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自分の「客観的な価値」を知る方法

私はパレートの20-80の法則という法則を、野口悠紀雄さんの『「超」整理法』を読んで知りました。たぶん中学生の時です。当時私は、あふれかえるろくでもない中間試験のテストだの、学校から配布されるプリントの山などを抱えていたので、どうにかして「有効な整理術」というものが知りたかったのでした。

野口悠紀雄さんは本の中で、必要な書類の80%は、全体の20%の中にあるという事例を説明するために、このパレートの法則を紹介していました。

最近、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』の続編である『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?―できるビジネスパーソンになるための管理会計入門!』を読んだところ、その20-80の法則が出てきました。そこでは、会社の売り上げの80%は、20%の部門がたたき出ししている、という事例の説明として紹介されていました。

これは面白いと思って、早速自分自身の時間活用状況に対して、これがあてはまるかどうかを調べてみました。するとまるで当然のように、この20-80の法則があてはまっていて、驚くほどのことではないかもしれませんが、やはりびっくりしてしまいました。具体的に言うと、私は実稼働時間の20%で、個人収入の80%をまかなっていました。

価値ある時間のための無駄な時間

とは言うものの、残りの一見ほとんど「ムダ」とも思える時間、すなわち収入の20%にしか貢献していないにもかかわらず、実稼働時間の80%を占めている時間を、よりスリム化すれば理想の成果が得られるかというと、立ち止まって考えた方が良さそうです。

と言うのも、直接的ではないものの、それらの時間も何らかの形で、「収入の80%」に貢献しているからです。極端な例は、休憩時間です。確かに休憩時間そのものは、いかなる収入も生み出せてはいませんが、だからといって休憩時間をゼロにしたのでは、「収入の8割を生み出している貴重な時間」の質にまで、悪影響を及ぼしてしまうでしょう。

このエピソードは、働きアリの8割は実のところ生産性を上げていない「サボりアリ」で、実際の生産を挙げているアリは、働きアリ全体の2割程度にすぎないという話と、どことなく似ています。生物学者によると、「働いていないアリ」も実際には生産活動に、何らかの意味で役に立っていると指摘します。

その証拠に、「よく働く2割のアリ」だけを取り出してコロニーを作らせると、そのうちの約8割が「サボりアリ」になってしまうという報告もあります。これは不可解な現象だと思いますが、「サボりアリ」が必要な存在であることを示していると考えられます。

2割の中の2割

このことを、自分の実稼働時間と収入の関係にも当てはめて考えてみます。

すると、収入を上げているコアな20%の時間を、さらに分解できることに気づきました。そのようにして、20%の中でも特に収入につながっているコアな時間を探ってみると、そこで実行していた作業はもちろん、そのテーマにまで共通性が見いだせることが分かってきました。

それらのテーマとは私の場合、「やる気の高め方」と「作業速度の脳科学」といった内容です。つまり、これまでのところ私の収入の、最も中枢となる部分では、必ずこれらのテーマが中心になっていたというわけです。

言うまでもなくこれは、収入源とさせていただいていたという事実からして、私の趣味で選んだテーマではなく、結果としてニーズとなっていた内容と言わなければなりません。つまり、私の主観的な価値ある部分ではなく、客観的に認めていただいた価値、と言うことができるでしょう。

このような自分の客観的価値はもちろん誰にでもあるものであり、自分の主観的価値とは少しずれているのがふつうです。そのズレの幅が大きくなればなるほど、ストレスがたまっていきますし、逆にズレの幅が小さければ、仕事に打ち込めたり、仕事のことで我慢が利くということが言えるはずです。

自分の主観的価値客観的価値とのズレを小さくしておけば、そこから派生する無駄な時間にも耐えやすく、前向きに取り組むことができるでしょう。たとえば私の中核の仕事は原稿執筆ですが、「収入を得るための直接の作業」として「請求書を書く」ようなタスクも避けられません。

もしも私が自分の「コアな仕事」にあまり価値を見いだしていなければ、その派生物である「請求書を書く仕事」のような雑務は、苦痛以外の何ものでもなくなっているでしょう。この意味で、自分のコアの収入源が、はたして自分でも意義を見いだせるものであるかどうかをチェックするのは、意味のあることだと思います。

私自身はすでに述べたとおり、「自分のコア」を知るために、作業記録と収入の関係を探りました。これを可能としたのは、日々の作業記録データと家計簿です。作業記録データと家計簿は、必ずしも時間とお金を管理するだけではなく、ここで述べた利用方法のように、自分を知るための資料として活用価値が高いものだと言えるでしょう。