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アイデア力向上のための手帳習慣

倉下忠憲
手帳シーズンということで、新しい手帳を探しているのですが、「これっ!」と言えるものはいまのところ見つかっておりません。

できれば、発想力を向上させるコンセプトを持った特殊な手帳を使ってみたいところです。加えて、デジタルツールを併用することが想定されているものがいいですね。

と、妄想を書いてみたところで、存在しないのだから仕方ありません。

今回は、普通の手帳を使いながらも、発想力を向上させる手帳術を紹介してみましょう。

4つの要素

「発想力を向上させる手帳術」と書きましたが、それほど大げさなものではありません。以下のどれか一つを、最低一日一個、手帳に記録していくだけです。

  1. 自身の「思いつき・ネタ」
  2. 心に浮かんだ「疑問」
  3. 誰かが抱えている「問題」
  4. 気になる「言葉・引用」

優先順位は番号が若い方から。

つまり、自身の「思いつき・ネタ」が最上で、そこからどんどんと下がっていきます。一日過ごしてみたけど、何も思いつかなかった・発見出来なかった、というときは本や雑誌や新聞やブログから言葉を書き留めればOKです。

それぞれについて少しみていきましょう。

自身の「思いつき・ネタ」

いわゆるアイデアメモ。

面白い話のネタや、ちょっとした問題解決、新しい論文や小説のテーマや、ビジネス上の発見、といったものがここに入ります。

ちなみに、つい最近の私の「思いつき・ネタ」を紹介すると、

「考えるための<場所>を持つ」
「バスの運転手とタクシーの運転手の注目点の違い」
「<暇>な時間は存在しない」

なんてものがあります。

他の人がこのメモを見ても、さっぱりだと思いますが、私は「あぁ、あれのことね」と思い出せます。

できるだけ、一日一つは、何かを「考え」たり「発見」したりして、手帳のその日のページに記入していきましょう。

心に浮かんだ「疑問」

こちらは、純粋なアイデアとは呼べませんが。その萌芽になる存在です。対象は何であれ、なにか疑問を持ったら、それを欠かさずメモします。

どうして牛丼屋は食券機システムが多いのか?
日本で一番長い国道は?
HeadlineとHeadingの違いは?

身近な話題から、科学上の問題まで、何でも構いません。Googleで検索すれば瞬時に答えを導き出せるかもしれませんが、「自分が疑問に思った」という点が、この場合重要なのです。

手帳の日付があるページに書き留めてもよいですし、メモ部分を「疑問帳」として、そこにリストアップしていっても良いでしょう。

誰かが抱えている「問題」

前払い式のカフェの前を通りかかったとき、お客さんの列が出来ていたとしましょう。5分程度では解消できないほどの列で、末尾のお客さんの顔には少しイライラが浮かんでいます。

そういう状況を観察したら、「問題」として手帳に記録しておくのです。

「行列が出来ていて、回転数が落ち込んでいる」あるいは「行列がお客さんの不満を生んでいる」

といった記録になるでしょう。もしかしたら、別の捉え方もあるかもしれません。
※「長い行列を見て、そもそもお店に入らないお客さんがいる」、という視点もあり得ます。

多くの場合、アイデアは「問題解決」のために必要とされます。日常的に「問題」を見つけ、その解を自分なりに考えてみることで、アイデア力を向上させることができます。ようはアイデアのトレーニングです。

さらに言えば、「問題」をいかに解決するのかだけでなく、一つの状況からどのような「問題」を見て取るのかも問題解決においては重要です。その意味で、同じ状況に遭遇しても、何か違った視点から問題を捉えてみる、というのも一種の訓練と言えるでしょう。

気になる「言葉・引用」

これはよくメモされるものです。

自分の感覚に引っかかる言葉を手帳にメモしておく。これはアイデア力の向上という点で見れば、さほど大きな効果は発揮しないかもしれませんが、何もしないよりはマシでしょう。

毎日にアイデアが思いつくとも限りませんが、気になった言葉を書き写すだけならば、難しいことではありません。空白の一日ができてしまいそうならば、近くの本を手に取ってみて、アイデアの触媒となるような素敵な言葉を手帳に移植しておきましょう。

さいごに

一日一日にやることは、たいしたものではありません。しかし、それを一年間続けていけば、「問題」を定義するのがうまくなったり、いくつもの「解決」を提案できるようになったりと、何かしら脳内に変化は起きることでしょう。

こうした行為は、手帳ではなくノートでも実施できます。

ただし手帳を使えば、一度軌道に乗ったとき、こうした習慣を止めにくくする効果があります。なにせ、先週の自分はきちんとやっているのです。それをみると、なんとなく「続けなきゃ」という気分が湧いてきます。こういうのはサンクコストの有効利用と言えるかもしれません。

ちなみに、単にメモしているだけでもそれなりに効果的だとは思いますが、できれば時折見返して、問題を考え直したり、思いつきを発展させたり、引用部分をもう一度読んでみたりすると、一層効果的でしょう。

普段使いの手帳は、折に触れてこうして書き留めたものが目に入る、というのが一番のメリットかもしれません。

▼今週の一冊:

一冊というか、二冊です。

このシーズンになるとさまざまな雑誌で「手帳術」の特集が組まれますが、なんだかんだで毎年チェックしてしまいます。

片方はムック本で、手帳とその使い方について、かなり広範囲にわたる情報が詰め込まれています。手帳を使い始めて2〜3年目の人は、面白い情報がたくさん見つかるでしょう。

もう一冊は、「手帳術」と言えばこの雑誌といっても過言ではない日経ビジネスアソシエ。手帳術10周年ということで、111ページにも及ぶ大特集が組まれています。さまざまな人の使い方、プロフェッショナルの手帳術、そして新作手帳の完全ガイド。

手帳マニアでなければ、どちらも買う必要はないかもしれませんが、どちらか一冊を押さえておけば、さまざまな手帳についての情報をフォローできるでしょう。


▼倉下忠憲:
新しい時代に向けて「知的生産」を見つめ直す。R-style主宰。