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記録を仕事に役立てるうえでの記録の取り方と考え方



大橋悦夫毎日欠かさず隙間なく分単位で24時間の記録を取り続けている大橋です。

前回の続きです。

» 記録をとることで、締め切りに遅れずに仕事を終えられるようになる理由

本書は「記録が何の役に立つのか?」という問いに対して、

  • A.締め切りに遅れずに仕事を終えられるようになる

と答えます。

そのうえで、

  • B.なぜ記録が「締め切りに遅れずに仕事を終えられるようになる」うえで役に立つのか?
  • C.取った記録を仕事に役立てるにはどうすればいいか?

という当然の疑問にもきちんと回答を用意しています。

個人的には、

  • D.記録は多くの人が知らぬ間に抱いている時間に対する幻想から解放してくれる

という点が重要であり、なかなか伝わらないポイントだと改めて実感しました。

※Kindle Unlimited対象です。

今回は、以下についてまとめます。

  • C.取った記録を仕事に役立てるにはどうすればいいか?

C.取った記録を仕事に役立てるにはどうすればいいか?

まず、記録の取り方から。

何を記録すればいいか迷ったら、直感に従えばいい

記録を始めるときに必ずぶつかるのが、何をどこまで詳しく記録に残せばいいか、という問題です。

これについて佐々木さんは「とにかく印象に残ったことを記録に残しておく」と言います。

こうすることで、「その周辺の記憶を必ずいっしょに思い出すようになる」からです。

僕なりに言い換えると、全てを記録しようとしなくても、あるいは記録できなくても、とにかく自分のアンテナに引っかかったことさえ記録に残せていれば、それが記憶を思い出すフックになる、と言えます。

以下の記事でも書きましたが、僕は限られた時間の中で、というより睡眠を削って日記に書いていたのはその日のオフィスでの会話内容でした。

» どんなに忙しくても睡眠時間を削ってでも家計簿と日記をやめなかった理由

いま読み返してみると、ほとんどはその日に同僚や上司とどんな話をしたか、そこから何を感じたかといった、後から何かの役に立つとはとうてい思えない記録ばかりです。

それでも続けていたのは、その日に感じたことをその日のうちに書き留めておかないと、自分が自分でなくなってしまうのではないか、という漠たる恐怖感があったからかもしれません。自分はこんな風に感じることができるのだ、という事実を何よりもまず自分が確認したかったのでしょう。

そのようにして、深夜の限られた時間に可能な限りの記録を残すという活動を続けていたおかげで、長時間労働な毎日の中でも何とか正気を保てていたのだと考えています。

どんな会話をしていたのか、その内容が書かれているだけでも、当事者である自分が読み返すことで「あぁ、この日にあのプログラムを作ったんだ!」と思い出すことができます。

交わしていた会話と、そのときに自分が取り組んでいた仕事内容とがリンクしており、会話をキーにして仕事内容の記憶を引き当てているのでしょう。

もちろん、会話内容が書かれていても、そもそもその会話内容自体を思い出せないこともありますが…。

ここで大事なことは、「会話の記録を残しておけば後で必ず役に立つ」という確信が当時の僕にあったわけではなかったことです。

とにかく会話の内容が「気になっていた」のです。

睡眠を取ることによって、その日の記憶が整理されてしまう前に、目ぼしいものを可能な限り記録に残しておきたかったのだと今では思います。

なぜ隙間を空けないように記録する必要があるのか?

佐々木さんは、

  • 隙間を空けると、その部分は脳が何かをでっち上げてつないでしまう
  • 記憶が不完全になり、そのぶん仕事は雑になる

と言います。

記録はつながっていることが大事で、ところどろころ抜けがあると、うまくないのです。

どういうことか?

前回の記事で、「記録は記憶のインデックスになる」と書きました。

» 記録をとることで、締め切りに遅れずに仕事を終えられるようになる理由

恐竜の骨が残っていれば、元の姿に復元することができるのと同様に、インデックスという骨組みが残っていれば、元の記憶に復元したときの再現度が上がるという理屈です。

インデックスがなければ、記憶は文字通り骨抜きになってしまうでしょう。

恐竜の骨がすべてそろっていないと、抜けている部分は「でっち上げ」るしかなくなり、復元が不完全になるわけです。

そういう意味では記録は楽譜に似ています。

とにかく試しにやってみて、その結果を元に楽譜を起こしていく。

思いついたメロディを口ずさんでいる間は記憶ですが、同じメロディを再現するには楽譜、すなわち記録に残す必要があるのです。

楽譜にところどころ隙間があったら演奏(=仕事)もガタガタになってしまいますよね。



記録があれば、毎日「絶対にやること」を忘れずにやれるようになる

隙間なくつながった記録が残っていれば、少なくともその記録によって捉えることができた「絶対にやること」は忘れずにやれるようになります。

昨日の記録であれば、そこに書かれているのは「絶対にやるべきこと」ではなく「昨日の自分が避けがたくやりおおせたこと」です。

「やるべき」だったり「やりたい」と思いつつも結局はできなかったことはそこには書かれていません。

そういう意味では「最低限やれたこと」とも言えますが、昨日の自分がそれを「やった」ということは必然性があったということです。

むろん、「もっとやりたかった」という心残りは少なからずあるでしょう。

それでも、昨日の自分が必然性の中で「やった」ことによって、そのおかげで、今日の自分は命に別状なくそれなりに健康に朝を迎えることができている。

佐々木さんも、

タスクシュートユーザーの言っていることが傍目で見ていてわかりにくいのは、何も問題が起こっていないというただそれだけなので、時間を得したような感じとか、すごいことを成し遂げたような感じがまったく見えてこないからです。

と言っています。

世界線は異なりますが、人目につかないところで地味に活躍しているアベンジャーズのおかげでその世界の平和が保たれている、のに似ています。

アベンジャーズはいろいろな意味で「記録的な仕事」をしているのです。

衝動から自由になることで、初めて自由が手に入る

佐々木さん曰く、

  • タスクシュートのリストをパッと見たときに、自分はこういうことをして生きているんだということを思い出す
  • どう考えてもどこかを切り落としたり削除したりはできない
  • そういう行動セットのくり返しで生きている
  • だからそこに関係のない衝動が不意に入ってくることはない

これは僕の意見ですが、刺激やパワーを求めて人に会ったり本を読んだりすることを習慣にすることは、エナジードリンクを常用することに似ています。

衝動に対応するために一時的にはブーストできますが、それによって「絶対にやること」ができなくなる日が続くようになります。

その結果、

絶対にやらなくてもいい他の事をやっていたために、睡眠時間が5時間とか6時間になる。するとそのうちに回収させられるんですよ、病気などの形で(佐々木)。

となります。

ここで言う「病気」はゲームの世界における「永久パターン防止キャラ」(略して“永パ防止キャラ”)のようなものです。

» ゲームの世界とゲームセンターの秩序を守る最強の存在 – ねとらぼ

そこで登場するのが“永パ防止キャラ”です。

“永パ”とは、昔のゲーム好きの間ではちょくちょく使われていた“永久パターン”という言葉の略で、ルールやプログラムの盲点を突いて永久にゲームが遊べるようになる状況のことを指します。

つまり“永パ防止キャラ”とは、ゲームセンタービジネスを何としでも成立させるため、少しでも粘ろうとするプレイヤーをコテンパンにやっつけるために誕生したキャラクターなのです。

しかも、“永パ防止キャラ”は総じて主人公よりもはるかに強力な能力に設定されているため、プレイヤーにとってはまさに天敵ともいうべき存在でした。

このように、「本線」から大きく逸脱しようとするとストッパーがかかってしまう以上、「本線」の制約の中で、限られた時間を駆使して成果を出すプレイスタイルを自分なりに編み出す必要があるわけです。

「自分なりのプレイスタイル」を見つけるうえで記録は欠かせないのです。

後編に続く。


参考文献

※Kindle Unlimited対象です。

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