤った認識にすり替わってしまうことがあるのです。

本来は「前々日に仕上げるようにしたい」という教訓(あるいは心がけるべきこと)こそを残すべきところを、実際には望ましくない行動が強化されてしまうことになるわけです。

その都度すばやく「捕獲」する

いちいち心境を書くのはわずらわしいと感じるかも知れませんが、逆に言えば、その時にサッと書いておきさえすれば、あとは忘れてしまってもかまわない、ということでもあります。そして、「後でこの記録読み返すことで、きちんと反省することができる」という保証を自分に与えることで、安心して目の前の仕事に集中することができるようにもなるでしょう。

人は、一日の仕事を終えてリラックスしている時よりも、緊張状態にある仕事の途中の段階にいる時の方が、様々な発見にさらされているものです。こういった発見は可能な限りその場で「生け捕り」にしておく方が、その後に役立てることができるはずです。リラックスしてからでは、発見を取り逃がしてしまうでしょう。

▼関連:
●タスク管理ツール
関連エントリー
・ダウンロード

●振り返る
「漂流」の流れ着く先に

そこで、さらに一歩進めて、具体的にどのような「漂流」をしがちなのかを自分のこれまでの仕事を振り返って、リストアップしていきます。例えば、次のような「漂流」が考えられます。

あなたの油断をいましメール

では、このメールにどのように対応すればよいかというと、

 1.「いま、油断していること」を振り返って具体的に書く
 2.書いた内容を自分宛てにメールする
 3.2のメールだけを一覧で見られるようにしておく(フォルダ、タグ等で)

という3つのステップで書き残すようにします。

自分にとっての仕事のバイブルを持つ

そう考えると、今回ご紹介した本に限らず、過去に自分が熱心に読んだ本というのは捨てずに取っておき、折に触れて読み返すようにすることは意義のあることではないか、と改めて思います。

変化している自分を強く認識できることで、前向きな気持ちになれるからです。そして、知らず知らずのうちに、あまり望ましくない習慣として根付いてしまっていたことについても、振り返るきっかけになるでしょう。さらには、新たな習慣をつくるためのヒントが得られる、ということもあるかもしれません。

思考や行動の“跡”をつけておく効用

本を読んだり、人から話を聞いたり、あるいは自分で思ったり考えたりやってみたりしたことの中には、必ず心に引っかかるものが1つや2つあるものです。

言い換えれば、日々接している“刺激”はおびただしい量にのぼるものであり、そのすべてを記憶にとどめておくことは非常に難しく、従って心に引っかかったものがあったとしても、何らかの形で記録に残しておかなければ、忘れ去られてしまう、ということです。

「時間が足りない!」と感じた時

数年前に比べて生活が豊かになった陰で、実は仕事も豊かになっています。「豊か」とは選択肢が豊富にあるという意味で、仕事においては同時に動く仕事の種類と量がたくさんある、という状況を指します。

“貧しかった”時代には頭の中でも十分できていたタスク管理が、豊かになった今ではうまくいかなくなっています。つまり、仕事の“豊かさ”が人間の感覚を超えており、従って人間の“勘”の届かないところにまで広がり続けているのです。

このような状況では、信頼の置ける“外部記憶ツール”にタスク管理を委託するほかありません。