自分でビジネスを始めた時に最初にぶつかる壁は「販売」です。どんなに良い商品やサービスを開発しても、それを売ることができなければ、たちまち立ちゆかなくなるからです。
「良いモノを作っていれば売れる」というのは一理あるかもしれませんが、「売れる」のは少なからず「売る」ための努力をしているからであって、「良いモノを作っているだけで売れる」わけではない。
つまり、「売る」から「売れる」という原因と結果の法則があるのです。法則のあるところには必ず技術があります。その技術を体系的に解説しているのが今回ご紹介する『即効トークで 3倍速く売るプロの販売』。
著者は、カリスマ販売員、テレビ通販のキャスターを経て現在は売れる売れる研究所にて「売れる研修」「売れる講演」などを展開している、販売のプロフェッショナル。
本書には全部で38の「売れる脳みそ」と呼ばれるチェックポイントが掲げられているのですが、このうち僕自身も「これはすぐに取り入れなければ!」と思った10のポイントをご紹介。
「売れない」人が「売れる」人になるための10のポイント
- 商品の使い方を説明しているか?
「この商品どうやって使うの?」というお客様の悩み(ニーズ)に注目する。詳しく商品の使い方を説明することで、商品を使っている疑似体験をしてもらう。
- 商品のデメリットを伝えているか?
情報があふれている現代社会では、デメリットを明確に提示しているほうが、情報の信ぴょう性を高めるケースもある。メリットばかり提示しても、売り込みだと思われるだけ。
- お客様の問題を解決しようとしているか?
最終的に買う、買わないの決断をするのは、お客様自身。そのために、お客様の何が問題で、購入できないのかということを整理してあげて、矛盾点をスッキリさせてあげることが購買につながる。
- 「今、必要」と感じさせているか?
「先に必要」よりも「今、必要」と思わせることが大事。人間は不安になると「今、必要」と感じる。危機感をイメージさせるというのもひとつのポイントになる。
- メイキングを語っているか?
ブランドのない商品は、原料から商品の姿になるまでの工程・経緯を詳しく話すだけで、その弱みを補うことができる。
- お客様の気持ちを受け止めているか?
お客様に「やっぱり止めようかな…」と言われたら、ショックを受ける前に、お客様の気持ちをいったん受け止める。しっかり受け止めないとお客様の一度閉じた耳は一生開かない。
- あなたの商品はお客様のどんな欲求を満たすのか?
あなたが売りたい商品の潜在的欲求は、(1)相手に認められたい欲求、(2)人や財産を守りたい欲求、(3)生活を楽しく便利にしたい欲求、(4)自己実現をしたい欲求、のうちのどれに当てはまるかを考えて、商品説明・キャッチコピーを考える。
- ついでに買ってもらえる商品を決めているか?
最初から「ついでに買ってもらえる商品」をひとつ決めておいて接客・営業する。最初から決めている人と決めていない人では、客単価に2倍差が出る。
- お客様に「すごい!」と言っているか?
お客様の「購入」という行動を、ほめ倒し、賞賛するとリピーターになる。人は自分を認めてくれる人のところに集まる。
- お客様に費用対効果を詳しく説明しているか?
人間は誰しも損をしたくない生き物。実は、費用対効果をじっくり説明するだけでも売れる。
店頭での対面販売を前提としている本書ですが、その根底にある基本原則はどんなビジネスにも当てはまるものばかり。
あなたが日々売っている商品のことを思い浮かべながら読めば、「あ、こういう風にすればもっと売れるんじゃないかな?」という気づきがあふれてくるはずです。
あるいは、究極の販売といえる「自分を売り込みたい」と考えている人にも役に立ちます。試しに「自分を売る」ことを念頭に、先ほどのリストを見直してみてください。どうしたら自分が買ってもらえるか、お客様の視点から見直すことができるはずです。
今回ご紹介したのは全38個のうちの10個だけ。他にも「売れるようになる」(=人の役に立てるようになる)うえで知っておくべき考え方やテクニックが豊富な具体例とともに紹介されており、「売れなくなる」(=人の荷物になる)前に読んでおきたい一冊です。
合わせて読みたい:
もう一歩踏み込んで、営業という技術を専門的に学びたいなら、この一冊。以下、目次です。
- マーケティングは一つではない!
- 知覚されないニーズにどう対応するか
- 認知しただけで顧客が買うとは限らない
- 値段だけの商談をするな!
- 戦略は、四つのステップでつくる
- 展開されてはじめて戦略
- 強者の法則