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思いつきで言葉を発しないための、どこでも辞書引き仕事術

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photo credit: jovike via photo pin cc

池田千恵最近コラムや連載、本の執筆など文字を書く仕事が多いので、いつも持ち歩いているiPhoneに辞書アプリを入れています。

良く使うのは「大辞林」と「ロングマン」。以前辞書を持ち歩こうとすると大変でしたが、今はスマートフォンで手軽に調べられるようになって、本当に良い時代ですね。

大辞林

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辞書は普段、意味が分からない言葉を調べたり、使い方が間違っていないかを確認したりという感じで使いますよね。でも、たまには、当たり前だと思っている言葉を引いてみると、新たな発見があるのでおすすめです。

例えば、「報告」と「相談」の違い、意識して使っていますか?

試しに大辞林で引いてみると、こう出てきました。


「報告」

つげ知らせること。特に、研究や調査の結果、与えられた任務の結果などについて述べること。また、その内容。


「相談」

物事を決めるために他の人の意見を聞いたり、話し合ったりすること。また、その話し合い。


ざっくりいうと、報告はもう決まっていることを伝え、相談はまだ決まっていないことを伝えることです。

「こんなこと、当然知ってるよ!」という方が大半だと思います。

でも、例えば仕事でトラブルがあって、本当は上司に相談したいのに「報告があります」と切り出したりしたことはありませんか?

実は私は新入社員時代、この2つの意味をきちんと分けないまま使い、しょっちゅう怒られていました。

「相談があります」と最初に伝えておけば、上司も問題解決モードで話を聞いてくれるはずです。でも私が「報告があります」とだけ伝え、報告の後になし崩し的に相談をしたばかりに、上司が最初からもう一度、聞き流していたことまで話を聞き直さなければならずにイライラさせてしまったことが何度もあります。

また、「報告があります」といいつつ、上司に「相談だということを察してほしい」というアピールを回りくどくしてしまった経験もあります。

こういう失敗を何度もやらかしていたので、上司から毎回、話を途中で遮られ、「で、何問題?」といつも突っ込まれるようになりました。

当時はこの「で、何問題?」にひとつひとつ答えることができず、とても辛かったですが、今思えば、この経験が私を育ててくれました。

  • 今、自分は何のために話しかけようとしているのか
  • このタイミングで、どういう言葉を発すると誤解を与えずに相手にきちんと理解してもらえるか

をひとつひとつ考える習慣をつけることができました。

この経験から、自分が考えている言葉と、相手が受け取った言葉がきちんと重なっているだろうかを気にするようになり、辞書を頻繁に引くという習慣が身に付きました。

(といっても、毎回いちいち調べていたら疲れてしまいますからほどほどに。私の場合、たまにこれをやりすぎて「気にし過ぎ」と言われることもあります(笑))

物事の意味を深く考えないまま、なんとなく言葉を発してしまっていると、相手とのコミュニケーションが少しずつずれていきます。会社、家庭、どこにでも起きうる「こんなはずじゃなかったのに!」という問題は、自分の頭の中と、相手の頭の中をなるべく同じ状態にすりあわせることができたら防ぐことができると思うのです。

たまにふと思いついたときに調べる習慣をつけるだけでも、コミュニケーションのズレは少しずつ解消していくのではないでしょうか。

簡単な言葉こそ、正しい意味を調べてみると新たな発見があることに気付きますよ!

余談ですが、私がお世話になっているお坊さんは、いろんな辞書で「幸せ」の意味を引いたことがあるそうです。

その結果いちばんしっくりきたのが、「周りのすべての状況に感謝できる心の状態」という意味だったとのこと。どの辞書だか忘れたそうですが、このエピソードに心が暖まりました。幸せは一瞬の打ち上げ花火みたいなものでなくて、長く静かに続く、穏やかな気持ちなのかもしれませんね。


▼編集後記:
池田千恵



6月発売の『「朝4時起き」で、すべてがうまく回りだす!』の実践編ムック(仮称)は、いよいよ大詰めです。

6月末には、おいしい料理もついたイベントを企画していますので、どうぞお楽しみに!


▼池田千恵:
前向き早起きエバンジェリスト。朝を有効活用してビジネスの基礎体力をつける「Before 9(ビフォア・ナイン) プロジェクト」主宰。