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「自分ドリブン」と「環境ドリブン」|手元に置いておきたい情報について考える(2)

By: reynermediaCC BY 2.0


大橋悦夫前回は、何か情報に触れたとき、「手元に置いておきたい」と感じるのは「あとで活用したい」という動機があるからであり、活用する上でしかるべき場所とタイミングと自分のモードがすべて一直線に並ぶ瞬間を意図的に作り出すか、あるいはそれが訪れるまで待つ必要がある、と書きました。

  • 場所−タイミング−自分のモード

その上で、活用の対象となる情報を「相手」とみなして、その相手の状況に応じて情報を振り分けたのですが、いくら相手が“アイドル状態”になっていても、「自分」が“ビジー状態”であればマッチングは成立しなくなります。

そこで、自分のモードを着手可能なモードにシフトさせるにはどうすればいいかについて、考えてみます。

「自分ドリブン」と「環境ドリブン」

自分のモードというのは、自分で「やろう!」と気合いを入れてシフトさせる場合もありますが、多くの場合、スイッチは環境に左右されることが多いと言えます。

例えば、会社では仕事モードでいることができても、自宅に帰ってくると一気に弛緩して、ビールをプシュッと開けてしまい、そのままだらだらとテレビの前に居続けてしまったりします。

いくら「あとで活用したい」という情報を大量にかかえていても、「だらだら」モードではいっこうに活用できないわけです。では、活用できる環境とはどういうシーンかと言うと、

  • ブログを書こうとしているとき
  • 仕事をしようとしているとき
  • 人と話をしようとしているとき
  • 意図した行動が実行可能になったとき

といったアクションが行われようとしている状況と考えられます。これらは、前回掲げた以下の状況に対応しています。

  • 1.ブログのネタにしたい
  • 2.仕事に役立てたい
  • 3.人に話したい
    ・雑談ネタとして(小話やトリビアなど)
    ・参考情報として(業界トピックなど)
     
  • 4.あとで実行してみたい
    ・買いたい(商品)
    ・行きたい(お店、イベント、セミナー)
    ・観たい(映画、テレビ番組)
    ・食べたい(レストラン)

ブログであれば、例えば、ネタ帳を眺めて「このネタについて書こう」と思ったときです。

一方、人と話しているときなどに相手の発した言葉がたまたま「あとで活用したい」と思っていた情報の1つに関連するキーワードであった場合も、それがきっかけとなって思い出され、活用することができる場合もあるでしょう。

前者の、ブログを書く場合は、自ら意図的にきっかけを作って行動を起こすことから「自分ドリブン」な状況と呼ぶことにすれば、後者のような外部からきっかけが提供されて行動を起こす場合は、「環境ドリブン」な状況と言えます。

自分ドリブンは意識的、環境ドリブンは無意識的

「自分ドリブン」は意図的にこちらから出向くわけですから「意識的」であり、「環境ドリブン」は“相手”がやって来るのを待つことになるため「無意識的」となります。

テレビをだらだら見ていたとしても、その中で出てきたキーワードなり情景なりが自分にとって「環境ドリブン」であれば、それがきっかけとなって、「そうだ、これとあれを関連づけてブログを書こう」という気持ちが生まれます。マッチング成立です。

とは言え、このマッチングはたまたまテレビでキーワードが出てきたから成立しただけですので、「情報を活用するにはテレビを見ればいい」ということにはなりません。方法論としては脆弱なわけです。

そこで、普段の情報収集および整理のプロセスの中で、活用を見越した工夫をしておく必要が出てきます。

結論から先に言えば、単に“相手”が来るのを待つのではなく、意図して環境ドリブンが起こるように仕掛けておくと良さそうです。

例えば、ブログを書く時になると、自動的にネタ帳が開いたり、自動化されないまでも、ブログを書こうと思った時には同時にネタ帳を開くことが習慣化されていれば、自然と「ブログのネタにしたい」と思って収集した情報に目を触れさせることになります。

あるいは、「あとで実行してみたい」と思って集めた情報であれば、それらを「今」というフィルタで抽出することによって「今できることリスト」が得られるはずです。

前回の映画の例で言えば、「上映中」(=着手可能かつ有効期限内)であるという条件で絞り込むことになります。

それ以外の情報は目に触れてもノイズになるだけで、肝心の「実行可能」な情報に辿り着く上で障害となりますので排除した方が良いでしょう。

環境ドリブンを引き起こすためのラベリング

そう考えると、情報を収集する時点で、その情報が活用されるであろうシーンを想定し、シーンごとにラベリングしておくことがその情報を活用する上で不可欠になりそうです。

適切にラベリングが行われていれば、自分のモードに合致するラベルのついた情報だけのリストに目を通すことで、環境ドリブンが起こり、「あとで活用する」が実行に移されやすくなります。

これまであまり意図的に活用することができなかった「無意識」を動員することにつながります。

となると、どのようなツールを使えばこういったことが実現できるのかが気になります。

これについては、また次回。