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10月に読んだ本

今月読んだ本の中から、読んでよかった本を10冊とりあげさせていただきます。今は本がたくさん発行されていますので、参考程度にお読みいただければ幸いです。

まずは、第10位。

iPhone HACKS! 楽しんで成果を上げるハイセンス仕事術 iPhone HACKS! 楽しんで成果を上げるハイセンス仕事術
小山龍介


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iPhoneを買いました。
そうすると、こういう本を読みたくなる性分です。
ピンク色で、ちょっとおしゃれな表紙。ただ、一瞥してすぐiPhoneの本だと気づかなかったので、あやうく通り過ぎてしまうところでした。

中身はライフハックで有名な小山龍介さんのiPhoneハックだけはあって、便利そうな豆知識が整然と並んでいます。さっそくいくつか、試用させてもらいました。

つづいて第9位。

読書進化論~人はウェブで変わるのか。本はウェブに負けたのか~ (小学館101新書) (小学館101新書 1)
4098250012 勝間 和代

小学館 2008-10-01
売り上げランキング : 103

おすすめ平均star
star内容は良かったが読書論ではない
star本を売る努力をしている人ですね
star残念です

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本を書く私にはおそろしく参考になります。こういう本は、そう多くない。

すでに指摘されていることではありますが、所々に、いきなり著者の勝間さんとは違う人(書店員さんがほとんど)の記述が入ってくるので、そこははっきり言って読みにくいです。とても参考になりますが、読書中は、著者の思考についていく流れがありますから、それがしょっちゅう分断されるのは、気持ちのいいものではありません。

もうひとつ、これまたすでに言われていることですが、本書は「読書法」とは趣が違います。勝間さんが、書籍という製品についての見解を述べたもの、というところです。大きく言えば「今の私たちにとって、書籍とは何なのか?」という問いかけへの主張です。

それは何なのかをお知りになりたい方は、本書をお読みになってください。

そして第8位。

脳を活かす仕事術 脳を活かす仕事術
茂木 健一郎


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ある意味では、あまり期待せずに読んでいるという面も否めません。脳科学研究についての最新情報や、最近の脳に関する理解の仕方から、仕事術についてパラダイムシフトを与えてくれる、という内容でないことは、うすうす察しがつきます。

しかし本書は面白かったです。一番よかったのは、私たちの「弱いところ」について、見解を語ってくれたところです。しかも、照準をそれに絞っています。

弱いところとは、取りかかりに感じてしまうおっくうさ。やった方がいいことが、かなり明らかな活動についてでも尻込みしてしまう、内的な「抵抗勢力」です。どうしてそうなってしまうのかを、脳から説明してくれています。

何から説明されても、問題解決へと至らなければ意味がない。確かにそうですが、なかなか一筋縄では行かない問題は、視点をあれこれ変えて見てみるのが一番でしょう。

第7位

READING HACKS!―読書ハック! 超アウトプット生産のための「読む」技術と習慣
原尻 淳一


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読書法というよりは、読書周辺ツールなどを、徹底的に紹介した本。

感心させられるのは、「本を買ったままにしない」努力が徹底されているところ。買ったときのちょっとした高揚感を、すぐ読書に結びつける工夫は、見習うべき点だと感じ入りました。

本とは期待させてくれるものですし、だからこそ書店に行くのは楽しいものなのですが、その熱っぽさは、購入日から遠ざかるほどに薄れていきます。そうならないためのツールや工夫がたくさん紹介されていて、書店へ出かける楽しさを読書中に感じさせてくれる一冊です。

第6位。

ムダな仕事はもう、やめよう! ムダな仕事はもう、やめよう!
吉越 浩一郎


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似たような主張が他の本でもされているのは事実だが、本書は主張がスッキリ表現されていて、読みやすい。

著者は「残業ナシ」という方針で、実業を成功させているので、一般的な「提案者」よりも歯切れがいいのです。ムダは悪いこと。残業は悪いこと。これに近いことを述べている人でも、ちょっとトーンを落としてしまうのが普通なのです。「私もすべての残業が悪いと言っているわけではないが…」といったようにです。

極論ですが、わざわざ著者に譲歩してもらわなくても、本に書いてあるとおり現実がいかないというのは、当たり前です。だからまず、1つの主張で押してもらう。その方針に自信を持っている人が語っていることなら、とりあえず試してみようという気にもなります。うまくいかなかったところで、自分なりの工夫を凝らしてみればいいだけです。

中間地点の第5位。

「読み」の整理学 (ちくま文庫 と 1-3) 「読み」の整理学 (ちくま文庫 と 1-3)
外山 滋比古


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「読む」ことは容易ではない。
というテーマにほぼ焦点を絞って書かれている、独特のエッセイ集。

本書のキーワードは「アルファ読み」と「ベーター読み」ですが、すなわち「既知のものを読む」ことと、「未知のものを読む」ことの意義とバランスについて書かれているわけです。

パッと考えると、「既に知っていることについて読んだところで何になる」といいそうになりますが、「読む」とはそれほど簡単な活動ではないでしょう。英文などを読むと骨身にしみますが、「既に知っているから、読んで分かる」というのが現実です。全く知らないことについては、日本語で読んでもさっぱりです。

巧みな例として、著者の外山さんは、

「西武が山崎の適時打で投手戦にケリをつけた」

というスポーツ記事の一文をあげます。プロ野球に詳しい人であれば、この文章だけで、どんな試合だったのか、どんなシーンだったのかまで、おおむね理解できるはずですが、野球のルールすら覚束ない人には、こんな文章は何度読んだところで、意味はよく分かりません。

外山さんはこんなふうに、一読してさっと分かるような文章は、既に分かっていることを読んでいるからだ。それもいいけれども、一読しては分からないような「未知の」内容を意欲的に読むべきだというテーマを、極めてわかりやすく語ってくれるわけです。

第4位。

超「超」整理法 知的能力を飛躍的に拡大させるセオリー 超「超」整理法 知的能力を飛躍的に拡大させるセオリー
野口 悠紀雄


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そこまでの目新しさははないが、基本を押さえたまっとうな本。自分の父ではなく、祖父に近い年齢なのが、すごい。

いくらなんでもGoogleを褒めすぎているように思えますし、「Googleフォビア(恐怖症)」についても強調しすぎているような印象がありましたが、世代のことを考慮すれば、それも納得できるところです。

本書をよく読むと、「超」整理法方式というのは、いろいろと考えられた整理法と、改めて感じさせられます。同時に、「超」整理法らしい整理法方式は、あちこちで見かけるものの、いささか「似て異なる」ものになってしまっていて、それはあまりいいことではないとも、考えてしまうのですが。

ここからベスト3。第3位。

プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか? プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?
小松 淳子


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読書と脳について、類書はここまで科学的ではない。

タイトルからはちょっと想像がつきませんが、本書は読書の脳に与える影響や、脳に先天的な異常がある人にとって、読書とはどのようなものであるかを、科学的に推論しています。

実に難しいテーマです。本の内容は難しくありませんが、扱っているテーマは難しい。脳と言語の関係についても、分かっていないことが大海のようにあります。適当に本屋さんで手に取っただけでは、いつまでもウェルニッケ野とブローカー野の話につきあわされ通しです。

本書はそこから大いに前進しようという、意欲的な本です。特に、「読字障害者と読書」の関係を、教育者の視点から分析した章は、大いに読ませます。もしも、文字を読むのに大変な困難を覚えるとしたら、文章とはどのように見えるか。脳は文章をどうやって解析するのか。

そんなことに興味がある方は、ぜひ一度手に取ってみてください。

第2位!

脳は空より広いか―「私」という現象を考える 脳は空より広いか―「私」という現象を考える
ジェラルド M. エーデルマン


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決定的理論ではないが、思わずそう感じさせられる、必読書。

本書は「意識とは脳の中で、どのように作られる(語弊がありますが)か?」について、著者の主張を明快にまとめた好著です。

こうしたものは、そもそも明快にまとまるということが少なく、「意識はニューロンと神経伝達物質の産物でしかないのだよ(驚いた?)」という主張に終始しているものや、「クオリア」に関するデータを溢れんばかりに集めてしまった大著となりやすいものです。

本書はそのいずれでもありません。意識が物質の「産物」に過ぎないというところで止まっているものではないし、にもかかわらず大著ではありません。筆者はニューロン群が自己組織化する方向に「振る舞う」と、意識の「創発」となるといいます。

難しい話ですが、魚一匹では「魚の群れ」を「作り出す」ことができずとも、「魚群」は「魚の群れ」を現すように、ニューロン群は、「意識」を現すことができるというテーマです。つまり、複雑系の考え方から、「意識」というものを考えるわけです。

それだけならば、同じような本はいくつかありますが、本書はその「自己組織化」に関する説明が非常にしっかりしています。一般書としては、限界に近い内容を含んでいます。「脳と意識」というテーマに興味があるすべての人にとって、最初に読むべき一冊です。

やってきました第1位!

複雑系―科学革命の震源地・サンタフェ研究所の天才たち (新潮文庫)
4102177213 M.ミッチェル ワールドロップ

新潮社 2000-05
売り上げランキング : 6371

おすすめ平均star
starはじまりは期待されていなかった
starHistory of Sciences of Complexity
star当時は感心したが…

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今読むとむしろ、感慨深い。

複雑系というテーマはもはや「最新」とは言い難いテーマです。しかも、以前ほどホットなテーマでもありません。

しかし、第2位で取り上げた脳と複雑系というテーマにせよ、あるいは気候と複雑系というテーマにせよ、はたまた経済(世界的な危機だと連日騒がれていますが)と複雑系というテーマにせよ、知っておいて損のない知識です。

「複雑系」という、一見して取っつきにくそうな印象と異なり、このテーマは面白いテーマです。少なくとも「クォークと重力」よりは取っつきやすいと、個人的には思います。

本書はとくに、人間ドラマ仕立てになっていて、ひきこまれるようにして読めます。少しでも、「アカデミーの世界」で理不尽な苦労をして人ならば、感情移入して読めるでしょう。700ページ近い大著ですが、読み終えるのが惜しくなるほどです。