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楽しく知的生産 第二回:楽しくノートする

By: Lenore EdmanCC BY 2.0


倉下忠憲「楽しく知的生産」シリーズ第二弾。今回のテーマは「ノート」です。

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ノートのポイントは、まずメモと同様に「続けること」にあります。毎日毎日書く必要はありませんが、定期的に書き続けることは必要でしょう。なにせ、ノートの本領が発揮されるのはある程度ストックが溜まってからです。そこまでは、ある程度「がんばって」続けなければいけません。その際「楽しい」気持ちは良い助力となってくれるでしょう。

では、楽しくノートするためには何が必要でしょうか。

好きなノートを使う

道具選びの基本中の基本です。触っていて楽しいノート、持っていて嬉しいノートを選択しましょう。なにせノートとは長い付き合いになります。ここでの「ちょっとした投資」などすぐに減価償却される__というのは買い物に付きものの言い訳にすぎませんが、あながち間違いでもありません。

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エッセンスとしては、ノートにステッカーを貼ったり、あるいは高級感(あるいは実用性)があるノートカバーを使ってみる手もあるでしょう。

最初は薄めに

ノートはストックが意味を持つ、ということを考えると、ページ数は多い方が良さそうな気がしますね。実際モレスキンはすごいページ数がありますし、あれを埋め尽くせばさぞかし凄いことになりそうな気がします。で、私もページ数の多いノートを愛用しています。

しかしながら、最初の段階では、むしろページ数の薄いノートを使うのが良いでしょう。「一冊書ききる体験」は達成感・充実感につながるので、継続にプラスの効果が期待できます。

また薄いノートはすぐに書ききることができ、新しいノートを試すことができます。その試行錯誤によって自分の好みのノートの感触を捉まえられる効果もあるので、初めのうちは薄いノートから手に取ってみるのがよいでしょう。

楽しいことを書く

では、そうしたノートに何を書けばいいのか。ぱっと思いつくのは「役に立つこと」です。しかし、何が役に立つのかは先に知ることはできません。となると「役に立ちそうなこと」を書きたくなりますが、たいていそういうものは役に立たず、ノートを書く意欲も刺激されません。

だから最初のうちは徹底的に自分の好きなこと、書いていて楽しいことを書くとよいでしょう。歌が好きなら歌詞を、ゲームが好きなら攻略情報を、詩や言葉が好きならそれを書き写すわけです。そうやって、「情報をノートに書き付ける」習慣をつけていきましょう。

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※考えたことをちょっとまとめてみる

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※気になった言葉を書き留めてみる

気楽に書く

ノートに書き込む際は、あまりフォーマットは気にせず、自由気ままに書いていくのが良いです。それがノートの良さの一つでもあります。もちろん好きであるならば、フォーマットを決めてもよいでしょう。そういう選択をする自由もあります。

どちらにせよ、フォーマットの有無が気になって書きにくいなら、気にしないことです。とりあえず誰かに見せるわけではありません。気にせずどんどん書いていきましょう。

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※汚い字でも気にしない

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※横向きに使うのも気にしない

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※スカスカでも気にしない

また、「できるだけ綺麗な字で書きたい」という欲求がある場合は、付箋を併用されると良いでしょう。付箋に「とりあえず、仮置き」のつもりで書き、それをノートに貼っておくのです。もし、時間があればそれを清書すればよいですし、それをしなくても情報だけはそこに残っています。それで十分なことも多々あります。

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※暫定情報は付箋に

ふり返って楽しむ

書いてしばらくした後、そのノートを読み返すのが最大のポイントで、最大の課題でもあります。不思議と人は書き終えたノートに目を向けません。とりあえず、そこに楽しいことが書いてあるのならば、読み返す動機付けは生まれやすいでしょう。

それにプラスして、ノートを机の上の目につくところか、あるいは本棚に差し込んでおきましょう。つい手に取り、パラパラと見返したくなる場所に置いておくのがコツです。

そうやって昔のノートを読み返して面白さを感じるなら、今のノートを書く意欲も湧いてくるでしょう。そこまでくればノートを書く習慣は目前です。

さいごに

いくつかポイントを挙げてきましたが、重要なのは「最初のうちは厚めのノートに手を出さない」です。そういうノートはあこがれの対象ではありますが、まったく書き終わらなくて、嫌気が指してしまう可能性が大きいのです。

そうした「嫌になるポイント」を意識して外していけば、楽しく続けやすくなるでしょう。

そして、ノートというツールを味方に付ければ、知的生産のもろもろも楽しくなってきます。ぜひ、どんな形でもよいのでノートを使ってみてください。

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▼今週の一冊:

まあ、読んでみてください。抜群に面白いです。SF好きなら間違いないでしょう。

ほとんど当然のことですが、AIやロボットについて考えれば考えるほど、それは人間について考えることの土台になっていきます。そしてそれがまさに現代では必要なのでしょう。

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▼編集後記:
倉下忠憲



これまでいくつものタイプの文章を書いてきました。現在も並行していくつかの文章を書いています。で、その中で「きちんと(定期的に)進むもの」と「なっかなか進まないもの」が出てきます。不思議です。この理由をうまく解明できれば、劇的な執筆進捗システムが完成するような気がするんですが、今のところ妄想領域から一歩も抜け出していません。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。


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