1.「探す」ための探書リストを用意する
2.指名買いで「買う」
3.2枚の付箋でマーキング「読み」
4.読書ノートに「記録する」
5.デジタル索引で記録を「活用する」
『読書は1冊のノートにまとめなさい』より
読書は1冊のノートにまとめなさい 100円ノートで確実に頭に落とすインストール・リーディング | |
奥野宣之
ナナ・コーポレート・コミュニケーション 2008-12-05 おすすめ平均 |
1.「探す」ための探書リストを用意する
著者は、「探書リスト」という独自のリストを作り、そのリストを利用して本を購入するようにしているそうです。そうすることで、書店での衝動買いを防ぐことができ、本の購入が主体的にできると言います。
つまり、探書リストというのは、本を買うためのリストというわけです。
書籍に特化した買い物メモと言えばいいでしょう。
書店に行くと、どの本であっても「必要な本」のように見えてしまい、その衝動で買うと、読みもしない本が書棚に並ぶことになる、と筆者は指摘します。そんな状態を筆者は嫌っているのでしょう。
もう一つ、探書リストを作って、本を書く目的も記しておくことを筆者はすすめています。目的をあらかじめはっきりさせておけば、流して読めばいいか、じっくり読んだ方がいいかなどについて、事前に判断ができるから、というわけです。
2.指名買いで「買う」
このような探書リストがあれば、あとは書店に行って、本を買うだけです。
しかしここで、ちょっと疑問がわきます。
たとえば今ならば、アマゾンなどのオンライン書店があるのだから、こんな方法をとらずとも、探書リストに相当するものをオンラインに用意し、あるいはアマゾンで「欲しい本」のリストを作り、それを元に本を買えば良さそうです。
実際、私ならそうしそうですし、本書をそういう考え方で使ってもいい。
が、筆者の前作は『情報は1冊のノートにまとめなさい』です。
つまり筆者は、若いにも似ず、アナログ派なのです。デジタルツールも使いこなせますが、「1冊のノート」に対する思い入れはかなりのもの。探書ツールももちろん、「1冊のノート」に集中しています。
そして次が大切なところですが、探書リストは、読書ノートとつながってくるのです。もちろんそれは「1冊のノート」に記録するわけです。だからこそ全部をデジタルに集中させるわけにはいかないのです。(あるいは、そうしたくないのでしょう)。
私自身も実際、いわゆるリアル書店でけっこう本を買っているので、こういうやり方であれば、これはこれで便利だろうな、と納得するところがあります。そうでなくても、読書ノートを取るというのはかなり面倒な作業なので、PCの起動時間がかかるというだけで、挫折してしまいかねないわけです。
3.2枚の付箋でマーキング「読み」
さて、本を買ったらいよいよ「読む」段階ですが、筆者の「1冊ノート」主義から当然「読書ノート」を記録することになります。
が先に述べたとおり、「読書ノート」は面倒くさい。筆者はどうしているか?
読書ノートを読後につけることになるのですが、読書中にその下ごしらえをしておくのです。それは類書によく紹介されていることですが、筆者の方法は
かなり現実的、つまり簡単です。
著者は、「読書」作業と「マーク」作業を分けます。同時にやろうとすると、いやになりかねないからということです。したがって「読書」中は「マークすべき箇所」だけに印をつけておきます。これにしたがって後ほど「マークする作業」に入るわけです。
この作業をするに当たり、2枚の付箋だけを使います。
1枚の付箋は単なるしおり。つまりどこまで読んだか。
もう1枚は、マーキングのためのしおりにします。つまり、どこまでマークが済んだのか?
2枚目が1枚目を追い越すことはあり得ません。読み終わっていない箇所が大事かどうかなど、不明だからです。
どこをマークするかは、どうやって覚えておくのか?
筆者は、マークしたいページを折り返しておくことを奨めています。
この方法のいいところは、読みながらペンを扱わずに済むところです。
4.読書ノートに「記録する」
読書ノートの「継続が難しい」ことを、筆者は強調しています。
それだけに、読書ノートをつける際には、「抜き書き」だけにとどめるように述べています。マークした箇所を、ただ書き抜いていくだけにとどめるわけです。
要約の方がいいという意見も当然あるわけですが、要約は時間がかかります。
それより、マークしたところをただ抜き書きした方が簡単だといいます。
また、アナログ派の筆者らしく、「抜き書き」は手書きせよといいます。
「手を動かした方が、記憶に残る」からです。
さらに筆者は、「一言でいいから感想も書く」事を勧めています。
デジタルだろうとアナログだろうと、私にはここはなかなか、同意できても実践できそうにないのですが、筆者の姿勢には頭が下がります。
5.デジタル索引で記録を「活用する」
探して、買って、読んで、記録する。というステップを踏んできたところで、最後の仕上げが「活用する」。
100円のノートにどんどん読書ノートを記録した場合、問題は「どうやって必要に応じて読み返すのか?」ということです。
この問題を筆者は、デジタル索引システムを構築することで、解決しています。
このシステムもなかなかのもので、本書を読んでいてややうらやましくなりますが前作、『情報は1冊ノートにまとめなさい』に詳しく書かれているので、ここでは省略します。
▼関連リンク
情報を一元化する時に注意する7つのチェック項目
まとめ
本書の方法を実践するには、「1冊のノート」の実践が、必要に思えます。
ですが、筆者の読書術は非常に現実的で、部分的に抜き出して読書ハックと考えることも可能です。
そのように考えると、巻末のツール集や、抜き書きを効率的に行うための方法など、本を買って良かったと思わせられるポイントが、豊富にあります。
この通りに一度やってみてもいいと思いますし、自分なりの読書術に応用するのもよいでしょう。
本を買う
本を整理する
読書ノートをつける
私も仕事柄、いつも考えることですが、いろいろと難しい問題があって、いつも試行錯誤の途上にあります。
筆者ほどアナログ主義に同調できない私ですが、本書で紹介されていた方法のいくつかは、試してみたいと思うものでした。お金があったら買おうと思うツールもいくつかありました。
なお、本書は「1つのテーゼ」にしたがって書かれた「読書本」ということができますが、「読書を効率化する、もしくは実り豊かなものにする」ための「読書ハック集」がもっと欲しいという方でしたら、原尻淳一さんの『READING HACKS』もおすすめです。
いずれの本も、どこもかしこも役に立つ、というわけにはなかなかいかないとは思いますが、まだ知らなかったり、なるほどと思わせられるツールや知識がたくさん紹介されていますので、中で3つ、4つを活用できれば、けっこう面白い変化を実感できるものです。
READING HACKS!読書ハック!―超アウトプット生産のための「読む」技術と習慣 | |
原尻 淳一
東洋経済新報社 2008-10 おすすめ平均 |