ベック君割り込みタスクに四苦”ハック”
ベック君の心は躍っていた。
少し早めに出社してタスクの洗い出しを行い、自分なりに完璧なタスクリストを作りあげた。見積もりでは全てのタスクを捌ききるのに必要な見込み時間は約5時間。余裕を持って今日一日の仕事を終えることができる”はず”であった・・・。
ベック君 よーし、今日やるべきタスクを完璧に書き出したぞ!今日は体調もいいし、バッチリタスクを捌けそうだ!
オオハシ課長 ベック君、今日の11時から面談やるからよろしくね。30分ぐらいで終わるから。
ベック君 あ、はい。了解です!
ベック君は真っ白なスケジュール帳に面談の予定を書き込んで「ま、30分ぐらいなら全然大丈夫。」と思った矢先、今度は自席の電話が鳴り響いた・・・
この日のベック君は中々に忙しかった。取引先のB社からの電話問い合わせ対応に11時までの時間が潰され、調査を伴う急ぎ返信が必要なメールが次々と舞い込んできた。割り込みタスクを全てやっつけた後気がつくと時計の針は15時を指していた。定時まで後2時間半。
ベック君 あぁ・・最初に予定したタスクに全く手がついていない・・・。いや、大丈夫、気合いでなんとか終わらせられるはず!!
勿論、終わるわけがなかった。
結局この日締め切りのタスクだけをこなし、いくつかのタスクは明日に回したのだが、それでも2時間半の残業を行う必要があった。面談でのオオハシ課長の一言が頭をよぎる。
オオハシ課長 先週のB社対応でベック君も相当残業しちゃったからね。今月はもう残業しないようにね。
あの時元気よく「任せて下さい! 今日はもうビシッと定時で帰っちゃいますよ!」なんて言わなきゃ良かったと、頭の中を後悔の2文字がグルグル回っていた。
タスク管理のビギナーズ・ハック応用編
前回は、タスク管理の手法として、全てのタスクをオープンリストであるTodoリストで管理し、その日のタスクだけをクローズリストに書き出す方法について紹介致しました。今回はタスクのスケジューリングと割り込みタスクへの対応について取り上げたいと思います。
まずはタスクをスケジューリングしよう
まずはタスクをスケジューリングするところからスタートしましょう。
具体的なタスクのスケジューリング方法には、一つ一つのタスクをスケジューラに予定として落とし込んでいくやり方の他、”デスクワーク”などの大きな時間枠だけを確保しておいて、細かくはタスクリストで管理していくやり方などが考えられます。
いずれのやり方でも問題はないのですが、タスク一つ一つに対して、「取りかかる時刻」と「そのタスクを終わらせるのに必要な時間」の2点は必ず明確化しておきましょう。
タスクをスケジューリングする目的は以下の通りです
- いつそのタスクに取りかかるかを自分自身にコミットできる
- 自分のスケジュールとタスクを一つの時間軸に並べることができる
- 自分の作業時間見積もりに無理がないか検証することができる
- 割り込みタスク発生時にスケジュールを組み直すことができる
タスク見積もり時に陥りがちな罠
タスク量の見積もりを行う際によく陥りがちな罠として「未来の自分ならなんとかできるんじゃないか?」という楽観的な見積もりを行ってしまうことが挙げられます。
佐々木正悟さんの著書『いつも先送りするあなたがすぐやる人になる50の方法』でも一番はじめの項から以下の様な説明がなされています。
人の「想像」は、つねに「現状」よりも彩られています。だから、未来はつねにいまよりもよく、未来の自分はつねに今の自分よりも有能で素晴らしい。人の心理にはそう思いがちな傾向があります。
今回のベック君の場合も、割り込み作業によってお大幅にスケジュールが狂わされた時点(作業時間の残りが見積もり時間の半分しかない状況)でそのことを楽観視せずにスケジュールを組み直してさえいれば、もう少し早く帰ることができたのかも知れません。
こういった心理的な要因による楽観的な見積もりを排除するためには、できるかぎり実績ベースの記録を残し、その実績値を元に計画を立てればよいのですが、それでも尚、割り込みタスク等による不測の事態への対応としては不十分なのです。
割り込みタスクを受けてからのリスケジューリング
そもそも割り込みタスクを減らす取り組みを行うべきなのは勿論ですが、自分一人で仕事をしている訳ではない以上、割り込みタスクを完全にシャットアウトすることは極めて難しいと言えるでしょう。それならばいっそ「割り込みタスクは発生する物」という前提に立って、はじめから対策を講じておきましょう。
割り込みタスクへの対策として以下の2点が上げられます
- バッファ時間を確保しておく
- 先送りできるタスクを洗っておく
バッファ時間にはこれといった基準はないのですが、例えば10%余裕を持たせるのであれば、90分作業時間に対して必ず10分の休憩も計画に入れておき、作業の進捗度合いに応じて休憩時間(バッファ時間)の取り崩しを行う形となります。
また、あらかじめその日のタスクの内、いざとなったら次の日に先送りしても良いものを決めておくことで、割り込みタスクによってスケジュールが崩れたときも再調整が行いやすくなります。
まとめ
例えクローズリストを作ったからと言って必ずしもそこに書かれている事だけをやればいいという人は少ないでしょう。緊急案件でなくとも、電話やメールなどの細々とした対応など、大なり小なり割り込みタスクは発生するものです。
ということで、あらかじめ実績値ベースで作業時間を見積もり、タスクと同時にバッファ時間をスケジューリングしておくことでこれらの割り込みタスクに柔軟に対応できるタスク管理の方法についてご紹介いたしました。
今回は銘打っている”クラウド”についてあまり触れられなかったので、次回は実際にクラウドサービスやiPhone Appを連携させてのスケジュール/タスク管理の運用例について取り上げたいと思います。
▼今週のPick App!:
先日、Pocket Informant for iPad というスケジュール&タスク管理ツールが公開されました。このソフトはiPhone版から愛用しているのですが、スケジュールを「Googleカレンダー」と同期し、タスクを「Toodledo」と同期するという優れもので、かなり重宝しています。これらのクラウドサービスを利用されている方で、スケジュール&タスクを一元管理できるiPhone/iPadアプリをお探しの方にはかなりオススメです。
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去る7月25日(日)に勉強会「東京ライフハック研究会Vol.1」を開催いたしました。
50名を越す方々にご参加頂き、かなりの盛り上がりの中無事初回を終えることができました。会の様子は公式Blogにレポートを挙げていますので興味のある方は是非ご覧下さい。次回は9月上旬頃を予定しておりますので、日程が決まり次第またこちらでも告知させていただきます!
▼北真也:
仕事術をもっとカジュアルに! わかりやすさ重視の「ビギナーズ・ハック」をお届け。Blog「Hacks for Creative Life!」と勉強会「東京ライフハック研究会」主宰。