タスクにスターをつけるというこの機能も、私の知る限りではTaskChute2に入ってから実装された新機能です。少なくとも私の知る「1」にはありませんでした。
ToodledoやOmnifocusやNozbeにもフラグやスターがあります。GTDであれば「ネクストアクション」を選別するためにスターを使うという目的がありますが、作業順序の決まっているTaskChuteにおいて「ネクストアクション」とはあまりにも自明な次のタスク。ではTaskChuteにおけるスターの意味とはなんなのでしょう?
「大事なタスクにつける」とか「予定につける」とか何でもいいわけですが、私にとってタスクリストにおける「スター」の位置づけというのは、タスクリストを瞬時にチェックリスト化するためのものです。
タスクリストとチェックリスト
タスクリストという言葉もわりと多義的に使用され、チェックリストも同じく多義的な言葉です。辞書的な定義はともかく、例えば「栄養のバランスが取れているかどうかをチェックリストでチェックする」という言い方もできますし、「彼のサーブのフォームをチェックリストでチェックする」という言い方もできますし「持ち物チェックリスト」もあります。
全体的に共通しているのは「最低限、チェックリストにあるポイントを満たせばOKである」というリストになっていることです。現実のものは常にチェックリストより豊富な内容を含んでいるはずです。でも、もしかしたら欠けているものもあるかもしれません。その欠落を防ぐのがチェックリストの目的です。
「栄養バランスの整っている錠剤を飲めば、食事は終わり」ということで満足する人はめったにいません。チェックリストというのは「最低ライン」を保証するもので、現実にはそのほかの「遊び」の部分が必ずあるし、そうでなかったら異常です。
TaskChuteには原則として「今日やるアクション」が並んでいます。その中には「最低限、これだけのことをやれば今日はよしとするが、それだけはやらないと危険である」という項目が含まれます。それが「今日という日のチェックポイント」であり私はそれにスターをつけます。
プロジェクトのチェックリストは最初に用意する
以上のように考えていきますと、気力や時間に余裕のないとき、タスクリストはチェックリストとほとんど等しいものになるべきです。やる気や時間があまりないのに「遊び」の多いリストにつきあってはいられません。
私自身の経験でも、プロジェクトや1日の最初ほど「遊び」の多いリストを作りがちです。時間がたくさんあるからです。しかしプロジェクトの終盤や夜になってみると「どうしてもやらなくてはいけないもの以外は全部消す」ということになりやすいのです。
これは当然起こる事態であり、100%避けることなどできないと思います。が、まだ時間のある段階においても「チェックリスト」を用意しておくメリットは小さくありません。つまり私はTaskChuteに朝の始めにスターをつけてしまって、スターだけにかかるであろう時間を算出します。すると
スターのついたタスクにかかる時間の総和 < 実績値 < 全部のタスクにかかる時間の総和 (バッファを含む)
という関係が表れます。実際Taskchute2を使い始めてから、実績値がこの範囲の外に飛び出したことはありません。もちろんミニマムからマキシマムの間はまだ十分に小さくなってはいません。(極端な話、ミニマム10分でマキシマム23時間とすればその間に来るに決まっています)。
でも真面目にこれをやれば効用は十分ありますし、プロジェクトにも応用できるはずと思っています。
アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】 | |
アトゥール ガワンデ 吉田 竜
晋遊舎 2011-06-18 |
この本でもエントリしたようなことが、もっと重大な事例を豊富に添えて書き出されています。この本の事例を読むとやはり「ヒトの脳は最低限必要なことだけを抽出するようにはできていない」と改めて知らされます。
人に限らず動物はみんなそうです。連想して記憶を取り出すからです。チェックリストには相互に連想が難しいポイントがしばしば含まれていて、それは長いスパンでみなければ併記されないものなのです。