心理学と福祉にはそれなりの関係がありますが、心理学は必ずしも社会の福祉にまっすぐ向かうものではなく、また福祉の仕事は必ずしも心理的なケアばかりとは限りません。
私は去年、福祉系の女性と結婚して以来、いかに自分が「福祉的でないか」を感じさせられることがよくあります。
たとえば私の実家は寺ですが、玄関はバリアでいっぱいです。古いお寺というのは概してそうですが、我が家もどちらかというと、健常者ですらつまずきかねないような段差が、そこかしこに備え付けられています。
一方で、今住んでいるマンションは、どういうわけか徹底的にバリアフリーです。その家に住んでみて、「なるほどーバリアフリーとはこういうものか!」と感じ入りました。なにしろ、つまずかない。住んでいて、ストレスがないのです。
仕事というものもこうありたいものだと、最近とみに思うようになりました。バリアフリーで進めたいものです。
そこで自分のタスクを振り返ってみたところ、タスクのバリアが発生しやすいポイントというものがあることに、気づきました。
たとえば取りかかりです。お寺の玄関先のように、仕事も玄関先にバリアがあります。ここをなだらかな坂に変えておかないと、取りかかる前から気力が失われてしまいます。
取りかかりのバリアをフリーにする方法は、いくつか考えられますが、たとえばテンプレートを用意しておくというのが、非常に有効なハックでしょう。私なら物書きですから、このシゴタノ!のような連載記事には、テンプレートを利用するとすぐに取りかかることができるのです。
メールのテンプレートは良い例です。とりあえずの書き出しがすでに記されていて、後は何を書くかさえ決まっていれば、イチから書くよりもよほど簡単です。
他に仕事のバリアと言えば、承認が自分の外にあることです。たとえば上司からの決裁を得られなければ、帰れないなどという仕事には、早く取りかからなければならないわりに、気が進みません。
こうした場合の対策として、最初から最後までやり遂げようとせずに取りかかっておく、という方法があげられます。最後までやり遂げると言うことは、すなわち、それを「承認」してもらわなければならないことになり、その質を確保するために肩に力が入ってしまうのです。
終わりよければすべてよし、ですが、終わりをよくするのは容易ではないものです。まず、終わりまでは行かないぞ!くらいの気持ちで、始めてみることです。
■今日のまとめ 仕事のバリアフリーを目指すには?
・取りかかる前にテンプレートを!
・「承認してもらう必要がある」なら、初めから最後まで一気にやろうとしない