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おしつけがましくない Mac エヴァンジェリストになろう

堀 E. 正岳

この連載も1年になりまして、基本的なことから応用的な、マニアックなことにいたるまで、仕事で Mac を使う人のニーズのあれこれにふれることができたと思います。

この1年で Mac に乗り換えたという人は大勢いると思いますが、Mac を心底好きになってしまったあなたにとって、次の目的(?)はそれを周囲の人に広げることです(笑)。実際 Mac を使い始めると、先進的なインターフェースや OS の便利さを周囲の人に伝えて、Mac ユーザーを増やしたいと思うようになってきます。

でもここでうかつに自分の Mac の自慢ばかりをしたり、あるいは Windows を小馬鹿にしたりといった間違いをおかしてしまってはいけません。目的は優越感にひたることではなくて、あくまで広げること!なのです。

連載最終回は、ちょっと遊び心で「さりげなく Mac をアピールする」演出方法についてご紹介します。

Mac にしかないフォントで魅せる

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長年、Mac のグラフィックス、特にフォント周りは、ウェブページでみるときやプレゼン上で見る際に美しいと評判でした。最近でこそ Windows にも美しいフォントが数多く搭載されるようになりましたが、Mac OS X にしか存在しない美しいフォントを表示に用いることでさりげなく差を生み出すことができます。

たとえばデフォルトのヒラギノフォントも、場所に応じて「ヒラギノ角ゴ StdN」や「ヒラギノ丸ゴ」などを使い分けることで「何かが違う」という印象を与えることができますし、この連載で触れた Keynote のシャドウ、カーニングなどの設定を用いることで、他にはない個性を演出できます。

私はプレゼンではほとんど1行しかメッセージを書かないことにしていますが、そのかわりに画面の横幅いっぱいに拡大しても見栄えがよいフォント・色を利用することでインパクトを与えるようにしています。簡単なテクニックしか使っていないのに「Mac だとプレゼンがきれいだね」と言われると、私は心のなかでガッツポーズを決めているのです(笑)。

 

Mac にしかないプレゼン技法で魅せる

フォントだけでなく、Mac OS X をさりげなくアピールできるのが Keynote プレゼンにおけるスライドのトランジションです。

これまでに多くのプレゼンをやってきていつも反響があるのは、タイトルページから本題に入った瞬間に利用する 3D エフェクトの「キューブ」トランジションです。プレゼンのすべてに利用するのではなく、最初だけ、あるいは最初と最後にいれるだけで聴衆をぐっと引き込むことができますし、「何かが違う」というイメージを植え付けることができます。

また、散らばったカードが次のスライドでまとまるといった、スライド上のオブジェクトを移動させる「マジックムーブ」の機能は PowerPoint の「軌跡」でも実現できますが、Keynote の方が設定が簡単ですので同じ時間でもムービング・パーツのより多い美しいトランジションを作れます。

前述のフォントのテクニックと組み合わせて、テキストのエフェクトの1種「アナグラム」を用いても非常にインパクトのあるトランジションを作ることもできます。

 

画面で説明するときに、さりげなく魅せる

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私の iMac は液晶画面が大きいこともあって、同僚たちと画面を囲んでディスカッションをするときには「じゃあ mehori さんの Mac が一番大きいから」というふうにによく利用されます。

こんなときに、Expose と Spaces をキーボードショートカットで使いこなして、多くの情報を難なくさばいているところをアピールすると、見ている側は「Mac だとなんだかとても便利そうだな」という印象をもちます。

私の場合は、目の前で Quicksilver や Spotlight の操作を稲妻の速さで行うことで、快適な操作感をアピールしている、つもりです(笑)。たとえば人に電話番号を教える際には Quicksilver の Large Type 機能を使って画面いっぱいに番号を表示させると驚かれるとともに、メモしやすいので喜ばれます。

ちょっと遊び心がある場合は、Expose のショートカットキーを押す際に shift を同時に押して、動作をゆっくりとさせて楽しんでみましょう。初めて見る人は「おおっ」と驚くに違いありません。

 

Mac にしかないアプリで魅せる

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ふだんの仕事で、「Mac をつかっていると仕事がはかどりそうだ」というイメージをもってもらうには、Mac にしかないアプリケーションでインパクトを与えるのがよいでしょう。

たとえばちょっとしたイラストや、ダイヤグラムを作成するのに OmniGraffle を使えば、手間なく美しいグラフィックを作ることができます。また、Skitch をつかってスクリーンショットを一瞬で共有したりすると、あまりの手際のよさに初めてみた人は目をみはるでしょう。

「これって Windows 版はあるの?」と聞かれたら、ちょっと残念そうに「あー、Mac だけなんです、Windows 版があればいいんですけどね…」と心にもない(笑)ことを言っておきましょう。

 

Mac はもう仕事場の市民権を獲得した

この1年だけでも、職場のあちこちで新しく Mac を買ったという話題をきいたり、見覚えのあるリンゴマークを見かけるようになりました。

しかしこの連載の冒頭でも述べたように、世の中の大勢の人はいまも Windows を使って
、Windows に対応しているアプリだけを使っています。

少数派の Mac のエヴァンジェリストととしては、周囲の人に「あれ? きみ Mac 使っていたんだ」おろどいてもらえるくらいにオフィスに溶け込みつつも、「Mac って便利なの?」と聞かれた際にさり気なく答えられるようにしておきましょう。

 
▼最近気になっている一冊:

「気になっている一冊」で自分の共著書籍を紹介して恐縮なのですが、このたびネタフルのコグレマサトさん、みたいもん!のいしたにまさきさんとともに、『できる100ワザ ツイッター Twitterパーフェクトテクニック』(インプレスジャパン)を出版しました。

この一冊、自分が書いた三分の一は当然知っているのですが、残り二人の著者がかいた三分の二が面白くて、共著なのに自分で熟読してしまっています。ツイッターを始めたばかりの人にむけたチュートリアルから、中・上級者でも利用できるマニアックな知識まで、バックグラウンドが異なる3人の著者がこれでもかと盛り込んでいるので、たぶん誰が読んでもつまみ食いすることのできる本に仕上がっているのではないかと思います。

いま、ツイッターは「単なる遊び」の段階から脱しつつあります。それはメールアドレスや、ホームページ、ブログと同じくらい、ネットの中における自分・自社の存在を証明するためのツールでもあるのです。ツイッターが流行しているのはしっているけれども、どのように活用すればいいのかわからない、なにをつぶやけばいいのかわからない、という方は、本書を参考にしてみてください。

コグレマサト, いしたにまさき, 堀正岳, できるシリーズ編集部
インプレスジャパン ( 2010-03-12 )
ISBN: 9784844328254

 

▼編集後記:
堀 E. 正岳

1年続きました「これからMac」の連載は、今回で最終回となります。これまでお読みくださったみなさん、ありがとうございました。

次回からは、仕事で活用できる Evernote の使い方を紹介するコーナーとして、「Evernote の育て方」を開始します。Evernote ハンドブックをなぞりながらも、さらにカジュアルな情報整理術についてご紹介していきたいと思います。