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仕事にかかる時間の見積もりが正確になれば人生が変わる

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photo credit: e-dit via photopin cc

佐々木正悟 タイトルはいかにも大げさと思われるかもしれませんが、そんな事はありません。

なぜなら、私達の99%が、自分の潜在能力をあり得ないほど高く見積もっており、約束を破る潜在的なリスクをあり得ないくらい過小評価しているからです。

アメリカではいろいろな大学で、学生が自分たちのレポートを仕上げるまでにかかる「見積もり」をどう考えているかについて、実験しています。ひとつの実験結果によれば、「50%の確率でこの日までに終わる」という〆切を守ることのできた学生はたったの13%で、「99%の確率でこの日までに終わる」という〆切ですら、守ることのできた学生は45%でした。

【参考】
» Flawed Self-Assessment

私達はセミナーなどを通じて「タスクシュート」を使い始めた当初の「見積もりの過誤」によく直面するのですが、一般的には「この日までに終わる」の3倍の日数が必要です。「確実にこの日までに終わる」なら最初の見積もりの6倍は欲しいところです。

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こういう話はたぶん、聞き飽きているでしょう。多くの人に言わせれば「そんな話は聞きたくない。そうじゃなくて、見積もりどおりのデッドラインを死守することを可能にするライフハックを教えろ」ということになるのでしょう。

理想が当たり前なら自虐的になるしかない

そういう考え方では「時間が足りないジレンマ」から逃れることができないのです。「誰も〆切に間に合わず、〆切とは守ることのできない設定であることが当たり前の世界」で、「時間に余裕を持つ」ことなどできるはずがありません。

「確実に〆切に間に合うには、今日から自分の能力を6倍にしなければいけない」ような設定のまま、デッドラインだけは死守しようとするのは、控えめに言っても精神的な自殺行為です。このバカげた状況を脱するには、少なくとも自分だけでも「正しい締め切り日」を知っておく必要があります。

それを知った瞬間から、自分の人生と世界に対する見方が、大きく変化するはずです。

なぜなら、「3月末がデッドラインだ! 1日たりとも伸ばすことはできない!」という世界に巻き込まれている間は、ただひたすら自罰的になるしかないからです。「今日から能力を6倍に伸ばす」ことはもちろんできない。にもかかわらず「それができないのは悪いこと」という世界にあっては、自分を責める以外に何ができるでしょう?

しかし、「正しくは12月末になるまで終わらない」ということを知っていれば、少なくとも正気を保てます。

また、時間リソースの正しい可能性を知ることは、自虐的な欲張りにならずにすみます。早朝ランニングをして、教養を高める本も読んで、ブログも書いて、TOEICで990点を取ることが「当然できるだけの時間がある」と思っている間は、「できない自分は特別に怠けている」と考えるしかなくなります。

しかし、見積もりがそもそも6倍も間違っているのが現実なら、できることは1/6に過ぎないとみなすのが自然なのです。

時間の価値を6倍に見積もることは、たとえれば、月給30万円しかないのに、180万円相当の生活ができないことについて、自分を責めているようなものです。

「自分はムダなモノばかり買っているから、本当は毎月100万円の貯金ができるはずなのに」と思っているのですが、そうではなく、ムダなモノは何も買わなくても、100万円の貯金などあり得ないのです。

こういうことを書くたびに「耳が痛い」と言ってくださる方があって、私はむしろ申し訳ない気持ちになります。私は人の耳を痛くしたくなどありません。むしろ私は、特にタスクシュートに出会った人には、新しい生活を始めて欲しいと思います。

時間の価値が幻想の1/6に過ぎなくても、ゼロというわけではないのです。

予測の6倍の時間をかければ、終わらせるべき事は終わるのです。やがてそれで何も問題などないことがわかります。そうなれば毎分ごとの自罰から解放される分だけストレスが減り、無意味な計画を立てる時間が節約でき、ムダな見積もりを修正する時間が節約でき、言い訳して回る時間も節約できるため、時間にも余裕ができてきます。

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▼編集後記:
佐々木正悟



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本文中にもワンカット入れましたが、拙著をベースにした電書コミックが、近々(おそらく今週中)発売となります。

▼追記@2014/12/05(金) 23:47 発売されました!

» マンガでわかる!タスクシュート時間術〈超入門〉[Kindle版]

▲追記おわり@2014/12/05(金) 23:47

それにしてもマンガというのは不思議ですね。拙著の、なかなか伝えにくかった、おそらくわかりにくかった箇所が、いとも簡単にひどく簡単なシーンとして描かれています。

どうしてこういう雰囲気が出せるんだ?と思うとともに、どうして自分では出せないんだ?とも思ってしまいますが、読んでいて何しろ楽しいです。

なぜ,仕事が予定どおりに終わらないのか?~「時間ない病」の特効薬!タスクシュート時間術
なぜ,仕事が予定どおりに終わらないのか?~「時間ない病」の特効薬!タスクシュート時間術 佐々木正悟 大橋悦夫

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