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TC013:TaskChute2で今度こそ「先送り問題」が決着するかもしれない

By: epSos .de – CC BY 2.0


佐々木正悟 あらかじめ断っておきますが「先送り問題が決着する」ということは「先送りしなくなる」という意味ではなく「避けられる先送り」と「避けがたい先送り」の見定めがつくという意味です。

見定めがついた上で「避けがたい先送り」については、もっと実行可能性の高い日時に置き直すという意味になります。

これができればストレスは確実に減り、心のエネルギーの無駄な消耗が減っていくことはたしかです。

シミュレートできればリスクがとれる

ほとんどの「先送り」とは「リスク回避」に他なりません。リスクの中身はもちろん人によって様々なのですが、何かしらのリスクを避けようとするから、過去に取りかかると決意をしたタスクに取りかかることができなくなるのです。

リスクというのはコストを発生させながら思うようなリターンが得られない不安のことです。タスクの場合にもっとも多いのは、時間をかけたのに仕事がはかどらなかったという想像です。

客観的にこれは不合理なところがあります。時間をかけてもはかどらないタスクを未来に送ってしまうと、〆切が迫る分ますます危険性が高くなるからです。しかしタスクに取りかかる人の主観にしてみれば「今やる気のないままこのタスクにダラダラ取りかかって2時間を無駄にするよりは、本気になれるときに取りかかって20分でビシッとやってしまった方がいい!」と往々にして考えます。

つまり先送っている人は合理的な計算をしたうえで、タスクを未来に送るのです。その方がリスクを回避でき、コストが安上がりだという計算です。

TCは時間のシミュレートを淡々と行う

TaskChuteは第一に、そのような計算が成り立たないことを簡単に示してくれます。TaskChuteにはシミュレーションの機能があります。たとえば今この原稿を18:00にスタートして書いていますが、これを中断して20分の休憩を取ると、次のような事態が確実に発生することを計算してくれます。

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これは非常に簡単な計算ですが、なぜ「20分の休憩」なのかには説明が必要です。この時間帯にコーヒーブレークをとった場合、過去200日まで遡ってもただの一度も休憩が20分未満だったためしがないからです。つまり今この原稿を書く手を休めてコーヒーブレークを入れる事は、自動的にこの原稿が上がるのが18:49以後になることを示しているのです。

これはわずかタスク1つの計算ですが、この簡単な計算すら私の頭ではやれません。ちょっとコーヒーを淹れて18:30までに原稿を書こうと平気で考えるのです。そこには計算間違いと記憶違いが混ざっています。(5分くらいで戻ってこれるというのは記憶違い)。

「先送り」とは、わずか1つのタスクについて休憩を差し挟むようなものではありません。半日先、2日先など、とうてい計算しきれない「向こう側」に追いやればリスクが回避できるという計算違いなのです。したがって事態は想定以上に悪化することがほとんどなのです。

Modeでリスクとリターンを計算する

ここまでは、TaskChute1でもやれたことでした。ここからは「2」でしかやれない話に移ります。

タスクには、あるいは行動には、投資におけるリスクとリターンの関係に似たところがあります。

たとえば簡単な事務作業はロー・リスクでロー・リターンです。一方で書籍原稿などの執筆はハイ・リスクでハイ・リターンです。もちろんこれは私の感じ方です。

だいたいハイ・リスクのタスクは時間がかかります。長い時間をかけることがそもそもコストです。

コストはいいのですが、問題は「勝算」です。長い時間をかければいい原稿が仕上がるとは限りません。

しかし長い時間をかければ仕上がることもありますし、その喜びは大きい。少なくともキチンと部屋が片づいた喜びなどよりは大きい。

つまりうまくいけば大きなリターンが見込めるということです。

でもしくじると50分かけて全部書き直しという事態になり得ます。ハイ・リスク、ハイ・リターンなのです。このようなタスクこそどうしても尻込みしがちであり、どうしても先送りの対象になりやすいのです。なぜなら取りかかりに慎重さが要求されるからです。

私はこのハイ・リスク、ハイ・リターンの作業モードを「ギャンブル」として色を「赤」にするようにしました。

そして面白いことに、この種のモードは固めておくと進むのです。おそらく頭もちょっと「ハイ」になっているのです。脳科学的ではありませんが「ギャンブル脳」になっていると進むのです。

しかし最初の一つ目でつまずいたときには、2つ目以後に「固まっている赤」は分散させます。

「ギャンブル脳」というのは「ギャンブルに勝って興奮している脳」であり、「負けてしゅんとなっている脳」に「二つ目の赤」はきつすぎます。こういう操作はTaskChute2でなければとうていできないことで、頭だけでは考えつくこともできません。

もう一つ何かと先送りになりやすいモードがあります。

「ハイ・リスク、ロー・リターン」な作業です。これはできればゼロにしたいのですがそうもいきません。ただこの種の作業は「ロー・リスク、ハイ・リターン」な時間(たとえば休憩)とサンドイッチにすると手がける気になれます。

以上のことはTaskChute2の「色別ログ」を盛んに分析してみて気づいたことでした。

私はつい「原稿」→「休憩」となにも考えずに組んでいたのですが、「勝っているとき」これにはあまり意味がないことが私の場合でははっきりしてきました。これは「最初の原稿で負けたとき」にとるべき戦略です。

より確実によいのは「アナログ書類整理」→「休憩」なのです。

たかがアナログ書類の整理をやったくらいで休憩などいらないと、つい考えてしまっていたのですが、これが「考え」の浅いところです。書類整理をやった後なら休憩は不要かもしれませんが、これからやる際に見渡す風景として、「向こう側に休憩がある」ことが私の場合には必要なのでした。

モードについてはまだまだ面白い分析ができそうです。

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▼編集後記:
佐々木正悟



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いちおう30冊ほど本を書かせていただいていますが、この本ほど褒められてもけなされても複雑な気持ちになる本も珍しい。褒めて下さる方は決まって「変態」といい、けなす人は「やり過ぎ」という。好意的か批判的かの違いはありますが、ある意味同じことですね。

でも私は「完璧にやりたい」からこうしているわけではなく、「記憶」と「想像」はいずれも信用できず、これをコンピュータにやらせた方が「マシ」だと思っているに過ぎません。

TodoでもGTDでもどこかから先は「けっこうやりこむ」ことが必要になってきます。「爪を切る」はどうでもいいといえばどうでもいいのです。問題はログをとることが面倒かどうかというよりも、想像と直感でうまくいかないところをどう扱いたいかにあると思っています。

もう一つは「一直線に並べ立てたい」ということです。結局ここでとりあげたToodledo(読み方はトゥードゥルドゥだと思います)の私のタスクリストは「今から1週間後まで」やりたい順番に並べたものに過ぎません。その意味で単純なシステムなのです。