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今日からはじめる手帳術 第15回 時間の使い方を管理する最初の一歩

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photo credit: gothick_matt via photo pin cc

倉下忠憲
前回は、北さんがライフログデータをセルフマネジメントに活用するメリットを紹介してくださいました。

» 今日からはじめる手帳術 第14回 セルフマネジメントにおけるライフログの重要性

時間のログを残すのは、とても有効です。むしろ時間の使い方を改めるには記録を取るしかない、とすら言えるかもしれません。

今回は、これについて少し補足してみます。


管理手段としての家計簿

たとえば、お金について考えてみましょう。

お金の使い方を改めようとすれば、どのような手段があるでしょうか。「節約する!」。これは心掛けであって手段ではありません。ある種の心掛けを具現化するための手段が必要です。

一般的な手段としては、「家計簿をつける」があります。使ったお金の記録を残していくわけですね。

家計簿をつけていれば、月の中頃に「今月は食費をこれだけ使っているから、後半はちょっと抑え気味に行こう」といった判断が可能になります。また、「先月は3万円だったから、今月は2万9千円の予算でやりくりしよう」という計画を立てることも可能です。

こうしたことは記録を残していないと、「まだまだ、余裕」とか「今月は2万円の予算で」みたいな希望的観測がムクムクと湧いてきます。それが現実的かどうかではなく、「そうだったらいいな」に基づく計画、つまり机上の空論です。これではまともな管理はできないでしょう。

家計簿は面倒だと思われている人もきっと多いはずです。しかし実際に続けている人は「効果」を感じているからこそ、続けているのでしょう。

ドラッカーはかく語りき

ドラッカーの『プロフェッショナルの条件』の「時間を管理する」という章で、彼は次のように書いています。

私の観察によれば、成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。

どういうことでしょうか。

仕事からスタートするということは、やる必要のある(あるいはそう思える)仕事を考えて、それを実行しようとすることです。こういうのを作業本位な考え方と呼ぶことにしましょう。

対して、時間からスタートするということは、自分の使える時間を明らかにし、そこに仕事を当てはめていくという考え方になります。またよりよく時間を使えるように仕事そのものを変更したり、あるいは削除することも意味します。これは時間本位な考え方と呼べそうです。

最大の問題は、時間がどうしようもないぐらい制約要因な点です。

時間は、借りたり、雇ったり、買ったりすることはできない。その供給は硬直的である。需要は大きくとも、供給は増加しない。価格もない。限界効用曲線もない。簡単に消滅する。蓄積もできない。永久に過ぎ去り、決して戻らない。したがって、時間は常に不足する。

だから、自分の時間の使い方を知っておくことは大切です。

時間管理の3ステップ

ちなみにドラッカーは、時間管理の基本として次の3つのステップを紹介してくれています。

  1. 何に時間がとられているのかを明らかにする
  2. 時間を管理すべく、自分の時間を奪おうとする非生産的な要求を退ける
  3. その結果得られた時間を大きくまとめる

家計簿に置き換えれば、

  1. 出費の記録を残し、
  2. 必要性の低い出費を抑え、
  3. 浮いた分のお金で、本当に必要なものを買う

という感じになるでしょうか。

どちらにせよ、記録することが管理のスタートになるわけです。

さいごに

私たちは、想像以上に自分のことを理解していません。

時間の使い方もその一つです。手始めに一週間ほど自分の時間の使い方を記録してみると、いかに「わかっていなかった」がわかると思います。

よくわかっていないことを管理したり、方向性を改めたりすることはできません。

まずは、記録を残し、実態を明らかにすることが、セルフマネジメントの最初の一歩といえるでしょう。

▼参考文献:

「いかにして成果をあげるのか」について有益な示唆がたっぷり詰まっています。


▼参考図書:

▼倉下&北式の手帳の使い方を一冊の本に纏めています


▼編集後記:
倉下忠憲



ちゃくちゃくと次の本が、発売に向けて進んでいます。

もうひとふんばり、という感じですね。新しい企画案も徐々に形が整ってきました。なるべくならば、わかりやすくて、読みやすくて、役に立って、さらに面白い本を書きたいですね。全てをそろえるのはなかなか難しいですが・・・。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。