前回の記事で取り上げた、「英語 with Luke」の運営者ルーク・タニクリフさんの2冊の著書について、内容まで踏み込めなかったので、今回はこの2冊の内容をご紹介します。
次の2冊です。
- 『この英語、どう違う?』
- 『「とりあえず」は英語でなんと言う?』
『この英語、どう違う?』
とにかく、タイトルが大変良いです。
前回の記事でご紹介したルークさんの原点をこれ以上にシンプルに言い表したものはほかにないでしょう。
↓前回の記事
» 「違い」を出したければ、「違い」に注目すればいい。好きを仕事にするヒント。
- イギリスで生まれ、13歳のときにアメリカに引っ越す
- イギリスとアメリカでは英語にもたくさんの違いがあることに気づく
- 言葉に興味を持つようになる
- 大学時代、ルームメイトが日本人
- 日本語は難しそうだったので英文学とイタリア語を勉強
- 卒業後はワシントンDCで雑誌記者として働く
- 違う国に住む経験を求めて、新潟県の中学校にALT(外国人講師)として赴任
- 「日本語」と「日本人の英語」に興味を持つようになる
- 日本語の勉強のために日本語でオンライン日記を書き始める
- 英語についての自分の考えや日本人の話す英語について書いたところ反応があった
- 英語について日本語で説明するサイト「英語 with Luke」を始める
- 読者に好まれる話題は「よくある間違い」、「混乱しやすい英語」
内容的にはタイトルのとおり、「この2つの単語、どう違うの?(どう使い分ければいいの?)」という、特に日本人にとって分かりにくい「違い」をクリアーに解説してくれています。
例えば、「study」と「learn」の違いなら、
study は読書や勉強などの「行為」を意味し、learn は「知識を得ること」を意味します。つまり、learn は study の結果になるのです。
という具合に、スパッと明快。
添えられている例文がまた分かりやすい。
If I study for five years, I think I can learn English.
(5年間勉強したら、英語が身につくだろう)I studied for five years, but I did’nt learn anything.
(5年間勉強したのに、何も身につかなかった)
この本を読むと、「study 勉強する」、「learn 学ぶ」などと単語を丸暗記することがいかに効率が悪いかを思い知らされます。同時に、英語の study が楽しく感じられるようになるので、自然と英語も learn できそうな気がしてきます。強くモチベートされるわけです。
『「とりあえず」は英語でなんと言う?』
こちらは「この日本語を英語で言いたいのだけど、どう言えばいいの?」という和英本。英文メールを書くようなときに役に立つでしょう。
以下のような日本語のフレーズをどう英語で言えばいいかが解説されています(僕自身、気になったフレーズをピックアップしてみました)。
- なつかしい
- ハイテンション
- やった!
- モテる
- 神対応・塩対応
- 癒やし系
- 意識が高い
- リア充
- ○○的
- 確かに
- それな
- どんな感じ?
- 微妙
例えば、「ハイテンション」であれば、
数年前、ホームパーティーでお酒が入り楽しんでいたら、日本人の友人に「テンション高いね」と言われました。僕はそのまま脳内で“You look really tense.”という英語に訳したので、「え、今?」と言ったら、「今の Luke 見たら、誰だってハイテンションだと思うよ」と笑われました。
僕は緊張もほぐれてきて楽しんでいたのに、なぜみんなには“You look really tense.”つまり、「とても緊張している」ように見えたのか不思議でなりませんでした。
しばらくして日本語の「テンションが高い」や「ハイテンション」の意味を知ったとき、この日のことを思い出して恥ずかしくなったのを覚えています。
それでは、日本人が使う「テンション」はどのような英語で表せばよいのでしょうか。
というルークさん自身の実体験にもとづくエピソードを紹介したうえで、解説に入っていきます。
よく使うのは excited
get excited はハイテンションをうまく表せるので、英語圏でとてもよく使われています。
Once the firework display started, everyone got excited.
花火大会が始まったら、みんなはハイテンションになった。
という具合です。
この後も、「ワクワクやドキドキを表すなら thrilled」、「活発な人に使う peppy」、「元気なペットや子供には futt of beans」、「スラングの fired up」と、これでもかと様々なバリエーションを畳みかけてきます。
それぞれに例文も添えられているので、実用的です。
実用的と言えば、人混みをかき分けるときの「すみません」を英語で何というか、というトピックでは「scuse me」というフレーズが紹介されていました。
多くのネイティブが excuse me よりよく言うのがこれ。単純に、excuse me の ex を省いたら言いやすかったからでしょう。僕もこれを使っています。
ああっ、確かに言いやすい! 僕も今後はこれを使おうと思います。
こういう、実際にネイティブ本人が使っているフレーズを教えてもらえるのは良いですね。
さらに、コラムも充実しており、メモが捗ります。
- 大げさな表現を使ってネイティブのように話そう
- 副詞を活かすとネイティブのように話せる
- 表現力を挙げる「クリエイティブなお礼」
- 「とりま、プレモル!」はこう言う
まとめ
どちらもおすすめですが、『この英語、どう違う?』は「使い分け」ということで、やや踏み込んだ内容になっていると感じます。
一方、『「とりあえず」は英語でなんと言う?』はタイトルどおり「これって英語ではどう言うんだろう?」という素朴な疑問に明快に答えてもらえるので、取っつきやすさは抜群です。
従って、とりあえずは『「とりあえず」は英語でなんと言う?』がおすすめです。
その後、「違い」に迷い始めたら『この英語、どう違う?』にステップアップする感じで。