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アイディアを得るために「ふたり」で仕事をする

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佐々木正悟 仕事のパートナーを得ることの、最大のメリットはなんといってもアイディアを得られるところです。

仕事のパートナーにしてもらいたいことは、通常「作業」ではありません。時間に追われている人はもしかすると「自分と同じ考えと能力で作業してくれる人がもう1人いれば…」と思ったことはあるかもしれません。会社の経営をしている方などはそういう意味で「自分が二人いれば…」と切実に感じるでしょうし、現に「二人で起業」する人もいるはずです。

でも私が考えていることは「自分が二人いれば」もっとうまく時間が使えるということではありません。「自分(のような他人)が二人いれば」いいアイディアにぶつかるということの方が、少なくとも私にとっては大事です。

「自分が二人」いることで仕事や作業がはかどるというのはもちろん素晴らしいことなのですが、自分とまったく同じ人間が二人いたところで、素晴らしい発想はなかなか思い浮かばないものです。自分の頭にアイディアがなければ、同じ頭が100個あっても同じことです。

しかし「自分に十分理解できる発想」を「自分とは違った頭が思いつく」となると、まったく話が違ってきます。私は「いいアイディアをどんどん発想する」のに最適な条件とは、これだと思っています。

理解のために似ていることが必要で、驚くために違いが必要

いいアイディアには決まって「驚き」があります。つまり「とても私にはそんなこと考えつかない!」というあれです。しかし「驚く」ためには「理解できる」ことも必要です。「とても私にはそんなこと考えつかない。ところでそれはいったいなんですか?」というのはアイディアにはなりません。

十分に理解でき、しかし驚きがある。

この条件を満たすものはあまり多くありません。アイディアは希少なのです。

行動経済学のダニエル・カーネマンは、重要なパートナーだったエイモス・トベルスキーとの関係について、こう書いています。

私たちはお互いに容易に理解できる程度には似ていたが、お互いに相手を驚かせる程度には違っていた。(p13)

ファスト&スロー (上): あなたの意思はどのように決まるか?
ファスト&スロー (上): あなたの意思はどのように決まるか? ダニエル・カーネマン 友野典男(解説)

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「スーパーハイコンテクスト」を共有できる相手の話を聞くこと。「スーパーハイコンテクスト」とは造語ですが、相手が何か一言言うだけで「ああ・・・それは・・・」と話をつなげられるくらいに相互理解が浸透しているということです。

ここまでくれば相手のいっていることの意味がわからないということはほとんどなくなります。背景の説明も大幅に省略できます。しかし異なる頭脳の持ち主です。だからその発想には「驚き」が多くあるわけです。

仕事の中で、そうしたことのできる相手に恵まれたとしたら、大変ラッキーです。もしそうでなければ、意外とありきたりなようですが、身近な人との関係を重視することです。

ライト兄弟とか、キュリー夫妻とか、幼なじみも同然の藤子・F・不二雄とAとか、豊臣秀吉と秀長とかいった人たちをみて「優秀な人が肉親だったり身近にいてうらやましい」と思っているだけではダメなのです。スーパーハイコンテクストを共有できる人が異なる頭脳の持ち主だという点に、私たちはもっと注目するべきです。