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第4回 RSSでの情報収集は仕事にどう役立つのか?/ ビギナーズ・ハック2nd

Express Monorail
photo credit: Express Monorail via photopin cc

北真也

第4話「ある晴れた気持ちの良い朝とRSS」

ある晴れた朝のこと、通勤途上の電車で1人難しい顔をしながらiPhoneをのぞき込む青年がいた。

ベック君:ふむふむ。もうすぐiPad3が発売されるのか

ベック君は愛用のSylfeedを駆って、軽快にRSSを読み進める。

雲一つない空は冴え渡り、普段であれば霞がかっていて見えづらい富士山を今日ははっきりと捉えることができた。だが、青年は後15度視線をあげれば見える富士山には目もくれず、ひたすらにRSSを読みこんでいた。

終着駅に到着する電車から降りる人々の群れにまじりながら、ベック君はちらちらとRSSを見ながら会社への道をひた歩いていた。(※ながら歩きは危険なので止めましょう)

途中、1人の男性がヴァイオリンをストリートで奏でていたが、誰も足をとめることなく会社への道を急ぐ。駅のロータリー脇に植えてある梅の木のつぼみがかすかに開いていたが、それに目をくれる人も誰1人としていなかった。

会社に到着したベック君はまだ始業までに少し時間があったのでパソコンを起動してRSSの続きを読みこむ。そこで気になる見出しのBLOG記事が流れてきた。

東京某所に当代きっての名手ジョシュア・ベルが表れ、名器ストラディヴァリウスで見事な演奏を行っていた。

ベック君はハタと気づく。

ベック君:うわ・・あの人だ。ちゃんと聴いておけばよかった!

ベック君は少し後悔の念を抱きながら、窓の外に目をやると、そこには雲一つない美しい青空と美しいという形容詞がぴったりの頂上付近が冠雪している富士山の姿が見えた。

しばらくその景色に見とれていると会社の始業を知らせるチャイムが聞こえてきたので、ベック君はRSSリーダを閉じて大きく伸びをし「今日も一日頑張りますか!」と1人つぶやいた。

RSSでの情報収集は仕事にどう役立つか?

ネットに於ける情報インプットの代表格といえばRSS。

最近立て続けに「RSSをどの様に仕事に役立てていますか?」と質問を受けたので改めてこのRSSで情報収集する意義の様な物を考えて見たいと思います。

■そもそもRSSを読む意義とは?

僕の場合、RSSを購読する理由は大きく分けて以下の4点です。

  • ネット上で活動する友人達の動向を知りたい
  • Lifehackや手帳など自分が興味ある分野について広く情報収集したい
  • 最新のIT/Mobileの技術動向/業界動向を知りたい
  • 世間で今何が起こっているかを知りたい

実のところ「BLOGのネタ」というのはありそうで中々ないのではないかなと思っています。

情報の鮮度命な速報系やニュースサイト系ならなるべく素早く面白い情報を見つけ出して記事にするというアプローチ良いと思いますが、1日の中で情報収集やBLOGを書くために充てられる時間がせいぜい1時間程度しか確保できない人間にはあまりうまいやり方だとは思えません。

むしろ、僕が知る多くのブロガーさんはAISAS理論よろしく、

  1. 情報に触れる(Attention)
  2. 興味を持つ(Interest)
  3. 行動(Action)
  4. その結果をBLOG記事に(Share)

といった具合に、刺激からアウトプットまでの間にいくつかのプロセスを設けているように思います。

つまり、皆さん「何かBLOGのネタがないかな」ではなく「何か面白いことないかな」というスタンスでRSSを購読しているんではなかろうかと思うわけです。

まあ、この点は今回の本筋ではないので、余談程度に聞き流して下さい。

■RSSでの情報収集は仕事にどう役立つか?

ということで、本題です。

RSSでの情報収集は仕事にどう役立つのか

人それぞれ置かれている立場が異なるので一つの解にはならないと思うので、ここでは私の職業から業務内容を例に考えていきたいと思います。

私の本職はモバイル業界のシステムエンジニアです。かつては開発よりの仕事に従事していましたが、今は新規開拓の提案チームに属しています。

ただ、本分はエンジニアですから、軸足としては自分がいる業界標準(例えば3GPPがリリースするLTEの標準など)の最新動向を押さえ、顧客がその標準をどうインプリ(実装)していくかを探りながら、既存の枯れた技術と新しいイノベーションを起こす可能性のある技術を組み合わせながら製品企画を行ったり、顧客にアイデアベースで提案を行ったりします。

少し整理をすると私が必要とする情報は次の3点です。

  1. グローバル単位での業界動向
  2. 顧客の動きを掴む
  3. 製品や提案を実現するための技術動向

実はこの3点の初期情報はネットから得ることが出来ます。

例えば、日本語ソースであれば、「IT Media +D Mobile」や「IT Pro」「WirelessWireNews」あたりを追いかけておけば、それなりに大きな業界の動きや顧客の動向を掴むことが出来ます。

ちょっとマニアックな無線技術の動向を知りたい場合は「無線にゃん」あたりが個人ブログながらも抜群に信頼できる情報源となります。

また、最近では多くの企業がプレスをRSS配信するようになりましたので、自分の属する業界各社のプレスに目を通すことも以前より難しくはなくなりました。

実際に提案を練って客先にアプローチする際には、ネットのソースでは絶対に手に入らない情報などを営業経由で収集したり、(一応自分も含む)社内の有識者の持つコンフィデンシャルな情報を組み合わせる必要がでてきます。

ただし、その場合であってもニュースメディアのソースは「世間一般でこう言われている」とか「御社のトップがインタビュー記事でこういうことを言っていた」といった形で資料の主張を助けるデータもしくは論拠として利用できます。

まとめると次の様になります

  • 情報収集の初期段階としてRSSは重要(むしろ、RSSで得られる情報程度は当然追いかけておくべき)
  • オープンになっている情報は提案資料の主張に対するデータや論拠として利用できる

■取り敢えず登録、少しずつ育て、読めない記事はバッサリ切る

今回は仕事に役立てることにフィーチャーしていますが、私の基本的なスタンスは取り敢えず気になったRSSを片っ端からRSSリーダーに登録するというものです。この点については公私ともに同じスタンスです。

個人的な活動の中では、オフやセミナーなんかで知り合った人、知り合いの知り合い、ネット上で見つけた面白そうな人、興味あるテーマについて描かれているブログなどなど・・取り敢えず気になったらRSS登録&Twitterでフォローするようにしています。

そうすることで、実際にお会いした時に共通のコンテキストが形成されていて、話をスムーズに進められるというメリットが享受できるからです。(あまりビジネス上でこの手法が使えたことはありません…)

こちらのRSSフィードはできるだけ目を通し、飛ばし読みもしないですし、読まずに既読にすることは殆どありません。

ビジネス上では、ニュースメディアや信頼のおける個人ブログなどを探してそこのRSSを取り敢えず追加していきます。

中には「あ、これハズレだったな」とか「この情報はIT Media読んでれば十分だな」といったことが見えてきたら躊躇せずRSSの登録を解除します。こちらは情報収集を行うという純然たる目的があるので、情報源の取捨選択がビジネスにおけるパフォーマンスに多少なりとも影響を与えると考えると捨てることへの躊躇いも少なくなるのではないかと思います。

ニュースメディアのRSSフィードは幅広く情報がやってきますので、自分にとって多少興味がある程度以下の情報は全て無視します。数も膨大ですから、いちいち全部読んでいたら時間ばかりが過ぎてしまいますので。

また、忙しい時などにRSSが読めなかった場合はどんどんと未読が貯まっていくのですが、その時は躊躇なく古い記事を一括既読にしてしまいます。これから先もどんどんと新しい記事がやってくるわけですから、そちらをこなしていく方にフォーカスする方がよいでしょう。

Google リーダー (1000+)-1

最後に

今回はRSSでの情報収集がどう仕事に役立つのかという点について取り上げ、最後にフィードによって読み方や管理の仕方が違う点について取り上げました。次回はGoogleリーダーとiPhoneアプリのSylfeedの使い方について取り上げたいと思います。

 

▼編集後記:
北真也



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▼北真也:
仕事術をもっとカジュアルに! わかりやすさ重視の「ビギナーズ・ハック」をお届け。Blog「Hacks for Creative Life!」と勉強会「東京ライフハック研究会」主宰。